朝の連続ドラマ『花子とアン』で、気になるのが、花子の憧れの女性で友人の蓮さま。仲間由紀恵さんが好演していることもあって、ヒロインよりむしろ蓮さまが気になるくらいです。
蓮さまは柳原白蓮という歌人がモデルです。人生は旅というけれど、己の愛を貫き通す為に、険しい旅を選んだ女性でした。
大正天皇のいとこにあたる柳原白蓮は、不幸な家庭環境により、2度の恵まれない結婚生活を送った末、運命の人に出逢いました。
夫を持つ身でありながら、本物の恋に出逢った白蓮は、恋人に700通もの恋文を書き送ったそうです。情熱は奔流のように、彼女の中から溢れ出たのでしょう。
華族のお姫様でありながら、その感情は激しく、相手にも真剣であることを促しています。中途半端な気持ちでは、私の相手は無理なのよと。
恋文より
「覚悟していらっしゃいまし。こんな恐ろしい女、もういや、いやですか。いやならいやと早く仰い。さお何うです。お返事は?」
切なく、愛しく、溢れる恋心
恋しゅうて なつかしゅうて 悲しゅうて どうしたらよいやら りうさま(宮崎龍介)
(恋しくて 逢いたくて そばにいられないと寂しくて あなたなしにはどうしたらよいのでしょう 龍介さま)
ひるの夢 あかつきの夢 さめての夢に 命細りぬ
(昼も、夜明けも、夜も、あなたを夢に見続け、夢から覚めてまたあなたを想うのです。なんと物狂しいことでしょう。)
吾は知る 強き百千(ももち)の恋ゆゑに 百千の敵は嬉しきものと
(やっと出逢った本物の恋だから、障害がどれだけあろうと怖くはないのです。)
君故に死も怖るまじ かくいふは魔性の人か 神の言葉か
(あなたさえいれば死ぬことも怖くないなどと思うのは、私が魔性の女なのでしょうか それとも神が私に言わせるのでしょうか。)
わが命 惜まるるほどの幸を 初めて知らむ 相許すとき
(この人と一緒にずっと生きたい、自分の命を尊く思える相手と巡り会えたのは、なんと幸せなことでしょう。)
実際の柳原白蓮は、儚げな美人。短刀を突きつけるかのような恋文や、情熱的な短歌を紡ぎ出した本人とは思えないほどです。この美貌+秘められた情熱で押しまくったわけですね。何もかも捨てて駆け落ちし、苦労の末一緒になり、生涯を添い遂げました。
「何もいらない、彼さえいれば」と思ったように、一緒になったあとは、物質的には苦労が続いたようです。
TVで蓮さまの年下の恋人(のち3度目の夫)役 宮本龍一(宮崎龍介のモデル)。
線の細いハンサムですね。情熱的な恋に落ちるのも頷けます。
で、実際の宮崎龍介氏(社会運動家)。
うーーーん、想像とはちょっと違いました。
白蓮と一緒になった後、結核に倒れたため、白蓮が筆で家計を支えたそうです。
それでも、二人の子どもに恵まれ、最愛の夫に看取られて終えた幸せな生涯でした。
「花子とアン」で、二人が出逢う舞台なったカフェのモデルは、銀座のカフェーパウリスタだそうです。
この店のキャッチフレーズは、
「鬼の如く黒く
恋の如く甘く
地獄の如く熱き
コーヒー」
柳原白蓮と宮崎龍介氏のドラマチックな恋愛のようです。