小山田せんべい店 てんぽせんべい
三戸町民は「パリジェンヌ」?小麦文化から生まれた三戸せんべい

古くから冷害に悩まされてきた青森県・岩手県にまたがる南部地域では、小麦を使った食文化が発達してきました。南部せんべいも、米ではなく小麦粉を主原料とする郷土の味。そのなかでも三戸せんべいは薄く、サクサク、パリパリとした食感が特徴です。
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松原せんべい店 じゅねせんべい
そして三戸町で語られているのが、「三戸町民はパリジェンヌ」という表現。パリジェンヌにお気に入りのパン屋さんがあるように、三戸町民にもそれぞれお気に入りのせんべい店がある、というわけです。小麦から作られるせんべいをパンになぞらえた、三戸町ならではのユーモアあふれる表現ですね。
なかでも気になるのが、「賞味期限3分」ともいわれる「てんぽせんべい」。小麦粉を堅く焼き締めず、やわらかく仕上げた“生せんべい”で、焼き立てはアツアツ、ふわふわ。まるでパンケーキのような食感が楽しめます。スーパーなどに販売されていないため、お店まで足を運んで味わいたい三戸ならではの一品です。
「てんぽせんべい」を味わえる町内唯一のお店|小山田せんべい店

三戸駅から近い「小山田せんべい店」は、大正6(1917)年創業の老舗。現在、三戸町で「てんぽせんべい」を焼いている唯一のお店です。

店主の小山田美穂(よしお)さんは昭和21年生まれ。小学3年生の頃から家業を手伝い、職人歴は70年以上という大ベテランです。創業当時、町内にはなんと96軒ものせんべい店があったのだそう。

戦時中には金属類の供出によってせんべいの型を失った店もあるなか、小山田せんべい店は専業だったため難を逃れたという歴史も。現在では津軽海峡を越え、北海道からわざわざ買いに訪れるファンもいるそうです。
住所:青森県三戸郡三戸町同心町古間木平38-2
電話:0179-23-3779
地元客との距離の近さも魅力|安ヶ平せんべい店

小山田せんべい店から徒歩約3分の場所にある「安ヶ平せんべい店」。昭和25(1950)年頃に創業、75年以上続く老舗で、現在は店主の工藤栄子さんがお店を切り盛りしています。

店内で目を引くのが、赤いレンガ造りの焼き機。どこか懐かしさを感じる空間で、今もせんべいが焼かれています。

お店では、地元のお客さんが「みみ(おせんべいの周辺部分を取り除いたもの)ちょうだい」と注文したり、「お鍋に入れるのは何がおすすめ?」と相談したり。せんべい店と地元の人々との距離の近さが感じられます。

なかでも、白せんべいは「せんべい汁に入れても煮崩れしにくくておいしい」と地元のファンから評判。一番の売れ筋は「柔らかいみみ」なのだそうです。
住所:青森県三戸郡三戸町同心町同心町平33-3
電話:0179-22-0744
香ばしい香りに包まれる老舗|松原せんべい店

3軒目は、先の2店舗から約1.7km離れた場所にある「松原せんべい店」。オレンジ色の壁が目印です。昭和20(1945)年頃創業で、小山田せんべい店に次ぐ老舗。現在の店主・松原勝乗(かつのり)さんは、祖母が創業した店を受け継いだ3代目です。

店内は製造、袋詰め、販売のスペースに分かれていますが、せんべいを焼くのは昔ながらのレンガ造りの焼き機。店内には焼き立てならではの、あたたかく香ばしい香りが漂います。

こちらの売れ筋は「じゅねせんべい」。「じゅね」とは、えごまのことです。
奥さまの文子さんは「後継者はいないけど、この人(勝乗さん)は死ぬまでせんべい焼き続けるつもりだから!」と語ります
松原さん夫妻は、子どもにせんべい店を継がせることは考えていないそう。もしかすると、数十年後には三戸のせんべい店は2店舗になってしまうかもしれません。そうなる前に、ぜひ足を運んでみたいですね。
住所:青森県三戸郡三戸町豊川中屋敷平28-3
電話:0179-22-2560
お気に入りの一軒を探して「三戸せんべい」探訪
安ヶ平せんべい店のせんべい
かつては数多くのせんべい店があった三戸町ですが、現在せんべいを焼き続けているのは3店舗。それぞれのお店に受け継がれてきた味や歴史があり、地元の人との距離の近さも魅力です。
パリでお気に入りのパン屋さんを探すように、三戸町でお気に入りのせんべい店を探してみるのも楽しそう。焼き立ての「てんぽせんべい」や、せんべい汁にぴったりの白せんべい、えごま香る「じゅねせんべい」など、店ごとの味を食べ比べながら“三戸パリジェンヌ”気分を楽しんでみてください。
