涼しいこれからの季節にぴったりの「甘口ワイン」。こっくりしたまろやかな口当たりは、秋の味覚にもマッチしやすい印象です。

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フランスにはさまざまな天然の甘口ワインがあるのですが、今回ご紹介する「Banyuls(バニュルス)」は造り方がとても個性的。ワインの入った大きなガラス瓶を陽に当ててブドウの発酵を促す、珍しい製法の甘口ワインです。
地名であり、ワイン名でもある「バニュルス」って?
以前TABIZINEでお伝えした、スペインにほど近い南仏のリゾート地「ポール=ヴァンドル」。今回ご紹介する甘口ワインの産地「バニュルス」も、ポール=ヴァンドルと同じ「ラングドック・ルシヨン」という地域にあります。ちなみに「バニュルス」は、ビーチ沿いにカフェやレストランが多く立ち並ぶ観光スポットでもあります。

バニュルスの街並み (C) sweetsholic
夏の日照時間が長いことで知られるラングドック・ルシヨン地域は、ワインの生産が盛んです。なかでも、天然甘口ワインの生産量は国内随一! フランス国内の甘口ワインの9割は、当地で生産されています。
バニュルスやポール=ヴァンドル、コリウールなどの地域で造られる甘口ワイン「バニュルス」は、その製造過程がとてもユニーク! 巨大なガラス瓶にワインをたっぷり詰めて、強い日差しに数カ月間さらしたのち、ワイン樽に移して熟成させます。発酵途中でアルコールを添加して強制的に発酵を止めることで、ブドウ本来の甘みが残るワインに仕上がるそうです。アルコール度数は、通常のワインよりも高く16%程度。

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ちなみに発酵途中にアルコールを添加しないと、ワイン風味のビネガーになります。このため、ワインと同じくブドウから造られる赤ワインビネガーも、バニュルスの特産品のひとつ。お酢なのにフルボディという表現がふさわしい、存在感のある味です。

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気になる「バニュルス」ワインの味わい
甘口ワイン「バニュルス」には、赤と白がありますが、メジャーなのは赤。というわけで、入手しやすい赤ワインを試してみました。「バニュルス」の赤は、12〜15℃程度で飲むのが最適ということで、冷蔵庫で冷やしてから試飲することに。

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冷んやりした口当たりのせいか、赤ワインベースのカクテルのような、甘くてフルーティーかつ濃厚な味わいです。オレンジやリンゴなどを浮かべてもおいしそう。当地では、バニュルスをベースにしたサングリアをよく見かけるのも納得! ちなみに赤のバニュルスは、チョコレート系のデザートとの相性も抜群だそうですよ。
国内でも通販サイトなどで取り扱いがあるようです。南フランスに脳内旅行しながら、バニュルスを堪能してみてはいかがでしょうか。
[書籍『Culinaria France』]

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