「ミレニアル世代」(Millennial Generation)という言葉をご存知ですか? これはアメリカ発の造語で、2000年代に成人や社会人になる世代を指す言葉。1980年代から2000年代初頭までに生まれた人をいうことが多く、現時点では30代以下の若者世代を意味しています。
ベルリンを拠点とし、欧州内の様々な国の物件を取り扱う不動産サイトNestpicksが、「ミレニアル世代が住みやすい街ランキング」を作成してくれました。就職しやすさ、住宅、ナイトライフの充実度など、16項目にわたる詳細な調査の末、世界中の都市から若者世代が住みやすい都市30か所をランキングにまとめています。今回は、そのうちの上位5都市をご紹介したいと思います。
第5位:アントワープ(ベルギー)
「若者が住みやすい都市第5位」に選ばれたのは、西ヨーロッパのベルギー最大の都市アントワープ(Antwerpen)。この街はどの調査項目も平均的に高い点数をつけられているのですが、Best5位に入っている全ての都市の中で一番「アップル・ストアが充実している」(Apple Store Rank / 10点満点中8.40点)と評価されています。
そして同じく、「インターネットの速度」(Internet Speed Score)も5都市の中で一番良い(8.30点)のだとか。ミレニアル世代は、幼少期からインターネットに触れてきた「デジタルネイティブ」ともいわれる人々。アップル・ストアは、そんな彼らにとって住みやすさの象徴的な存在でもあるのでしょう。
逆に「観光」(Tourism Score / 2.70点)および「食費の手ごろさ」(Food Ranking / 2.70点)が低い点数をつけられていました。
第4位:リスボン(ポルトガル)
第4位は、欧州大陸大西端のポルトガルの首都リスボン(Lisbon)。ここは、5位のアントワープとは逆に「食費の手ごろさ」(8.80点)と「ビール価格の手ごろさ」(Beer Ranking / 8.90点)が高い評価を得ています。
そして評価が低かったのは、「雇用」(Employment Score / 1.00点)に関して。リスボンは「観光」でも7.00点の高評価を得ているので、仕事よりも「安くて美味しい食事とビールにしたづつみを打ちながら、美しい街を観光するように生活する」のに向いているのかもしれません。
次は第3位です!
第3位:ミュンヘン(ドイツ)
Best3にも入る高評価だったのは、ドイツのミュンヘン(Munich)。ベルリン、ハンブルクに次いでドイツでは3番目に大きな都市で、世界有数の自動車メーカー「BMW」の本社があることでも知られています。
そんな自動車産業をけん引するミュンヘンは、「交通機関」(Transport Score / 9.50点)、「雇用」(9.40点)が高得点。「就職しやすく、通勤もしやすい」都市の姿が見えてきますね。
「スタートアップ(起業)の多さ」(Startup Score / 9.20点)も同じく高得点なので、仕事をするにはうってつけの場所なのでしょう。それを裏付けるように(?)、ミュンヘンの最低点は「音楽フェスの数」(Festival Ranking / 2.10点)。遊びよりも仕事、ということでしょうか。
第2位:ベルリン(ドイツ)
3位のミュンヘン同様、ドイツからベルリン(Berlin)が第2位にランクイン。なんとベルリンは、「夜遊び」(Nightscene Score)が10点満点をつけています。そして性的マイノリティーの暮らしやすさ「LGBTフレンドリー」(LGBT Friendly Scor)で9.10点、「男女平等度」(Gender Equality Score)で9.00点など、性別などのバックグラウンドで差別されない都市の雰囲気が垣間見えますね。
逆に評価が低かったのが、「雇用」の2.30点。「スタートアップの多さ」が7.10点と比較的高得点なので、若い世代は就職よりも自分でビジネスを興し、自由なナイトライフを謳歌するのにうってつけの街かもしれません。
第1位:アムステルダム(オランダ)
「ミレニアル世代が住みやすい街」堂々第1位に輝いたのは、オランダの首都アムステルダム(Amsterdam)。オランダは同性婚に関する法案成立(2000年)および施行(2001年)が世界で一番早かった国。そんな歴史的背景からか、「LGBTフレンドリー」が10点満点でした。
そして「スタートアップの多さ」(8.90点)、「観光」(8.40点)、「音楽フェスの数」(8.20点)などの高得点が続きますが、筆者の注目は「移民に対する寛容度」(Immigration Tolerence)の8.00点。これは、上位5都市の同項目を比較しても一番高い数字です。外国人を受け入れてくれる優しさが、住みやすさにつながっているのかもしれませんね。
ただし、そんな人気都市だけにアムステルダムは慢性的に住宅不足と家賃高騰に悩まされています。「住宅」(Housing Score)は1.70点と、上位5都市の中で最低点。若者はルームシェアなどを余儀なくされているようです。
「ミレニアル世代が住みやすい街」ランキングのご紹介、いかがでしたでしょうか。調査は世界中の都市を対象にしていたようですが、5位までに入ったのは全てヨーロッパの都市でしたね。
若者世代ではなくなても、そして住む予定がなくても、この指標は街の雰囲気を知る手掛かりになるのではないでしょうか。ランキングを眺めながら、次に訪れる街の雰囲気を想像するのも楽しいかもしれません。
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