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左右の足を広げると3m超え
タカアシガニ(写真提供:静岡県観光協会)
福井の越前では、「越前がに」の漁が解禁されています。鳥取の「松葉がに」も一緒ですね。いよいよカニを食べたくなるシーズン突入ですが、地球上で最も大きなカニは、どこに暮らしていると思いますか? 実は、日本近海に暮らしています。
1989年(昭和64年/平成元年)には台湾でも見つかったので、純粋に日本だけで捕れる生き物とはいえないのですが、長らく日本固有のカニと考えられてきたようです。英語でも「Japanese spider crab」と呼ぶので、日本が誇る水産資源いっても過言ではないはずですよね。
このJapanese spider crabは、日本語で「タカアシガニ」と呼びます。大きな個体が最近はなかなか見られなくなってきたといいますが、左右の足を広げるとその幅は、大人のカニでなんと3mを超えるのだとか。
<左右に広げると3メートルを超えるほどになる。この長さは節足動物のうちで世界最大である>(小学館『日本大百科全書』より引用)
3mといえば、バスケットボールのゴールの高さと同じくらいです。それだけ巨大なカニが、岩手県沖から九州沿岸までの水深200~300mの海に暮らしているんですね。
ちなみに、先ほどの引用文では、節足動物の中でも最大と書かれていました。
生物の分類階級は「界」(kingdom)→「門」(phylum)→「鋼」(class)と細かく分類されています。タカアシガニは、カニを含む甲殻「綱」どころか、節足動物「門」で見ても最大なのですね。
水族館の水槽であればもちろん筆者も目にした経験が何度もあります。あんな巨大なカニが暮らす日本の深海は、すごいです。
ズワイガニやタラバガニに劣らずおいしい
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とはいえ、このタカアシガニ、食べる機会はあまりないように思います。いかがですか? 少なくとも筆者は食べた記憶がありません。
しかし、房総半島、相模湾、熊野灘、土佐湾、宮崎県沖などで漁獲されているそうで、中でも、伊豆半島の西岸や駿河湾(静岡)ではタカアシガニ漁(深海魚漁)が行われていて、高値で販売され食用されているのだとか。
戸田港(写真提供:静岡県観光協会)
例えば、1917年(大正6年)深海魚漁が始まった主要産地の静岡県沼津市戸田(へだ)地区では、巨大なカニの甲羅に閻魔(えんま)大王のような怖い顔を各家庭で描き、玄関に飾って魔よけ・疫病よけにする伝統があると、東京新聞の記事で報じられています。
タカアシガニ(写真提供:沼津市)
<肉は繊維性に乏しくて軟らかく、また自己消化によっていたみやすい>(小学館『日本大百科全書』より引用)
といった特徴が百科事典に書かれていますが、味が劣っているわけでは決してないようです。
ズワイガニやタラバガニに劣らず大変おいしくて、サイズの大きさから、ほかのカニでは味わえない食べごたえも楽しめるそう。
水族館での出合いにとどまらず、この冬は静岡県など主要な産地に出かけて、現地の飲食店で味わってみると楽しいかもしれませんね。
[参考]
※ 【竹島水族館だより】カニの中では世界最大!「タカアシガニ」
※ タカアシガニでお面作り 息吹き返した戸田の風習 元漁師・石原さん継承、将来の後継者へデータ保存
※ 【食べて応援!】世界最大級のタカアシガニを通して、西伊豆・戸田の漁業を支援したい! – Zenes
※ Formal re-establishment of Macrocheiridae Dana, 1851 (Decapoda: Brachyura:Majoidea) for the giant spider crab Macrocheira kaempferi (Temminck, 1836) based on a reappraisal of morphological and genetic characters – Oxford University Press
※ 戸田のトロール漁解禁 タカアシガニや本ガニ水揚げ―沼津 – 伊豆新聞