アメリカ・カリフォルニア州とネバダ州との州境に位置する国立公園「デスバレー」は通称「死の谷」。1 万3500k㎡ほどの広さを持ったアメリカ本土最大の国立公園かつ人気観光地でありながらも、この恐ろしい異名を持つ理由は気象条件にあります。
最高気温、降水量ゼロ記録保持
真夏の気温は摂氏38度を越えることが常であり、年間平均降水量はわずか50mm足らずという灼熱の谷。今からちょうど100年前の1913年7月10日には観測史上最高の摂氏56.7度を記録したそうです。さらに、1929年と1953年には年間降水量「ゼロ」も記録。少しも雨が降らず56.7度とは…まったく想像がつかない領域です。
「死の谷」を思わせる奇妙な地形
過酷な気象条件は地形に様々な影響をもたらすことになります。ポイントはいくつかありますが、西半球で最も海抜の低い地点(マイナス86メートル)であり最も気温が高くなる元・塩水湖「バッド・ウォーター」、大きな岩塩がごろごろと密集し、悪魔でもなければここでゴルフは出来ないという意味で名付けられた「悪魔のゴルフコース」など、そのどれもが「死の谷」らしく物騒な名前を持っています。
深まる謎…目撃者がいない動く石
その中でもひと際、注目されているのが「レーストラック」。ここには何と「動く石」があるというのです。公園内の主要道路からは外れ、オフロード用の四駆に乗り換えてデコボコ・ガタガタした道なき道を揺れること2時間半。延々と荒野を進み、ようやく正面に見えてくるのが干上がった湖の跡地です。
摩訶不思議な模様の地面に転がる無数の石には、確かに動いたような軌跡がクッキリと見て取れます。その距離は数百メートルに及ぶにも関わらず、これまで実際に石が動くところを見た者は誰一人いません。魔法か、エイリアンか、磁気か…様々な研究者・研究機関(その中にはNASAの名前も!)がこの謎の解明に挑んでいますが、仮説が立てられては打ち破られ、未だ何が原因なのか分かっていないのが現状です。
観測史上、最高気温を記録した1913年からちょうど100年の今年、デスバレーは6月から7月にかけて記録的な熱波に見舞われていました。今後、温暖化が進む地球において、その記録はいつ破られるのか。そして、動く石の正体とは何なのか。世界中の有識者たちが注目しています。
[Death Valley National Park]
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