【ピカソ『ゲルニカ』を無料で見る方法】スペイン・ソフィア王妃芸術センターの見どころ&まわり方ガイド|旅ライターの裏技・愛用品教えます

Posted by: もろたけいこ

掲載日: Aug 1st, 2025

旅好きなライターたちが、実際に活用している旅の裏技や愛用品、便利グッズなどを紹介する当連載。第50回目の今回は、ピカソ『ゲルニカ』を無料で見る方法について。スペインの首都・マドリードには、20世紀以降の現代アートを専門に扱う「ソフィア王妃芸術センター(Museo Reina Sofía)」があります。ここは、パブロ・ピカソの代表作『ゲルニカ』が所蔵されていることで世界的に有名。さらに、スペインのアーティストとして著名なダリ、ミロといった現代美術も見ることができるのですが、実は無料でこの名作に出合う方法があるのです。今回は、その方法と見逃せない作品たち、効率的なまわり方まで、現地で体験した視点でご紹介します!

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必見!『ゲルニカ』ってどんな作品?

まず、ピカソの『ゲルニカ』の紹介です。縦3.5m×横7.8mという巨大なモノクロのキャンバスには、スペイン内戦下の1937年にドイツ軍によって行われた無差別爆撃「ゲルニカ空爆」の惨状が描かれています。戦争の悲劇と人間の苦しみを象徴的かつ抽象的に表現したこの作品は、反戦のシンボルとして知られ、アートファンのみならず多くの人々の心を打ちます。

教科書などで見たことがあるという人も多いかもしれませんが、実物の迫力は想像を遥かに超えるもの。馬が口を開いて絶叫し、母が泣きながら赤ん坊を抱え、兵士の手がちぎれ、爆弾の光が眩しく照らす――ピカソ特有のキュビズムが極限まで悲劇を抽象化し、私たちの心に重く訴えかけてきます。この作品を見るだけでも、マドリードに来た価値があると言えるでしょう。

無料で入れる時間帯をチェック!

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有料だと思われがちな美術館も、実は時間を選べば無料で楽しむことができます。ソフィア王妃芸術センターでは、以下の時間帯に限り入場料が無料になるのです。

ソフィア王妃芸術センター 無料入場の時間帯
月曜〜土曜:19:00〜21:00(※火曜は休館)
日曜:13:30〜14:30

このうち、最もおすすめなのが月曜〜土曜の19時以降。なぜなら、2時間という比較的ゆとりある時間枠のなかで、混雑もやや落ち着き、閉館間際の静かな空間で作品をじっくり堪能できるからです。

通常の入場料は12ユーロ(大人一般料金)ですが、この時間なら混雑していても、並んでいれば無料で案内してもらえます。あえて無料の時間を狙うのも手です!

『ゲルニカ』を見るベストルートと注意点

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ピカソの『ゲルニカ』は2階のRoom 206に展示されています。入館したらすぐに2階へ移動しましょう。エレベーターもありますが、混雑していると時間がかかるため、可能なら階段を使うのがおすすめ。

Room 206にたどり着くと、白い壁一面に『ゲルニカ』がどっしりと鎮座しています。そのスケールの大きさは想像以上で、実際に見ると圧倒される存在感。2023年から撮影がOKになり、より人気が高まっています。常に人が集まっている作品なので、マナーを守って鑑賞しましょう。

無料時間に見るべき!現代アートの注目作品

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無料時間でも楽しめるのは『ゲルニカ』だけではありません。以下の作品や展示室はぜひ見ておきたいところです。スペインの現代美術を代表するアーティストたちの名作をお見逃しなく。

ダリ:『偉大なる手淫者』(El gran masturbador、1929)Room 205

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サルバドール・ダリの代表的なシュルレアリスム作品で、ダリといえば……! の作品として教科書で見た方もいるのではないでしょうか? カタルーニャ海岸の岩を思わせる歪んだ人間の頭部を中心に配置。そこから裸婦や、昆虫(バッタやアリ)など性的・死生観を象徴する要素が飛び出しており、ダリの世界観を表現しています。

作品には、幼児期のトラウマや自己と他者との関係性が折り重なり、バッタに群がるアリは性への不安、草花は純潔の象徴とされ、鑑賞者に強烈なイメージと精神的緊張を与えると解説されることがあります。

ピカソ:『青衣の女』(Mujer en azul、1901)Room 201

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ピカソの作品群を語るときに「青の時代」があります。この作品は、まさにピカソの若き日の作品で、青の時代の始まりを告げる一作です。1901年、マドリード滞在中に制作された油彩で、抑えられたトーンの青やグレーによる色調が、当時の社会的な孤独や物憂さを映し出しています。

モデルは文学界や社交界に属する女性で、若年期のピカソが多く手掛けた「モダニズム的ポートレート」の流れを汲む作品です。ドガやゴヤの影響が感じられ、後に立体的なキュビズムへと向かう過程の重要な一歩と言えると解説されています。

ミロ:『パイプをくわえた男』(Hombre con pipa、1925) Room 206

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ジョアン・ミロのシュルレアリスム作品群の一つで、1925年のパリ在住期に制作され、自動筆記や瞬間的な描線によって自由に描かれたこの「夢の絵画」は、ユーモラスでアイロニックな主題が特徴。人物とその背景が溶け合う曖昧さを活かし、抽象表現とシュルレアリスムの融合を図った作品です。ミロといえばの作品で、一見の価値があります!

ダリ:『透明人間』(El hombre invisible、1929–33)Room 206

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ダリの透明人間も面白い作品なので、必見です。1929〜1933年制作、ダリの初期における「だまし絵」の試みの一つです。未完成かつ「失敗作」とされたものの、植物や果物で構成された顔のイメージ、エロティックな暗示と錯覚的構成は、ダリが後の視覚トリック作品へ向かう過程を明示しています。見ると楽しいポイントは、遠ざかると透明人間が現れること。

『透明人間』(El hombre invisible、1929–33)
近くで観ていると、つい不思議な像や山などに目が行ってしまう。
しかし遠ざかって全体を眺めると、膝の上に手を置いて座っている男性(=透明人間)が現れる仕掛けになっており、二通りの楽しみ方ができる。

とガイドブックでは紹介されていました。実際に試してみるとダリの世界に少し寄り添えた気持ちになれます。

所要時間は?効率的な回り方

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無料入場の2時間を有効に使うために、こんなまわり方をおすすめします!

  • 19:00 入館
  • 19:10〜19:40 『ゲルニカ』鑑賞(ゆっくり観たいならここで30分確保)
  • 19:40〜20:20 Room 201〜207(主に2階)でダリ・ミロの作品を鑑賞
  • 20:20〜21:00 ミュージアムショップを覗く or 『ゲルニカ』へもう一度戻る

ミュージアムショップは20:45には閉店してしまうので1周回って、一旦お店へ行くのも手です。胸打つ作品を見つけたとき、またミュージアムショップがお好きな方は閉店時間に注意してまわりましょう。

曜日によって混雑具合は異なりますが、水曜や木曜の夜は比較的空いている傾向があるそうです。閉館間際の静かな空気の中で、作品とじっくり向き合えるのもこの時間帯ならではの魅力です。

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名画『ゲルニカ』を無料で、しかも静かに楽しめるという贅沢。ソフィア王妃芸術センターでは、ピカソだけでなく、ダリ、ミロ、といったスペインが誇る現代アートの巨匠たちの作品も一度に見ることができます。

旅の予定にうまく組み込めば、たった2時間でアート尽くしの濃密な体験ができること間違いなし。マドリードに行くなら、ぜひこの“無料でゲルニカ鑑賞”の裏技を使ってみてください!

ソフィア王妃芸術センター
所在地:C. de Sta. Isabel, 52, Centro, 28012 Madrid, スペイン
営業時間:月〜土曜 10:00-21:00/日曜 10:00-14:30
休館日:火曜日
https://www.museoreinasofia.es

※情報は掲載日時点のものとなります。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。
© Keiko Morota

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PROFILE

もろたけいこ

Keiko Morota ライター/テレビプロデューサー

某キー局勤務・ドラマプロデューサー。多忙な仕事のスキマ時間で旅をするスキマトラベラー。世界一周も2回経験し、81カ国渡航・行っていない大陸は南極だけ。女性誌の読者モデルを務め、旅とファッションも諦めず、時にはバックパックも背負う冒険家スタイル。最近はマイルハックも勉強中でお得に旅する方法を追求中。

某キー局勤務・ドラマプロデューサー。多忙な仕事のスキマ時間で旅をするスキマトラベラー。世界一周も2回経験し、81カ国渡航・行っていない大陸は南極だけ。女性誌の読者モデルを務め、旅とファッションも諦めず、時にはバックパックも背負う冒険家スタイル。最近はマイルハックも勉強中でお得に旅する方法を追求中。

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