古より信仰の対象や数々の芸術を育んできた「富士山」
日本最高峰の富士山は、標高3,776mの独立峰です。度重なる噴火活動などを経て現在の姿に形成されたとされています。
そんな富士山は、古の時代より「信仰の対象」や「芸術の源泉」であり、それらの構成資産の価値が評価され、2013年に世界遺産に登録されました。
江戸時代中期に大ブームになった「富士山信仰(富士講)」
古代から始まった富士山への信仰。富士山の噴火活動が収束すると、人々は「遙拝」から「登拝」を行うように。登山者が増えるにつれて、登山道ができていき、15~16世紀になると修験者に引率された衆庶の信仰登山へと拡大。
戦国時代になり、長谷川角行が富士講を教義としてまとめると、その教えが、江戸時代中期に「富士講」として、関東を中心に大ブームに! 多くの人々が富士登山や白糸ノ滝などの霊地を巡礼するようになりました。
現在でも、多くの登山者が夏になるとお鉢めぐりをしたり、ご来光を拝んだりしています。
また、富士山への信仰登山が盛んだった江戸時代以降につくられた、「富士塚」が関東地方を中心に点在。これは富士山を登るのが難しかった人たちのためにつくられたもので、東京都渋谷区千駄ケ谷の「鳩森八幡神社」にもあり、登拝することができますよ。
火口の数や山頂の風速など、富士山のトリビア4選
ここでは、富士山のトリビアを4つご紹介します。
火口の数
富士山には山頂部から山腹にかけ半径約13kmの範囲に側火山・側火口が70以上も存在! 明確なものは約60個あり、その数は日本一です。
山頂の風速
富士山頂は風が強いことで有名。1年を通じて西北西や西風が吹き、年間平均風速は秒速12mで、歴代最大瞬間風速は、1964年10月5日に記録された91.0mです。
実は縮んでいる?
古い記録によると富士山の高さは、現在よりも2mほど高い3,778mとされていました。なぜ現在の標高と差があるのかは、当時の測定技術が正確さにかけていたこと、または1923年9月1日に起こった関東大震災に伴う地殻変動によるものなど、原因はいまのところ不明なのだとか。
日本一高い山ではなかった時代がある
台湾が日本の統治下にあった時代、日本一高い山は台湾の新高山(3,952m)でした。
富士山を登るためには関所でお金を払う必要があった
富士登山が一大ブームだった江戸~明治時代までは、登山者に対して「山役銭(やまやくせん)」という料金制度が設けられていました。収集された料金は、道中にある山小屋の宿泊や維持費のほか、神聖な富士山へ足を踏み入れるための身を清める「おはらい代」も含まれていたそうです。
なお、2024年夏から山梨県は通行料2,000円を導入。静岡県も通行料の導入を検討中です。
ココは行っておきたい! 富士山周辺の見どころ3箇所を厳選
富士山周辺の見どころは数多く、どこへ行こうか迷ってしまいますが、ここでは3箇所を厳選してご紹介します。
7月に開山祭が行われる「富士山頂上浅間大社奥宮」
富士宮口から上りつめたところの山頂に鎮座する「富士山頂上浅間大社奥宮」では、7月11日に開山祭を行い、8月まで神職が常駐して祭事やお守りの授与などを行っています。富士登山をする際は、忘れずに参拝したいですね。
しかし、奥宮は夏にしか行けないため、初詣なら「富士山本宮浅間大社」へ。境内には、溶岩の間から湧出した地下水が池となった天然記念物の「湧玉池」のほか、浅間造(せんげんづくり)と呼ばれる二層楼閣造りの本殿などがあり、荘厳な雰囲気です。
自然洞窟も! 大自然を満喫できる「青木ヶ原」
少し怖いイメージのある「青木ヶ原」ですが、実は観光客用の遊歩道が整備されており、案内看板も立てられています。多様な動植物が生息していて、大自然をとことん満喫できるのが魅力です。
なかでも人気なのが、「富岳風穴」。富士山の溶岩流によって形成された自然洞窟で総延長201m。ほど近くにある「鳴沢氷穴」で見られる夏でも溶けない氷柱やもおすすめです
四季に彩られた富士が映り込む神秘的な「忍野八海」
富士山の伏流水に水源を発する湧水池のひとつである「忍野八海」。富士山に降り積もる雪解け水が地下の溶岩に長い年月をかけてろ過され、澄み切った水に。「忍野八海」の水面には、四季に彩られた富士が映り込み、息を呑む美しさです。
この湧水池は、1934年に国天然記念物に指定され、1985年には全国名水百選に選出されました。出口池やお釜池、底抜池など趣の異なる池がありますので、じっくりと鑑賞したいですね。
富士山の主要登山ルートは4つ!
富士山の主要登山ルートは、多くの登山客が利用する「吉田ルート」、山頂までの距離が最短かつ絶景を望める「富士宮ルート」、自然豊かでご来光が美しい「須走ルート」、距離が長く、人が少ないため、体力が必要な健脚向けの「御殿場ルート」です。
2025年に富士山を登る予定の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
[参考]
ふじのみやNAVI
世界遺産 富士山 とことんガイド
国土交通省 中部地方整備局 富士砂防事務所
ふじさんネットワーク
FUJIYAMA NAVI
AOKIGAHARA JUKAI
Yamanakako info
[All photos by PIXTA]