
感情や記憶と強く結びつく「嗅覚」に着目
約1,400年の歴史をもつ日本の香文化。仏教伝来とともに日本に伝えられたとされる「お香」は、平安時代には貴族の教養として、鎌倉時代から室町時代には武士たちの嗜みとして、江戸時代には芸道として確立しました。
さらに、香席での心得や四季や文学になぞらえた遊び、洗練された作法、香道具の意匠など、お香の世界は奥深く広がっていきました。そうした日本の香文化を題材にした企画展を開催するにあたり、「嗅覚」が五感の中でも感情や記憶に強く結びつき、生活においても重要な役割を果たしていることに着目。
来場者の視覚だけでなく嗅覚も刺激する新たな体験を生む企画展として、2025年2月に下北沢 BONUS TRACK GALLERYにて「言葉でつなぐ、私と香り展」が開催され、好評を博しました。
来場者と香りをつなぐ特別な体験
日本の「香り」は、四季や美意識と共に、時代ごとに姿を変えながら、生活を彩ってきました。古来より和歌や漢詩、物語などで「香り」は多く取り上げられ、「言葉」と「香り」は密接な関わりがありました。
同企画展「言葉でつなぐ、私と香り展」では、世界に誇るべき日本の文化のひとつ「香り」の多様な魅力が、さまざまな手法で紹介されます。
メイン展示では、現代で言葉を紡ぐ小説家と香りとのコラボレーションにより、来場者参加型のインスタレーションを制作。独自の文化を育んできた日本の香りが、現代を生きる人々の日常に彩りを添えるとしたら? 来場者一人一人と香りをつなぐ、特別な体験ができますよ。
前回会場の様子(2025年2月「言葉でつなぐ、私と香り」@下北沢BONUSTRACKGALLERY)
展示構成
来場者参加型インスタレーション(新作1編追加)
メイン展示は、創業300余年の「香老舗 松栄堂」が作り出すお香の香りと、現代に活躍する直木賞作家の千早茜氏が紡ぐ言葉(金沢展では新作1編を追加して計6編)をコラボレーションした来場者参加型のインスタレーションです。
来場者は、嗅覚と視覚を使って、現代に新たに生まれたインスタレーションを体感することができます。自身の感覚や感性のままに自由に香りと言葉を組み合わせることで、自分だけの「香りの栞」を作成でき、購入できます。
「香りの栞」は物販レジにて550円(税込)で販売。各日数量限定です。
インスタレーション(2025年2月「言葉でつなぐ、私と香り」@下北沢BONUSTRACKGALLERY)
1979年生まれ。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は2009年に第37回泉鏡花文学賞も受賞した。2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞を、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞を、2023年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した。他の小説作品に『男ともだち』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『さんかく』『ひきなみ』『グリフィスの傷』『雷と走る』やクリープハイプの尾崎世界観との共著『犬も食わない』等。食にまつわるエッセイも好評で「わるい食べもの」シリーズ、新井見枝香との共著『胃が合うふたり』がある。[X(Twitter)]
日本の香文化紹介コーナー
平安〜江戸期の香文化の変遷や、多様なお香が展示されています。日本の香り文化の奥深さを紹介。会場でお香の原料の香りが体験でき、「香り」の成り立ちをより直感的に感じることができます。
お香の原料(2025年2月「言葉でつなぐ、私と香り」@下北沢BONUSTRACKGALLERY)
香りのポンプ(2025年2月「言葉でつなぐ、私と香り」@下北沢BONUSTRACKGALLERY)
新企画「香りの迷路」
来場者が“鼻”を頼りに、香りをたどりながら進む、香り探索体験エリアとなっています。香りの違いや特徴に意識を集中して楽しむ、金沢展より新たに導入された新感覚コンテンツです。
トークセッション[事前予約制]
調合師が抽象的なイメージからお香の香りを創り、小説家が“香りの気配”を文章へと変換するプロセスを読み解きます。“構成美”の共通点に迫るトークセッションです。
日時:2026年5月9日(土)14:00~
会場:会場内特設ブース
登壇:千早 茜氏(小説家)、藤本 悌志(香老舗 松栄堂/調合師)、江南 亜美子氏(進行:京都芸術大学 准教授/書評家・ライター)
※事前予約は[松栄堂予約サイト]にて受付
ワークショップ「匂い香づくり」[事前予約制]
来場者が自分で香原料を調合し、オリジナルの“匂い香”づくりができるワークショップです。
物販ブース
多様なお香の世界を楽しめる、松栄堂の商品を販売。書籍は、千早 茜氏の香り三部作「透明な夜の香り」「赤い月の香り」「燻る骨の香り」(2026年4月26日(日)発売予定)が並びます。そのほか、松栄堂の編集によるお香の文化史「香千秋」、香りエッセイ「香り風景 全三巻」も販売されます。
会場の「金沢21世紀美術館」(画像提供:金沢市)

会期:2026年4月29日(水)~5月10日(日)
開場時間:10:00~18:00 ※5月10日(日)のみ16:00閉場
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA 全室(1階)
アクセス:【タクシーで】JR「金沢駅」から約10分/【バスで】JR「金沢駅」から「広坂・21世紀美術館」下車すぐ。または「香林坊(アトリオ前)」下車、徒歩約5分
入場料:無料
詳細URL:https://www.shoyeido.co.jp/topics/2026/03/kanazawa21.html
香老舗 松栄堂 公式サイト:https://www.shoyeido.co.jp/
[Instagram]


