焼きたてのフランスパンのおいしさは格別ですが、食べきれずすぐカチカチになってしまう人も多いのではないでしょうか。
この硬くなったフランスパンをもう一度柔らかくするテクニックはないのでしょうか?
そこで今回は地元人気店のパン職人に、フランスパンを柔らかくする方法、ならびに長く保存する方法を聞いてきました。
食べられない分は最初に冷凍保存をしてしまう
早速、近所にある人気のパン屋に出かけた筆者。店主に記事の趣旨を説明すると、名前は出すなと言われたので人気店と紹介をとどめておきます。
お店に入ると、バゲットがかごに数本入っていました。ところでこのバゲット、フランスパンとは何が違うのでしょうか? 聞いてみると、フランスパンとは「フランスのパン」という意味であって、その中にバゲット、クロワッサンなどが含まれているとか。
日本人が一般的にイメージする「フランスパン」は、パリジャンと呼ばれるタイプです。ただ、パリジャンは売っていませんでしたので、一回り小さいバゲットを購入させてもらいました。
「食べきれずに放置して硬くしてしまったバゲットを、柔らかくする裏技みたいなものはあるのでしょうか?」レジを済ませる間にスタッフの方に聞いてみると、店員の方は即答しかねているようでした。奥の方から、
「う~ん、難しいですね」という声も聞こえます。パン職人の方です。とにかく早く食べる以外に手はないという趣旨のお答えでした。
確かにその通り。やはり早く食べてもらいたいという作り手の気持ちも十分に理解できます。筆者もこのおいしそうなパンを今すぐ食べたいという思いはあったのですが、あらためて言葉を変えて聞いてみると、
「スープに入れたり、スープに付けたりして食べるといいと思います」と、期待した答えとちょっと違うヒントを得られました。
「食べきれないと思ったら、カットしてジッパー付きの保存用袋に入れ、密封して冷凍保存してください。食べるときは、凍ったまま焼いてください」だとか。これはこれで貴重な情報ですが、肝心の答えを引き出そうとあれこれ聞いていると、
「霧吹きで水を掛けてから、アルミホイルで包んで焼くとふわふわになりますよ」と、同じく買い物をしていた年配の女性が横から助言をくれました。その方は、いつもその方法でパンの柔らかさを取り戻しているとか。
「なるほど」と筆者がうなずくと、「それは確かにいいと思います」とレジを担当するスタッフの方も同意してくださいました。
霧吹き+アルミホイルでフランスパンはふわふわに
家に持ち帰った後、パンを作った方には本当に申し訳ないのですが、あえてバゲットを1日、常温で放置しました。その上で翌日に教えてもらったテクニックを実践します。
1日寝かせたバゲットは、紙袋から出してみると表面から軽く水分が失われている様子でした。サバンナの奥地で人知れず年老いていく、寡黙(かもく)なゾウの皮膚を連想させます。
パン切り用のナイフを入れると、確かに硬くなっていました。思った以上にカチコチになっていなかったのですが、それでもかじってみるとやはりなかなかの歯ごたえに。そこで教えてもらった通り、カットしたバゲットに霧吹きで水を吹き掛け、アルミホイルに包んでオーブントースターで2分ほど焼きます。
外ではみぞれ混じりの雨が降り始め、雷が鳴り響いていました。また北陸に冬が来たなと思って外を眺めていると、オーブントースターがチンと鳴ります。オーブンを開けてアルミホイルをつまみ、机の上に引っ張り出して開いてみるとびっくり。
「おお」と思わず、筆者は声を上げてしまいました。包みを解くと軽く湯気が上がり、中にはお風呂上がりの赤ちゃんのようにプリプリしたバケットが横たわっていました。
早速、かじってみると、間違いなく柔らかさが取り戻っています。大成功ですね。
もちろんパン職人の言う通り、パンは買ってきたそばから食べてしまう方がいいです。食べられないと思ったら冷凍保存をした方がいいのですが、硬くしてしまった場合は、霧吹き+アルミホイルで包んで、軽くオーブントースターで温めればいいのですね。
もちろん、パンはあの手この手で全ておいしくいただきました。皆さんも試してみてくださいね。
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