野付半島とは?
北海道の東の端、知床半島と根室半島の中間に位置する野付半島。別海町と標津町にまたがる野付半島は、かぎづめのような特徴的な地形をしています。
これは海流によって砂が運ばれ、長い年月をかけて堆積してできた砂嘴(さし)と呼ばれるもので、野付半島は日本最大の砂嘴として有名です(延べ面積:6,053ヘクタール)。
また、野付半島は植物をはじめとした多様な生態系が築かれており、ラムサール条約や北海道遺産に登録されている重要な場所なのです。
現在は毎年1.5cmほど地盤沈下しており、100年以内に消滅する可能性があるとも言われています。その原因として、地球温暖化による海面上昇や海流の変化による土砂の減少などが挙げられています。海が作り出した野付半島は、海によって侵食され、風化が進み、地球の生命の神秘を肌で感じることができる場所です。
野付半島の絶景
野付半島の「トドワラ」。日本では北海道しか見ることができないトドマツが立ち枯れた様子が有名なスポットです。
トドワラのワラは、原っぱという意味とも言われていますが、アイヌ語で墓場を意味するとも言われています。その名の通り、トドマツがその生を終えようとしている光景が広がります。生命の儚さ、そして力強さ、地球の神秘を感じる絶景です。
このトドマツのほとんどが樹齢90年〜120年ほどとされており、中には150年〜170年のものもあったとされています。トドワラを見るためには、野付半島ネイチャーセンターに車を停め、遊歩道や木道を30分ほど歩くのが一般的。
あたりは海水に満たされ、海の中を歩いているような感覚になりました。夏は写真のように曇りや霧が立ち込める天気が多いので、夏でも少し肌寒く感じます。上着を持っていくといいでしょう。
トドマツだけでなく、ミズナラの墓場、「ナラワラ」というスポットもあります。車で訪れることができ、トドワラよりも簡単に見ることができます。海の中に枯れた木々が並び、写真を撮るとまるで絵画のようでした。
野付半島は自然がいっぱい!
野付半島は花の名所とされており、季節ごとにさまざまな花を見ることができます。そのユニークな地形から、高山植物や塩生植物も見ることができ、全国から花を目当てに訪れる観光客も多いです。最も人気の季節は色とりどりの花が咲き誇る6月〜8月中旬ごろ。
8月を過ぎても、塩生植物であるサンゴ草は9月〜10月に赤く染まるので安心してくださいね。一面のススキも見応えがあります。
また、野付半島は野生動物が多いのも魅力のひとつ。エゾシカは群れをなし、キタキツネやオコジョが大地を走り、空にはオジロワシやタンチョウがいる世界です。北海道の大自然を堪能できる野付半島の旅は、心に残る体験になること間違いなしですね。
冬の野付半島は?
夏が有名な野付半島ですが、冬の雪景色も素敵です。一面雪原になった野付半島の大地に立つミズナラの木々。北海道の厳しい寒さや海水の侵食に負けず立ち続けている木々からは、底知れぬパワーを感じます。
冬でもネイチャーセンターは営業しており、冬しか体験できないツアー行っています。また、冬の野付半島では流氷を見ることもでき、北海道の冬ならではの野付半島の顔を見ることができます。夏の野付半島に心奪われたリピーターの方には冬は特におすすめですよ。
野付半島へのアクセス方法
野付半島に最寄りの空港は、東京からも直行便が運航している根室中標津空港で、空港から車で約1時間で野付半島にアクセスすることができます。札幌からはかなり遠く、車で6時間以上かかるので、時間に余裕があったり、体力に自信があったりする場合にチャレンジしてみてくださいね。
北海道の知床や根室からはどちらも車で1時間30分ほどとなっています。公共交通機関で行くこともできなくはないのですが、アクセスが悪いのでレンタカーや自家用車で行くことをおすすめします。
また、野付半島のネイチャーセンターからトドワラの看板がある場所までは写真のようなトラクターバスで行くこともできます。夏のみの運行ですが、乗車時間は7〜8分ほど。時間が短縮されるだけでなく、素敵な体験にもなりますよね。
北の果てにある絶景を見に行こう
いかがでしたか?
多様な生態系のはずなのに、生命の息吹を感じない不思議な世界。朽ちて消えゆく絶景を眺める野付半島での旅では、ここでしかできない貴重な体験がたくさんあります。写真では伝わらない独特の雰囲気が満ちているので、ぜひ足を運んで肌で感じてみてください。
住所:北海道別海町野付
TEL:0153-82-1270(野付半島ネイチャーセンター)
入場料:無料(ガイド別途有料)
営業時間:4月~9月9:00~17:00、10月~3月9:00~16:00
定休日:なし
アクセス:根室中標津空港から車で約1時間
駐車場:有り(無料)
所要時間:約2時間〜3時間
公式HP:http://notsuke.jp/
[Photo by sorano]