知多半島の特産銘菓「生せんべい」
1930(昭和5)年、愛知県半田市に創業した老舗「総本家田中屋」。こちらで長く親しまれている伝統菓子が「生せんべい」です。ほんのり甘みが広がり、お餅のようなモチモチ食感が特徴の半生菓子で、焼いたり揚げたりする「煎餅」とは違います!
初期メンバーの「黒糖」「白(蜂蜜)」に、「抹茶」「ゆず」の新商品が加わって、現在は4種類のラインナップ。
「第2回全国和菓子大品評会大臣賞」を受賞するほか、全国菓子博覧会においては「第19回名誉金賞」「第21回総理大臣賞」を受賞。愛知県知多半島の特産銘菓であり、県内の半田市や東海市などの学校給食でも食べられているほど親しまれています。
「生せんべい」誕生の由来
時は遡り、1560(永禄3)年。桶狭間の戦いで織田信長勢に押されて逃れた徳川家康が、半田に着いた頃に百姓家の庭先に干してあるせんべいを見て「生のままでもよい」とおいしそうに召し上がったことから始まります。
家康は半田の滞在中は「せんべいを生のまま献上するように」と伝えて百姓家を去った、と伝わっています。
家康もお気に召した「生せんべい」。なんと、名古屋の「ういろう」や、京都の「生八つ橋」などのルーツにもなっているのではとも云われているのです。
煌びやかな外装とレトロな個包装
詰め合わせのお箱には縁起の良い千鳥や松などを描き、煌びやかで贈答品にもふさわしいデザイン。
こちらは全種類が3個ずつ入っている「箱12ヶ入り【黒糖・白・抹茶・ゆず】」(税込1,180円)。 外装と同じく、個包装のデザインもレトロで可愛らしい!
1個ずつぴっちりと個包装されています。手のひらサイズで、小腹満たしにちょうどいいサイズです。
お味は4種類
生せんべいは、厳選された「純内地米、黒糖、上白糖、蜂蜜」を原料に、食品添加物・合成保存料など不使用で作られています。精米から製粉まで自社で行い、製造工程は、練って蒸して団子を作り、砂糖と蜂蜜を加えて混ぜてさらに練って薄くのばし、切って乾燥させて完成。手が混んでいます!
表面はつややかで、1個は5㎜ほどの厚みがあります。せんべいと銘打っていますが「焼かずに、そのまま」いただきます!
弾力のあるモチモチ食感で、練りに練ってあるためか舌触りがなめらか。歯切れもよくて、ほんのり甘くて懐かしい味わいです。
1個分に見えますが薄いお餅が3枚重なっているのも生せんべいの特徴。「重ねることで層の間に空気が入って旨味が増す」という理由に加えて、実は家康が「初めて食した生せんべいの歴史」の続きにも関係しています。
家康が百姓家を去った翌日、百姓家の娘みつは生のままのせんべいを献上するために岩滑城を訪れます。彼女は家康を密かに慕うようになりますが結ばれることはなく、家康が三河へ旅立った時、みつは知多の山に囲まれた美しい池に入水……。
その際、朝日に輝いていた池の雲母にちなんで、1枚1枚重ね合わせた生せんべいを作るようになった、という言い伝えです。3枚重ねには悲恋も由来していたのですね。
それでは、各種のお味について紹介します!
黒糖
販売当時から愛されている「黒糖」。モッチリ食感とまろやかな甘みにほっこりします。沖縄県産の良質なさとうきびから作られた天然黒糖を使っていて、ミネラルやビタミンなども豊富で、健康的なおやつとしても一役買っています。
白(蜂蜜)
蜂蜜で甘みをつけた「白(蜂蜜)」。家康が最初に食べたものと1番近いのではないかと想像。お米のように噛むほどに甘みが増して、クセのない優しい甘みが広がります。
抹茶
3つ目に誕生した「抹茶」。愛知県西尾産の抹茶を100%使っていて、濃厚な抹茶色が輝いています。甘さは「白」の約半分と控えめで、抹茶の渋味と深い香りの調和が抜群。抹茶好きさんに試してほしい隠れ銘抹茶菓子です!
ゆず
コロナ禍を経て、4つ目に誕生した「ゆず」。ゆずの粉末とペーストで味に深みをもたせ、刻んだゆずの皮をアクセントに加えています。開発時、ゆずを強調すると苦味が勝り、少ないと物足りないという、“生せんべいらしい甘さとゆずのバランス”が難しかったのだそう。
爽快な甘みとサッパリとした苦味が絶妙で、クセになる大人な味わいです!
食べ方のポイント
個包装の上部を横にハサミを入れて切ったり、上下にあるギザギザから裂いて開封して、片手でも食べやすいのも好ポイント。
ハサミで上部を横に切って、裏面のつなぎ目を観音開きのように両手でピリピリと裂くと、手にもくっつかず食べやすくなりました。3枚重ねを丁寧に剥がして味わうのもよし、そのままパクっとモッチモチを楽しんだり、食べ方選びも生せんべいの醍醐味です!
アレンジ
個人的に気になったので、温め方やトッピングも試してみました。
10秒ほど軽く温めたらフワフワ食感になりましたが、焼いても「焼きせんべい」になることはなく、結論「そのまま食べる」が1番おいしかったです!
シンプルな「お塩」、和素材の「きな粉」などをトッピングしたり、お餅代わりにぜんざいに入れたりと、お好みで試してみるのもいいですね。
「箱入り・1枚・お得な切れ端」で販売
- 生せんべい 箱入り
- 2種入り「箱9ヶ入り【黒糖・白】」(税込700円)
- 4種入り「箱20ヶ入り【黒糖・白・抹茶・ゆず】」(税込2,000円)
- 3種入り「箱60ヶ入り【黒糖・白・抹茶】」(税込5,100円)
箱入りは9〜60個まで小刻みに個数と種類ごとに用意されています(賞味期限は箱入り7日間/「抹茶」「ゆず」は4日間)。
贈り先に合わせて選びやすい!
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オンラインショップでは、11月〜3月まで、4枚分が繋がった「【期間限定】ミニ(170g)4枚まで(税込320円)」も販売。賞味期限は10日間
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「お徳用切れ端」1種のみ・2種入り(税込200円台〜300円台)賞味期限は4日間 画像提供:総本家田中屋
店舗によっては、4種類が単品で販売されていたり、製造工程で出てしまう切り落としが「お徳用切れ端」として販売されています。
いずれも購入したら早めにお召し上がりください。
どこで売ってる?
全商品を取りそろえている本店の直売所(半田市)、オンラインショップ、愛知県内のスーパー、愛知県の商品を扱うアンテナショップ、地域を結ぶ直売広場「わくわく広場」でも販売されています。
百貨店などで開催しているお菓子の催事にも出店することもあり。出店予定がある時は公式サイトにて発表しています。
ちなみに、東京・新宿サブナードにオープンした、三重・愛知・岐阜を中心とした東海エリアの商品を扱う総合アンテナショップ「伊勢志摩マルシェ」では、「抹茶」と「ゆず」(各税込157円)の単品と「ミニ(170g)4枚まで」(税込320円)が販売されていました。
徳川家康が愛した“生のままのせんべい”が伝統銘菓となり、令和の現代人にも好まれている総本家田中屋の「生せんべい」。歴史をタイムスリップしたみたいで、感慨深いものがありました。
住所:愛知県半田市清水北町1番地
TEL:0569-21-1594
営業時間:8:30~17:00時
定休日:日曜
交通:名古屋鉄道(河和線)「住吉町駅」から徒歩4分
公式サイト:https://namasenbei.jp/
公式オンラインショップ:https://namasenbei.theshop.jp/
[photos by kurisencho]
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