日本ではなかなか試せないメキシコ定番の味
世界無形文化遺産にも登録されるメキシコ料理ですが、そのなかでも、なんといってもポピュラーな料理はタコス。
メキシコ旅行で絶対に食べてほしい定番タコスで、なかなか日本では試すことができないメキシコ定番の味が、タコス・アル・パストールです。
アチョーテ(ベニノキから出来る食紅)、チレ(トウガラシ)、にんにくなどが入ったスパイス液にマリネした豚肉を、串に一枚ずつ刺し、最終的に大きなかたまりになったものを、ドネルケバブのように回転させながらバーナーで焼きます。そして、その焼き肉をナイフで丁寧にそぎ落としたものをタコスの具にします。調理時に、タマネギやパイナップルも焼くので、その甘みが肉に染み込み、格別な美味しさ。外側はパリッ、中はジューシーな肉にコリアンダー、タマネギのみじん切り、レモンをギュッと絞っていただきます。もちろんワカモレやピリっと辛いサルサ(ソース)も忘れずに。
メキシコ全土で食べられる料理ですが、とくにメキシコシティにはパストールの美味しい店が多いとされています。
メキシコシティ中心部近くの住宅街にある激ウマなタコス屋、「フアン・ビステセス」のパストール © Miho Nagaya
メキシコシティに数店舗ある高級なタコス屋、「エル・カリファ」のパストールも絶品 © Miho Nagaya
タコス屋で提供されるソースいろいろ。パストールは、ワカモレと相性バッチリ © Miho Nagaya
肉を薄く削るのにも熟練の技が必要なんです © Miho Nagaya
ケバブの孫、パストールの由来
パストールが生まれたのにはいろいろな説があるようです。なかでも有力なのが、メキシコシティの隣の州、プエブラに1960年代から住むようになったレバノン系移民たちがドネルケバブにヒントを得て、ピタパンの替わりにトルティージャ(トウモロコシ粉でできた薄焼きパン。メキシコの主食)を使ったのが、アラブ風タコスを生んだといわれています。
1970年代にはトルコのケバブを自動的回転しながら焼く電気調理器がメキシコに輸入され、アラブ風タコスで子羊の肉を使うところを、メキシコで手に入るアチョーテやチレと相性がよい豚肉が使われるようになり、そのタコスをパストール風(中東の牧養者たちの村)と呼ぶようになりました。しかしそのタコスを始めたのが、プエブラが先か、メキシコシティが先かで未だに論争が続いているようですよ。
うんちくはともかく、夜遊びした後に屋台で食べる、パストールは美味しいんですよね。
日本で呑んだ後に食べるラーメンみたいなものでしょうか?