マンハッタンから東に1つ目の地下鉄で降りると、ルーズベルト・アイランドという島があります。建設中だった公園が完成してきて、現在ニューヨーカーの人気スポットに。マンハッタンの東側の摩天楼が手に取るような眺めの良さ、まだ、旅行客には知られていない穴場でもあります。ゆっくりのんびり、川風に吹かれて過ごしたいものです。
名建築家ルイス・カーン氏の遺作デザイン
20世紀を代表するアメリカ人建築家ルイス・カーン氏が、フランクリン・D・ルーズベルトを記念するこの公園を設計したのは40年以上前。1974年、ニューヨークのペンシルヴァニア駅で心臓発作を起こして亡くなった時、この公園の設計図を携えていたと言われています。設計した40年後の2012年にオープンしました。
部屋と庭を表現した公園
ルーズベルト・アイランドの南端にあるFranklin D. Roosevelt Four Freedoms Park。頂点が島の南端に向かう三角形の形に設計されています。カーン氏は、公園には部屋と庭を表現するべきだと考えたそうです。庭は自然を制御する個人的な資質、部屋は自己の延長を意味しています。
マンハッタンの東側がすぐそばに
イーストリバーを挟んで、マンハッタンはすぐそば。エンパイアステートとクライスラーの2大摩天楼が眺められます。

(C) Sara Aoyama
クイーンズ側もすぐそば
マンハッタンの家賃高騰により、NY市民のマンハッタン離れが始まり、マンハッタンにほど近いクイーンズ区のロングアイランドシティに注目。ウォーターフロントには、次々と高級コンドが建てられ、家賃はマンハッタン並みに高騰しています。

(C) Sara Aoyama
並木道が印象的
整然とした並木道が印象的。初夏にはフレッシュグリーンが清々しく、秋には美しい紅葉になります。

(C) Hideyuki Tatebayashi
4つの自由
1941年の一般教書演説の中で、ルーズベルトは、世界中の全ての人に広めたいと願う4つの自由を掲げました。
1.言論と表現の自由
2.礼拝(宗教)の自由
3.欠乏(貧困)からの自由
4.恐怖(戦争)からの自由
この4つの自由が公園の名前Franklin D. Roosevelt Four Freedoms Park(フランクリン・D・ルーズベルトの4つの自由の公園)の由来となっています。

(C) Sara Aoyama
先端は景色が突き抜ける
先端は広々と視界が開け、右手にマンハッタンのダウンタウン、左手にブルックリンが望めます。この公園では、ニューヨークシティのマンハッタン、クイーンズ、ブルックリンの3つの区を見渡せるのです。

(C) Hideyuki Tatebayashi
公園で憩う
まだ知名度が低いので、公園に来ている人はそれほど多くありません。イーストリバーを挟んで、寝転びながら摩天楼を眺められます。季節が良くなってきて、ピクニック・ランチを広げている人もいましたよ。

(C) Hideyuki Tatebayashi
お花見の名所
島にはソメイヨシノ、八重桜のプロムナードがあります。春になると、摩天楼と共に眺める桜の名所として人気。以前は日本人、中国人、韓国人とアジア人ばかりでしたが、最近は欧米系、ラテン系も集まっています。

(C) Hideyuki Tatebayashi

(C) Hideyuki Tatebayashi
トラムに乗ってみよう
旅行客の方にオススメの交通手段は、トラム(Roosevelt Island Tramway ロープウェイ)。ミッドタウン東側(60th Street 2nd Ave)から、メトロカード(Metro Card)で乗車可能。乗っているのはほんの数分ですが、上空からマンハッタンを見下ろせます。

(C) Hideyuki Tatebayashi
自由の国アメリカ。現在4つの自由は、実際に叶えられているのでしょうか。この公園からは、右手に遠くOne World Trade Center(元WTC)も見えます。

(C) Hideyuki Tatebayashi
FRANKLIN D. ROOSEVELT FOUR FREEDOMS PARK
[
公式サイト]
[
インスタグラム]
【ロケーション】ルーズベルト・アイランド(Roosevelt Island)
マンハッタン東側とクイーンズ西側のイーストリバーに位置する島。
【交通手段】
●トラム (Roosevelt Island Tramway)
60th Street 2nd Ave〜Roosevelt Island間を往復。15分ごとに運行。
●地下鉄 Fライン(Roosevelt Island)
マンハッタン東側駅(Lexington Ave 63rd St) より1駅目
[Photos by Hideyuki Tatebayashi]
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sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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