ピレネー山脈の麓、スペインとフランスの国境にまたがるバスク。南はスペイン領、北がフランス領というユニークな地域です。フランス国内のバスク地方はかつてはスペイン領だったこともあるため、スペインの影響が今でも色濃く残ります。
その影響は食文化にも見られます。フランス料理は地方ごとに特色があるものの、唐辛子はどの地域でもあまり使われることがありません。そのせいか「フランス人は辛いものが苦手」なんていうのはよく聞く話。
ところが、バスク地方は別なのです! この地域を構成するEspelette(エスペレット)という小さな村では古くから唐辛子の栽培が行われており、その歴史は大航海時代まで遡ります。コロンブスと共にアメリカ大陸へ渡ったバスク人が持ち帰ったのが始まりなのだとか。
そんなわけで、バスク地方の郷土料理にはエスペレット産の唐辛子を使ったものが多いのです。時期になると、各家庭の軒先には唐辛子を吊るして乾燥させる様子が風物詩にもなっているほど。
毎年10月最後の週末には『唐辛子フェスティバル(Fete du piment)』が開催され、その年の収穫を盛大に祝います。
このフェスティバル、国内外から毎年2万人もの観光客が訪れるというビッグなイベントです。地元の唐辛子を使った料理、唐辛子や加工品のブースが村を鮮やかに彩ります。ダンスやパレードなどが繰り広げられるほか、地元のSt Etienne教会では、大地の恵みに感謝の気持ちを込めた礼拝も行われます。
エスペレット産の唐辛子はマイルドな辛さで、パプリカに似た味わいだと言われています。そのクオリティの高さはフランス国内だけでなく、世界も認めるほど。現在では日本を含む、世界の地域に輸出されています。
バスク料理を実際に味わって、エスペレットに思いを馳せてみるのも素敵かもしれませんね。また、国内の通販でもバスクの料理や調味料を扱っているところもあるようですよ。
[france-voyage.com]
[espelette.fr]
[telegraph.co.uk]
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