フランスのグルノーブルはアルプス山脈の麓に位置します。自然の厳しさを肌で感じられる街。グルノーブルに足を踏み入れると、まず絶壁の岩山に出くわします。思わず息を呑むほど、圧倒的な岩石の山々。その頂上にバスティーユ城塞があります。
バスティーユといえば、フランス革命のバスティーユ牢獄を思い浮かべる方も少なくないかと思います。同じバスティーユでもグルノーブルのバスティーユは中世の城塞を意味します。
グルノーブルの街の見所、岩山を掘り抜いて作られたバスティーユ城塞を紹介したいと思います。
バスティーユ城塞の歴史
バスティーユ城塞の計画は16世紀に始まりました。当時の建物は保存されておらず、現在のバスティーユ城塞は19世紀に建設されたものです。防衛のため、岩山の頂上476mに建てられましたが、一度も襲撃をされることはありませんでした。その後、大砲が使用されるようになってからは役目を終え、観光名所となったのです。現在は美しい眺めのレストランや美術館ができ、街の人々の憩いの場となっています。
バスティーユ城塞と街を繋ぐ、球形のロープフェイ
グルノーブルの街の真ん中を流れるイゼール川沿いには、球形のロープフェイが行き来しています。このロープウェイは今やすっかり街のシンボル。バスティーユ城塞へ向かうには、ロープウェイを利用します。登るにつれ、街が小さく見え、アルプスの山が近くに感じるように見えていきます。
静寂な洞窟
バスティーユ城塞の洞窟、グロット・ド・マンドランは防衛のために作られた地下通路。暗い洞窟の中にはいくつか壁をくり抜いた跡があります。これは、敵がやってくるのを観察するためのもの。ここから見える景色は当時と変わりません。アルプス山脈は遠い昔と変わらず同じ姿を今日も見せてくれます。
グロット・ド・マンドランでは、洞窟の静けさが心にそっと寄り添うようです。ここで敵を待っていた兵士はこの静けさの中で何を考えていたのでしょうか。
アルプスの山を見渡すバスティーユ城塞
バスティーユ城塞からは、アルプスの山を見渡すことができます。ここから眺めるアルプスの山は遠いはずの山脈もどこか身近に感じられるほど。大自然は訪れるものを優しく包み込んでくれます。
晴れた日はどこまでも澄み渡るような無限の空をアルプスの山の向こうに感じることができます。グルノーブルの街もアルプスの山脈も、そしてその向こうに続く空もすべて近くにあって、まるで距離というものが存在しないように思えてしまうほどです。
バスティーユ城塞から感じ取る景色は十人十色違います。この景色からあなたは何を感じ取りますか。
[All photos by Nanako Kitagawa]
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