ケバブは日本ではあまり馴染みのない料理ですが、フランスではどこの地域でも手軽に買えるファーストフードの代表格のようなものです。
以前ケバブの安価なお肉の衛生問題が報道されてから、フランスではケバブは不健康なファーストフードとして認識されるようになりました。しかし、この風潮も少しづつ変わりつつあります。パリの1区に「Grillé/ グリエ」というケバブのお店がオープンしました。ここのケバブは高級ケバブとして、今パリジャンの間で話題になっています。
Grilléの立ち上げ人たち
この高級ケバブを仕掛けたのはパリで話題のビストロ「ル シャトー ブリアン」の共同経営者であったフレデリック・プノー。肉の質にこだわりを持つ、星付きレストラン御用達の有名肉屋のユーゴ・デノワイエ。「Grillé」はパリのグルメ界を担う人たちによって立ち上げられたケバブなのです。
こだわりの素材を使ったケバブ
「Grillé」のケバブは何より良い素材を使っているのが特徴です。ピタパンは無農薬のスペルト小麦粉(古代小麦粉)を使い、毎日店内で作られています。キッチンはオープンになっているので職人がピタパンを捏ねている姿が見えます。普通ケバブでは冷凍のピタパンを使っていることが多いのですが、ここでは出来立てほやほやのピタパンを出しているのです。作り立てのピタパンはしっかりと素材の味を感じることができ、ピタパンひとつとってみても奥深い味わいです。
「Grillé」ではユーゴ・デノワイエの上質なお肉を使っています。朝からじっくりとハーブと焼いているそうです。ケバブのお肉は脂っこいのが普通ですが、「Grillé」のお肉はあっさりとして食べやすいのです。最後まで胸焼けすることなく食べきることができる美味しさです。「Grillé」のケバブの野菜とハーブはこれまた有名レストランも使っているアニー・ベルタンから仕入れをおこなっています。
「Grillé」のケバブとは
「Grillé」のケバブのソースは2種類あります。白ソースは白チーズと西洋わさび。緑のソースはグリーントマトと緑唐辛子とシシリアの玉ねぎ。今回食べてみたのは白ソースのケバブです。普通のケバブとは違いあっさりとしていて、脂っこいはずのケバブがヘルシーに感じられるほどです。そして一つ一つの素材の美味しさが感じられるケバブなのです。またオプションにあるフライドポテトはじゃがいもを削り店内で揚げたものを出しています。
不健康なイメージであったケバブもこうして食材にこだわりを持って作られると、全く別物となります。現在パリでは良い食材を使いこだわりを持って作られるファーストフードが次々に生み出されています。今後パリでどういった本物志向のファーストフードが出てくるのでしょうか。楽しみですね。
[Grillé]
[All photos by Nanako Kitagawa]