【実はこれが日本一】総延長約23km!最長の洞窟は岩手県の子どもの遊び場だった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 6th, 2023

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、夏が近付いてきたこの時期にこそ知っておきたい洞窟(どうくつ)の日本一を紹介します。

岩手県下閉伊郡岩泉町・安家洞神殿
©️一般社団法人東北観光推進機構
 


 

品川から横浜の直線距離よりも長い洞窟

岩手県下閉伊郡岩泉町・安家洞の入り口
安家洞 (関西地方), Public domain, via Wikimedia Commons

どんな長さ、どんな深さかは別として今までに、どこかの洞窟(どうくつ)に入った経験はありますか? ひんやりとしていて暗く、まさに異世界といった感じですよね。

日本に数あるそんな洞窟の中で、最も長い洞窟はどこで、どのくらい長いかご存じでしょうか?

日本一長い洞窟は「安家洞(あっかどう)」と言います。その総延長は、日本記録認定協会の日本記録によると2万3,702mと認定されています。言い換えると約23kmですね。

23kmといえば、東京の新宿から国立の直線距離くらい長いです。品川から横浜の直線距離よりも長いです。

さらに、その長さは、主要な洞内だけの話で、その主洞に加えて無数の支洞が確認されています。当然、未解明の部分もあるとの話。

そんな迷宮のような安家洞なのですがそもそも、どこにあるかご存じでしょうか?

南の秋吉台、北の安家洞

岩手県安家洞内部
©️一般社団法人東北観光推進機構

「安家洞」と言われて岩手県を思い浮かべる人は日本地理に詳しい人、あるいは旅慣れた人かもしれません。

岩手県の太平洋側には、三陸復興国立公園が海岸線に続いています。海岸線には南から、陸前高田、大船渡、釜石、宮古などがあります。

国立公園の名前からもわかるように、東日本大震災で大きな被害を受けた土地です。その宮古の海岸線をさらに北上し、北山崎の絶壁を越えると安家川の河口があります。

その安家川を今度は上流に進むと、安家洞があります。

<南の秋吉(あきよし)台(山口県)に対して北の安家洞ともいえる洞窟>(小学館『日本大百科全書』より引用)

と、百科事典に書かれるほどの洞窟で、国の天然記念物にも指定されています。

地元の子どもたちの遊び場だった洞窟

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安家洞とは、どういった洞窟なのでしょうか。もともとは、地元の子どもたちの遊び場だったとのことで、地元の小学生と学校の校長先生が一緒に入り、校長先生だけが内部で迷子になって、地元の消防団が救出したといった話もあるようです。

しかし、専門家たちの研究が進むと、日本に数少ない迷宮型鍾乳洞であり、長さが23kmを超える日本一の洞窟だとわかってきたのですね。

安家洞観光開発有限会社によると、入り口から500mのエリアは照明が用意されたコースで一般公開もされています。その奥へ行きたい場合もオールシーズン要予約で対応してくれるのだとか。

洞窟内の気温は8℃。この夏にどこか、暑さから逃れられる観光地を探している方は、日本一長い洞窟を今からぜひチェックしてみてください。

[参考]
日本で最も長い洞窟 – 日本記録
安家洞 – いわての旅
安家洞 – 岩泉町
安家洞とは – 安家洞
台風被災の「安家洞」が再開…岩手・岩泉 – 毎日新聞
鍾乳洞の中で発見された「校長先生の泣き所」に注目集まる どういうネーミング?由来を聞いたら憐れすぎた件 – Jタウンネット
日本最長の迷宮型鍾乳洞を探検! – 旅東北

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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