肉類は海外から日本へ持ち込めない
海外旅行に出かけた際、お土産として現地のスーパーなどで買った食べ物を持ち帰りたいと思いますよね。しかし、海外から日本へは持ち込めない食品もあるのです。例えば、肉類。なぜ肉を持ち込んではいけないのか、アディーレ法律事務所の神野由貴弁護士が解説します。
Q. 海外旅行で肉入りのカップ麺やレトルト食品をお土産に買ったら違法?没収?罰金?
A. 「家畜伝染病予防法」によって、検査証明書のない肉製品を国内に持ち込むことは基本的に禁止されています。「家畜伝染病予防法」は、家畜を伝染病から守り、畜産業を守るための法律で、この場合の法定刑は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となっています。
間違って肉入りのお土産を買ってしまった場合には、空港内にある自主廃棄ボックスに捨てるようにしましょう。
Q. 預け荷物でも機内持ち込みでもダメ?
A. 預け荷物か、機内持ち込みかどうかは関係ありません。日本国内に肉製品を持ち込むことによって、肉製品を介して家畜の伝染病が広がるリスクは、どちらの場合であっても変わらないからです。
Q. カップ麺などの即席食品やフリーズドライでもダメ?
A. 即席食品やフリーズドライの場合も同様に持ち込めません。カップ麺の具として入っている肉が十分に加熱されていなければ、ウイルス等が感染力を持っている可能性は否定できないためです。また、冷凍下で長期間生存する家畜の伝染病の病原体もあるため、フリーズドライであっても、肉製品の持ち込みは原則として禁止されています。
Q. 肉エキス入りの食品もダメ?
A. 原材料のうち、動物由来の成分が含まれているものが肉エキスのみであれば、持ち込み禁止の対象にはならないこともあるようです。ただし、肉エキス入りの食品には、動物の肉そのものも含まれていることが多いため、原材料の表示に「肉エキス」と記載されているからといって、持ち込めるとは限りません。
迷った場合は検疫所に相談を!漢方薬にも注意!
個人旅行客の買ったお土産などの場合、肉製品や動物由来製品のほとんどは日本へ持ち込むことができないと考えておくべきです。また、問題となっているお土産に肉製品が含まれているのかについては、判断が難しい場合も多いでしょう。帰国の際に迷った場合は、動物検疫所に相談するようにしてください。
なお、国内への動物由来製品の持ち込みが問題となるのは、家畜伝染病予防法に違反する場合だけではありません。たとえば、ワシントン条約によって日本への持ち込みが規制されている動物を原材料にした漢方薬です。旅行客がそのような漢方薬を持ち帰った際に、税関で輸入を差し止められた事例があります。
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アディーレ法律事務所
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