だんだんと日が短くなり、吹く風に秋が感じられる今日この頃。 草むらや木陰から虫の声が聞こえてくる季節となりました。まだまだ暑さが残りますが、リーン・・・リーン・・・という涼しい鈴虫の音色を耳にすると、厳しい1日の暑さを忘れ、しんみりと秋の訪れを感じるものです。
このように鈴虫といえば「秋」のイメージですが、京都には1年中を通して鈴虫の音色を耳にすることができるお寺が存在します。
一年中鈴虫の音色が聴こえるお寺
一年中鈴虫の音色が絶えることのないお寺、それは嵐山(西京区)に位置する妙徳山 華厳寺。「鈴虫寺」の愛称で親しまれ、いつも悩みやお願い事を胸に訪れる人が後を絶えず「行列のできるお寺」としても有名です。
家まで歩いて願い事を叶えに来てくださるお地蔵様
長期休暇の時期には、境内に入るために順番待ちする参拝者の数時間待ちの列ができることもあるという鈴虫寺。人々が一心に手を合わせて拝むのは、ふっくらと優しそうなお顔をした「幸福地蔵様」です。
「この世の願いならどんなことでも一つだけ叶えてくださる」というお地蔵様にぜひ願い事をさせていただこうと、日本全国からたくさんの参拝者が訪れます。それぞれ願いは様々ですが、恋愛成就や良縁の祈願に訪れる方が多いのだとか。
ところで、鈴虫寺のお地蔵様は、日本で唯一わらじをお履きになられたお地蔵様として知られています。どうしてわらじをお履きになられているのでしょうか?
それは、お地蔵様が願いを叶え、お救いの手をさしのべるために、お願い事をした人のお家まで歩いて来てくださるから。お地蔵様に手を合わせて一心にお願いをすれば、はるばる家まで歩いて願いを叶えにきてくださるのです。
ですが「どんな願い事も叶えてくださる」とはいえ、参拝の方法や参拝者の心得をしっかりとわきまえてお参りする必要があります。そのため、鈴虫寺を訪れたらお地蔵様に参拝する前に、まずは本堂を訪れ、お坊さまの御説法を拝聴しましょう。
鈴虫の音色と説法に心洗われる
鈴虫の音色が響き渡る本堂の書院では、お坊さまによる「鈴虫法話」という御説法が行われます。鈴虫寺についてのお話、幸福地蔵様のお参りの仕方、そして日々の心の持ち方についてまで、30分程に及ぶさまざまな有難いお話を拝聴することができます。
御説法というと「なんだか堅苦しそう・・・」と感じる方もいるかもしれませんが、とても軽快で面白いお話しをしてくださるので非常にわかりやすく、毎日の生活でぜひ心に留めておきたい、たくさんの大切なことに気づかされます。
何かと悩みや不安が絶えない人生ですが、鈴虫の音色と御説法を聞いた後は、きっとどこか心洗われたような気持ちになることでしょう。鈴虫寺参拝は、自分自身や人生をしっかりと見つめ直し、心の中を整理する貴重な機会となるはずです。
(C) Mami Kosakai
幸福地蔵様の化身であるお守り。いつも身につけ、お寺で拝聴した御説法を胸に日々精進したいですね。
今一番叶えたい願い事は何ですか? どうしてそう願いますか? どんな風になりたい、どんな人生を送りたいですか?
自分自身にしっかりと問いかけ、ひとつだけお願いしましょう。あとはお地蔵様が見守ってくださっていると信じて日々精進すれば、お地蔵様がやってきて、きっと願いを叶えてくださることでしょう。
願い事が叶ったら、お地蔵様へのお礼参りにも忘れずに訪れたいですね。
小坂井 真美 ライター
クロアチアの首都ザグレブ在住。現地での色々な仕事の傍ら、フリーライターとしてクロアチアを中心とした南東欧諸国について執筆。趣味は街歩き、食べ歩き、寺歩き、そぞろ歩き。仲間、明るい太陽とおいしいごはんがあれば幸せ。人生は旅。たくさんのモノ・人・土地と出逢いをエネルギーに、日々心の赴くままに邁進中。
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