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創業100年などと聞くと、歴史のある老舗企業だと感じますよね? しかし日本には創業100年どころか、創業1000年を超える企業が複数存在し、さらに世界最古の企業トップ3を日本勢が占めているとご存じですか?
そこで今回は老舗企業が世界的に見ても多いという、ちょっと不思議な日本の特徴を紹介します。
日本には西暦578年創業の企業がある
先日、記事執筆のために百貨店に関する調べ物をしているとき、三越の前身となる越後屋が、1673年に創業したと知りました。300年以上経過している企業の歴史の長さに、軽いめまいを感じてしまいましたが、日本にはもっと古い企業が少なくないと言います。
2009年発表と少し古い情報ですが東京商工リサーチによると、日本には創業100年を超す長寿企業が2万社以上あり(2009年時点)、社寺建築の金剛組(大阪府大阪市)になると、創業は578年までさかのぼれるのだとか。
金剛組の公式ホームページを見ると、
<聖徳太子の命を受けて、海のかなた百済の国から三人の工匠が日本に招かれました。このうちのひとりが、金剛組初代の金剛重光>(金剛組の公式ホームページ より引用)
という歴史が語られています。聖徳太子が大阪にある四天王寺の建立のために、朝鮮半島から大工を呼び寄せたのですね。
百済や聖徳太子という名称は、もはや歴史の教科書の世界。四天王寺が創建から百数十年の歳月を経て完成を迎える奈良時代初期までに、金剛組は初代から2代、3代へと受け継がれていき、その後もはるか江戸時代に至るまで、四天王寺専属の宮大工として存続してきたと言います。
明治、大正、昭和の戦前・戦後と時代の流れの中で紆余曲折がありましたが、現在も大手建設会社の持ち株会社のグループ企業として、名前は存続しているそう。
東京商工リサーチによれば、金剛組以外にも、
・池坊華道会(京都府京都市)587年創業
・西山温泉慶雲館(山梨県南巨摩郡)705年創業
・古まん(兵庫県豊岡市)717年創業
・善吾楼(石川県小松市)718年創業
などの老舗も日本には存在すると言います。池坊華道会以外は全て旅館。宿については、過去記事「【ギネス認定】世界最古の温泉旅館が日本にあるって知っていますか?」などでも紹介しましたね。
他には京都市にある源田紙業が771年創業、同じく京都市にある田中伊雅仏具店が公式ホームページによれば885年ごろ創業とあります。全て1000年を超える長寿企業ですね。
さて日本最古の企業、本当に世界最古の企業でもあるのでしょうか?
日本最古の企業は、世界最古の企業でもある
上述した金剛組など日本最古の企業は、世界でも最古の企業と考えられていると言います。
韓国の聯合ニュースの報道から孫引きになりますが、韓国銀行が「日本企業の長寿要因および示唆点」という報告書を2008年5月14日に発表し、その中で世界最古の企業トップ3を日本の企業が占めたとまとめたそう。
1位は上述した通りの金剛組。報告書の原本が確認できなかっため、韓国銀行に問い合わせて観覧を希望したところ提供は受けられませんでしたが、同報告書を基にコリアタイムズも英語版で記事を発表して、金剛組が世界最古の企業だと紹介しています。内容に間違いはなさそうですね。
世界の主要国別で言えば、ドイツは768年創業のSchloss Johannisbergというワイナリー、フランスは1239年創業のEyguebelleというワイナリー、中国は1239年創業の陶器メーカー、アメリカは1623年創業のAvedis Zildjian Companyという楽器(シンバル)のメーカーが最古になるそう。
こうした老舗の企業も信じられないような歴史を歩んできているのですが、さらに驚くような期間を日本の長寿企業は生き延びてきたのですね。
ちなみに上述の報告書を発表した韓国銀行によると、外国からの侵略が少なかった日本の歴史や、本業重視の企業の姿勢、信頼を重んじる経営方針、血縁以外からの後継者の選出などが老舗企業の多い理由に挙げられるのだとか。
世界的に見ても老舗企業が多い日本、なんだか誇りに感じますよね。
[日本に長寿企業が多いわけは?韓国銀行が分析 -聯合ニュース ] [Centennial Firms Dry up in Korea – The Korea Times ] [特別企画:全国創業100年超え企業の実態調査 全国の「創業100年超え」長寿企業は、2万1,000社 – 東京商工リサーチ ] [All Photos by shutterstock.com ]
Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(
https://hokuroku.media/ )創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。
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