【世界三大恐竜博物館】全身骨格標本が44体!カナダと中国に並ぶ福井県の展示

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jun 23rd, 2023

世界を代表するとされるものを3つ取り上げて、「世界三大〇〇」と呼ばれるさまざまなものがありますよね。そこで、どんな事物がそういわれているのか調べてみました。あなたはどれだけ知っているでしょうか? 今回は、世界三大恐竜博物館を紹介します。

福井県立恐竜博物館の展示
©️Shutterstock.com
 


 

ロイヤル・ティレル古生物学博物館(カナダ)

ロイヤル・ティレル古生物学博物館(カナダ)
©️Nick Fox / Shutterstock.com

最初は、カナダ西部のアルバータ州にある博物館から。アルバータ州には、カルガリーという都市があります。冬季オリンピックが1988年(昭和63年)に開催された場所として記憶している人も少なくないはず。

そのカルガリーの近くにドラムヘラーというまちがあります。

小学館『大辞泉』によると、

<恐竜などの古生物の化石が出土することで知られるバッドランド地域の中心地>(『大辞泉』より引用)

と書かれています。

バッドランド地域とは、氷河や川に浸食された渓谷の広がる場所で、恐竜などの化石が次々と出土する「化石のメッカ」なのだとか。その「化石のメッカ」で発掘された骨を展示する博物館が、「ロイヤル・ティレル古生物学博物館」です。

ティレルとは、カナダ人地質学者の名前です。ティレルが、1884年(明治17年)に発見した7000万年前の化石(アルバートサウルスの骨)を一般公開する場所として、1985年(昭和60年)にオープンした場所が始まりとされています。

当初は、研究施設の枠にとどめる予定だったようです。しかし、ギャラリーをつくり、展示コーナーを設けて、一般の人に公開する施設として計画を練り直し、現在は年間43万人以上が集まる恐竜博物館になりました。

自貢(じこう)恐竜博物館(中国)

自貢(じこう)恐竜博物館(中国)
©️Pav-Pro Photography Ltd / Shutterstock.com

そのロイヤル・ティレル古生物学博物館と同じく「世界三大恐竜博物館」と一部の人たちに呼ばれる博物館が中国にあります。

中国の四川省に自貢というまちがあります。中国語読みで「ツーコン」、日本語読みで「じこう」です。

小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』によれば、中国でも有数の岩塩の産地なので「塩都」との呼び名もあるみたいです。一方で、恐竜の化石が多く発掘される場所としても知られているそう。

その発掘された化石を展示する博物館が「自貢恐竜博物館」で、この博物館は、世界的にも知名度が高い様子。世界ジオパークにも認定されています。

<同博物館を含む地質公園は、2007年に「自貢ジオパーク」として世界ジオパークに認定された>(小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』より引用)

CNNテレビ(米国)の選ぶ「10 of the world’s best dinosaur museums」にも入っています(ロイヤル・ティレル古生物学博物館もランクイン)。

開館は1987年(昭和62年)。以来、国内外から来場客を集める一方、海外での出張展示も実現していて、日本の広島市などにも来ていると公式サイトに記載されています。

現在では、数ある中国の観光名所の中でトップの旅行先の1つにも選ばれているようですね。

福井県立恐竜博物館(日本)

福井県立恐竜博物館(日本)
©️AKKHARAT JARUSILAWONG / Shutterstock.com

自貢恐竜博物館が日本の広島市までワールドツアーに来た時期は、1989年(平成元年)です。

もちろん日本でも、恐竜の化石はその時点で発見されていました。しかし、北陸3県と岐阜県を中心に分布する手取層群の化石を数多く展示する「福井県立恐竜博物館」のような本格的な恐竜博物館はまだ、存在しませんでした。

福井県立恐竜博物館が誕生した時期は2000年(平成12年)です。小学館『大辞泉』や公式サイトによると、恐竜の全身骨格標本が44体もあり、そのうち10体は実物の骨格を展示しています。

全身骨格の恐竜が展示されていたとしても本物の骨とは限らず、レプリカ(複製標本)が飾ってある場合も少なくありません。しかし、福井県立恐竜博物館には本物の骨を組み上げた全身骨格標本が10体もあるのですね。その数は、世界でトップクラスだと表現する記事も存在します。

福井県立恐竜博物館の骨格標本
©️公益社団法人 福井県観光連盟

筆者はかつて、福井県立恐竜博物館の取材で、本物の骨とレプリカの見分け方は、骨格を支えるフレームの有無だと聞きました。

本物の骨の標本はもろいため、骨格を支える大小のフレームが骨に沿って細部まで張り巡らされています。一方で、レプリカは強度があるため、骨全体を支える大きなフレームしかないそうです。

そのあたりを見比べて、本物の骨の標本なのか、複製標本なのかを探ってみると、見方が深まって、余計に楽しいかもしれませんね。

以上、世界の三大恐竜博物館を紹介しましたが、三大恐竜博物館という言葉は、日本でのみ通じる言葉の可能性が高いようです。

しかし、福井恐竜博物館が見事である点には変わりありません。そして、同館は2023年7月14日(金)にリニューアルオープンするとのこと。北陸旅行の際にはぜひ、立ち寄ってみてくださいね。

[参考]
常設展示 – 福井恐竜博物館
Museum introduction – 自貢恐竜博物館
Zigong Dinosaur Museum – Britannica
Museum History – Royal Tyrrell Museum
10 of the world’s best dinosaur museums – CNN
福井県立恐竜博物館 – ふくいドットコム
「福井のオンリーワンは恐竜だ!」 ニッポン恐竜博物館行脚(その2) – ひとまち結び
 

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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