日本道路公団が民営化された2005年以来、SAとPAは日々進化・充実
昔は「ご飯がおいしくない」「トイレに立ち寄るだけ」等々、評判がイマイチだった高速道路のSAやPA。筆者の記憶では、どこもサービスが画一的で、面白みに欠けるというか、魅力がないというか、味気ないというか……。
でも、そんな話は遠い昔話。かつて全国の高速道路事業を一括していた「日本道路公団」が、2005年に民営化されて以来、その状況は一変。最近のSAやPAは、人気のハンバーガーチェーンや牛丼チェーンなどに加え、ご当地グルメや名産品をそろえるなど、“各地の色”を積極的にアピールしているのが大きなポイントです。
サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の違いとは?
国土交通省は、「サービスエリア(SA)には休憩所、駐車場、トイレ、売店、食堂、給油所などを設置」、「パーキングエリア(PA)には駐車場、トイレ、必要に応じ売店が備わっている」と定義しています。とはいえ、現在は給油所(ガソリンスタンド)を設置したPAも存在します。
結論から言えば、現況、SAとPAに明確な違いはありません。「基本的にSAにはガソリンスタンドがあり、PAよりも売店やグルメが充実している」と覚えておけばいいでしょう。なお、SAは約50km毎、PAは約15km毎に設置されているのが特徴です。
日本最大級!東名高速道路「海老名SA」にあるEXPASA海老名
中日本エリアでは、進化を遂げたSA&PAのブランドとして、「NEOPASA(ネオパーサ)」と「EXPASA(エクスパーサ)」を展開。NEOPASA(ネオパーサ)は、先進的で新しいコンセプトを基に、多様なニーズのユーザーに向け、施設規模、業態・施設配置、園地計画に至るまで、新たな設計思想で一から作り上げた商業施設。
また、EXPASAは、人気店の複数導入や、選ぶ楽しさ・見る楽しさといった買いたくなる売場づくり、ゆとりある快適空間、地域との交流などを追及した商業施設です。
日本国内で最も大きいSA&PAは、「日本の大動脈」とも呼ばれる東名高速道路にある「海老名(えびな)SA」。神奈川県海老名市にある海老名SAは、上り方面と下り方面にそれぞれ設置されていて、どちらも大型商業施設「EXPASA海老名」が導入されています。
海老名SAにはレストランやフードコート、B級グルメの露店、ショッピングセンター、ATM、宝くじ売り場、ベビーコーナー、郵便ポストなどを設置。ショッピングモール級の大きな施設の中に、充実のサービスをスタンバイするなど、丸一日いても十分楽しめるのがポイントです。
京葉道路「幕張PA(上り)」のPasarは千葉らしいグルメやお土産が満載
続いて千葉県にある「幕張パーキングエリア(上り)」を覗いてみましょう。海老名SAに比べ、幕張PAは小規模ですが、千葉ならではの地元色を全面にアピールしているのが特徴です。
日本道路公団の民営化により、2005年に誕生したNEXCO東日本。東京都と千葉県を結ぶ、京葉道路の幕張PAにある「Pasar(パサール)」は、NEXCO東日本が管理する商業施設で、「誰でも積極的に利用したくなる施設」を目指し、各地に展開中です。
Pasarは、従来のSAやPAには出店していない、デパ地下や駅ナカにあるようなテナント(飲食店等)が入店。2008年に京葉道路の幕張PA(下り線)に1号店がオープンし、その後は幕張PA(上り線)にも登場しました。
なお、Pasarという名称は、パーキングエリアの略称「PA」、サービスエリアの略称「SA」、リラクゼーションの頭文字「R」を組み合わせて作った造語。インドネシア語で「市場」、スペイン語で「立ち寄る」という意味も持っています。
写真は東京方面に向かう、京葉道路の幕張PA(上り線)。さまざまなグルメが楽しめるフードコートは広々としていて、開放感も満点。写真は平日の朝9時頃の様子です。多くのお店は朝11時オープン。お昼時や夕食時は、ほぼ満席の状態となります。
最近のSA&PAのトイレは、広々としていて掃除も行き届いているのが特徴。清潔感も極めて高く、安らぎを与えてくれる、癒やしの空間を提供しています。
千葉県産・地産地消にこだわった「旬撰倶楽部」
道の駅のようなたたずまいが特徴の「旬撰倶楽部」は、“千葉気分”のコンセプトのもと、千葉県産・地産地消にこだわったショッピングゾーン。千葉名産の醤油や調味料、落花生商品をはじめ、新鮮野菜、昔ながらのセイロでじっくりと蒸し上げた黒平まんじゅう、千葉落花生を使用したキャラメリゼバウム等々、豊富に取りそろえています。
営業時間:平日7:00~22:00、休日7:00~22:00
公式サイト:https://www.driveplaza.com/sapa/213A/213A041/1/service/7/
幕張PAならではのパンもあり!「ブレッズプラス幕張店」
こちらはパンや洋菓子でおなじみの「神戸屋」が展開するベーカリーのお店「ブレッズプラス幕張店」。持ち帰りはもちろん、イートイン席も10席あり(全席禁煙)。幕張ホイップあんぱん、幕張カレーパン、しあわせスイートポテトくり~むぱんなど、幕張PAならではの個性的な商品もスタンバイ。おいしいコーヒーと一緒にどうぞ!
営業時間:7:00〜22:30 ※イートインのみ20:00まで
公式サイト:https://www.kobeya.co.jp/shopmap/restaurant/bc_makuhari
飲んでみてズバリおすすめ!「完熟バナナジュース」
「館山 佐藤商店」が展開する、甘くて完熟したバナナをフレッシュジュースにした幕張PA名物の「完熟バナナジュース」。今回は、「完熟バナナミルク」(店内539円、テイクアウト529円 ※ともに税込)」をオーダー。
バナナとミルクをミックスさせた完熟バナナミルクは、極太のストローでいただく、心地良く冷えたシェイク風の飲み物。甘すぎず、しつこすぎないスッキリとした口当たりが特徴です。サイズはバーガーチェーン店のシェイクのMサイズ程度。これが実はおいしい! 性別や年代を問わず、誰でもおいしく飲めると思います。
営業時間:平日11:00~22:00(L.O.21:30)、休日11:00~22:00(L.O.21:30)
公式サイトhttps://www.driveplaza.com/sapa/213A/213A041/1/service/9/
最新マッサージチェア「無重力マッサージ」
ドライブで疲れた身体を癒やしてくれる、最新のマッサージチェア「無重力マッサージ」(1回300円)。無重力マッサージは、宇宙飛行士が無重力状態の中でストレスなく自然に脱力できる楽な姿勢を再現するといいます。
心臓より脚や太ももが高い位置にくることで、血液循環をスムーズにし、筋肉の緊張、負担を和らげ、これまで体験したことのない最上級のリラックスを提供しています。
実際に体験したところ、チェア自体が地面とほぼ水平になり、マッサージ中は身体が天井を向いた状態になるのがユニーク。これまでにない体勢でのマッサージは、リラックスできるのと同時に、とっても刺激的で不思議な感覚。価格は1回300円。2022年8月現在、無重力マッサージは幕張PA(上り)のほか、全国のSAやPAに展開中です。
営業時間:6:00~21:30
公式サイト:https://www.driveplaza.com/sapa/213A/213A041/1/information/139719.html
ドッグランや宿泊施設もあり!東名高速道路「足柄SA」にあるEXPASA足柄
さて、お次は東名高速道路の足柄SA(静岡県御殿場市)。海老名SAに迫る大型エリアの足柄SAは、商業施設「EXPASA」も設置。都心からやや離れた足柄SAは、都心に近い海老名SAにはない、入浴施設(上り・下り)やマッサージ(下りのみ)、宿泊施設(上りのみ)、ドッグラン(上り・下り)などを設けているのがポイントです。
ドライブで疲れた身体をリフレッシュしてくれる入浴施設
疲れた身体を癒やしてくれる、入浴施設やシャワー施設を備えたSAやPAもあり。上記は足柄SAの入浴施設。趣のある、木材を採用した温泉施設風のつくりがポイントです。夏には手軽に汗を流すことができ、冬には休憩がてら、身体を温めることができます。
わざわざ高速道路を下りることなく、気軽に宿泊OK
宿泊施設のあるSAやPAは、高速道路を下りることなく、スムーズに宿泊できるのが大きなメリット。高速道路を下りることなく、気軽に利用できるのがうれしいところです。
愛犬と一緒にドライブするなら、ドッグランの有無を要チェック!
足柄SAのドッグランには、水飲み場やシャワー、排泄物用ごみ箱、ワンちゃん専用商品の販売など、飼い主にはうれしい施設を完備しているのが特徴。愛犬と一緒に高速道路を旅する人は、「ルートのSAやPAには、ドッグランがあるか?」「付属施設には、どんなものがあるのか?」を要チェックです。
出かける前には、ルートにあるSA・PAのチェックを!
上記はあくまでも、ほんの一例ですが、最近のSAやPAには、トイレや休憩だけで素通りするにはもったいない、魅力・工夫・アイディアがふんだんに詰まっています。
高速道路を利用してお出かけする際は、事前にウェブを検索し、ルートにあるSAやPAの施設内容やグルメ、各施設のオススメ情報、口コミ情報などをチェックしておきましょう。思いもかけない出会い・喜び・発見があるかもしれませんよ!
[Photos by Kita Hideaki]
>>常磐自動車道・友部サービスエリアの納豆売り場がすごい【編集部ブログ】