昔、米シカゴを舞台にした「ER 緊急救命室」 というテレビドラマがありましたが、あなたはご存知でしょうか? 筆者は大ファンで、テーマソングを聴くとワクワクしたものでした。出演者の中では、フレッシュなカーター先生も良いし、 セクシーなロス先生(ジョージ・クルーニー) も捨てがたいと妄想にふけったものです。
長いシリーズを追い続けて見たせいか、ER(緊急治療室)内部の様子に詳しくなりました。何年か後に、まさかニューヨークで自分が内部潜入するとは、思ってもいなかったのです。
救急車はリムジンより高級車

アメリカでは祭日のサンクスギビングデー(11月第4木曜日)の早朝、筆者は身体に異変を感じていました。2週間ほど前から体調が悪く、市販薬を飲みながらやり過ごしておりましたが、この朝の様子は只事ではなかったのです。やはり休日前に医者に行くべきだったと、朦朧としながら後悔していました。
歯の根をガチガチ言わせて震えている筆者に仰天したツレアイが「救急車を呼ぼう」というのに、「救急車は呼ばないで!」と叫んだのは筆者。なぜならアメリカは救急車が有料。病院まで500ドル以上(距離に応じてメーター制らしい)もかかるのですから。保険のない身としては、そんな高級車は恐ろしくて呼べません。解熱剤を飲みしばらく経ったら震えが止まったので、「大通りまで歩いて、タクシーを捕まえる」とヨロヨロしながら起き上がったのです。
そ、そんなに悪いんですか?

祭日の早朝6時であっても運良くタクシーは走っており、近所の救急病院まで辿り着くことが出来ました。祭日のがらんとした待合室を通り過ぎると、病院勤務のスタッフを見かけたので、筆者が「先生に診てもらいたいのです(I need a doctor)」と呟くや否やスタッフがすっ飛んできました。
スタッフの「車椅子が必要か」「担架に乗せたほうが良いのでは」の本気モードに、病人本人が「ええっ? そ、そんなに悪いんですか?」と心の中で焦りました。
担架や車椅子は有料ではないはずですが(多分)、「大丈夫、歩けます」とヤマトナデシコの心意気を見せました。付き添いのツレアイは気が動転しており、その間呆然としておりました(あまり役に立たない 苦笑)。
行き着いた果てはER

祭日で通常診療は休みなのですから、連れて行かれた先はER(緊急治療室)です。「ついにここまで、来てしまったのか」と妙な感慨に襲われました。ニューヨークは治療費の高さ(日本とは0が2つ違う場合も)で知られています。しかしながら、筆者の行った病院は、保険を持たない患者に対して、収入に応じて治療費を減額してくれるNYCの公立病院なのです。
【ERでの流れ】
●ERは、設備も新しく、想像以上に清潔で綺麗。
●ERのスタッフがワラワラと寄ってきて、ベッドに寝かされ、治療しやすい、後ろ紐のエプロンみたいな患者服を着るように促されます。自分の着てきた服は、渡されたビニール袋に突っ込む(盗難・紛失防止?)。
●ベッドは紙製の剥がせるシーツが敷いてあり、靴を履いたまま上がる(さすがアメリカ)。
●上半身の前後にピップエレキバンのようなものを貼られる。その後、心拍数、血圧、体温を測る。
●自分の症状を説明。何時いつから、どういうふうに体調が悪い、熱がある、どこが痛い、などなど。
(次のページに続く)

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sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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