思っていた以上の“寿司人気”をヨーロッパで感じている筆者。一週間に複数の人から寿司の話をされることが続き、イギリス・ケンブリッジの寿司屋2軒に足を運びました。「お皿によって値段が違うから気を付けて!」という言葉に見送られて。
4年前、洋食続きで疲れた味覚の骨休みとなったラトビア、デンマーク、イタリア、ベルギーで食べた経験と合わせて、欧州5か国で寿司を食べて驚いたことを紹介いたします。
サーモンが絶品
ノルウェーが近いせいか、サーモンはハズレがありません。ヨーロッパでは一番人気のネタのようで、握りの他、サーモンとクリームチーズ/きゅうり/アボカドの組み合わせが好まれます。
ベルギーの日系寿司屋で食べた厚切りサーモンの、濃厚なのにしつこくない旨さは過去最高レベルでした。
価格が高い
イギリスでは回転寿司でも、サーモン、まぐろの握りが2カンで3-4ポンド前後。イタリアでは、寿司屋は値段の張るおしゃれデートスポットという位置づけ。ベルギーの海鮮丼は、4年前35ユーロでした。
安くておいしいお寿司や海鮮丼がたくさんある日本から見ると、随分とお高い印象です。
酢飯が熱い
イタリアで食べたお寿司は、ヒスパニック系の職人が握る酢飯が熱すぎて、温度の大切さに気付かされました。
イギリスでは酢飯の温度に違和感は感じませんでしたが、日本米が使われていないので酢飯はぱさつく傾向にあるように思います。
一般的に、単にネタを置いているだけといった印象があり、ネタ側にしょうゆをつけようとすると、簡単にはがれてしまいます。小さいながらも寿司カウンターがあって中国人の職人が握っていたお店では、ネタと酢飯に一体感があり美味しく感じました。
ちなみに、てんぷらにはしょうゆかチリソースをすすめられます。
サイドメニューが充実
全体的にサイドメニューが充実していて、寿司のある日本食(フュージョンですが)のお店といった印象。イギリスではとんかつではなく、チキンカツが人気のようです。ムスリム対策だけでなく、チキンが好まれるように見えます。
イギリスの寿司屋では角煮丼を頼みましたが、日本から取り寄せたしょうゆを使っていることがお店の売りであるだけに、日本と同じ味付けだと感動しました。
美味しいイクラやウニが簡単に食べられない
Ikuraと書いておいてとびこだったりすることも。これはラトビアで食べましたが旨味が足りなくてがっかり。生ウニにはまだ出会えていません。
ネタは、海老やイカ、うなぎが定番です。白身は鯛やカンパチ、ヒラメなどを期待しますが、スズキが多いようです。Sea Bassという名前の響きに怯え、試していませんが、イタリアでも白身はスズキでした。
裏巻
海苔の黒さが敬遠されたことから、海苔は内側に入り、外側はゴマやとびこなどでデコレートされたタイプが一般的です。
箸づかい
日本人とわかると、箸の持ち方を盗み見されたりします。やっつけで使っている人が多いですが、割り箸をこすり合わせてトゲをとるしぐさをする人も。本来はマナー違反なのですが、知らずにやっている日本人のしぐさを見て真似しているのでしょうね。
懐の広さ
ベジタリアンも野菜寿司が好きなようですし、筆者の友人のチリ人はキウイやいちごの寿司がイケると言っています。グルテンが合わないハンガリー人の友人は毎週のようにサーモンや海老の寿司を食べています。
寿司は万人を受け入れる稀有な存在かもしれませんね。
[All photos by Shio Narumi]