世界三大都市に定説はない
イギリス人であればロンドンを入れて当然と考えるでしょうし、アメリカ人であればニューヨークが入ると信じて疑わないはず。
結局、世界三大都市は、どこが入るのでしょうか？ 結論から言えば、世界の共通の見解は存在しないようです。
どこの国の誰が、しかも、どのような基準で3つの都市を選ぶかで、見解が分かれてくるからですね。さらに言えば、時代と共に都市は規模と姿を変えていくので、選定は至難の業の様子。
ニューヨークとロンドンはランクイン!?
が最高ランクの評価になり、次いで上海、北京、香港、シンガポール、ドバイ、パリ、東京が、上から2番目のランキングに入ってくるそうです。
森ビルの調査研究機関である森記念財団都市戦略研究所が発表する「都市総合力ランキング」でもロンドンが首位、ニューヨークが2位なので、この2つの都市は、世界三大都市に入る有力な候補として説得力を持つはずです。
パリか東京か
例えば、上述した森記念財団都市戦略研究所が発表する「都市総合力ランキング」で東京は3位 です。その意味で、日本人であれば東京を、世界三大都市に入れたくなるはずです。
しかし、同調査で、4位のパリと3位の東京はほぼ同スコア。ロンドン、ニューヨークと比べると、東京もパリも離されています。
逆に、アメリカの世界的な経営コンサルティング会社であるA.T.カーニーが発表した2022年版の『グローバル都市指標』（Global Cities Index）では、ニューヨークが第1位、ロンドンが第2位、パリが第3位、東京が第4位 となっています。
パリと東京は横並びなので、どちらが上とは一概に言えないようです。
「住みやすいまち」は結果が全然違う
英経済誌『エコノミスト』の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット（EIU）による『住みやすい街』ランキング2022年版では、
第1位・・・ウィーン（オーストリア）
第2位・・・コペンハーゲン（デンマーク）
第3位・・・チューリッヒ（スイス）
第4位・・・カルガリー（カナダ）
第5位・・・バンクーバー（カナダ）
といった都市が上位に並んでいます。ロンドンやニューヨーク、東京、パリはトップ10にランクインすらしていません。同ランキングでは逆に、日本の都市から第10位に大阪がランクインしています。
そもそも「三大都市」って何？
辞書を調べると、
＜人口が多く、経済や産業などの中心地となる三つの都市＞（小学館『大辞泉』より引用）
という意味を持つそう。その定義で言えば、上述の「住みやすいまち」は人口の多さなどで「三大都市」の構想からは外れているはずです。
こうなってくるとやはり、世界三大都市とは、
に加えて、残りの1座を、東京とパリを筆頭に、世界の大都市が争っているといった感じになるのでしょうか。
日本人としてはやはり、東京に頑張ってもらいたいですよね。森記念財団都市戦略研究所が発表する「都市総合力ランキング」によると、東京の弱点として、
GDP成長率
優秀な人材確保の容易さ
法人税
研究と開発
留学生の数
などの分野で改善が望まれるそうです。さらに、
など交通とアクセスの分野でも状況が悪化しているとの話。これらの要素が少しずつ改善され、ほかの強みがさらに輝きを増して、世界の誰もが疑いなく、東京を世界三大都市に推す日が来るといいですね。
［参考］「世界の都市総合力ランキング」2022、東京は総合3位、「働いてみたい都市」2位 – 100年企業戦略研究所 The 53 best cities in the world in 2022 – TimeOut The world’s most liveable cities – The Economist These are the world’s most liveable cities – World Economic Forum Readiness for the storm: the 2022 Global Cities Report – Kearney
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家／ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書（TABIZINEライターとの共著）に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸３県のWebマガジン〈HOKUROKU〉（
https://hokuroku.media/ ）創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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