経済誌エコノミストが発表世界の安全な都市2017
イギリスの経済誌エコノミストが、「20017年世界の安全な都市」を発表しました。世界の60都市を対象にしたもので、49の指標について4つのカテゴリーに分けて分析して、ランキングされています。
総合ランキングTop10!
東京が2015年の調査に続いて第1位! 3位には大阪もランクインしています。シンガポールを含めた上位3位の都市の差は、ほとんどありませんでした。平均得点は72です。ちなみに最下位のパキスタン最大の都市カラチで、38.77でした。
2位 シンガポール 89.64
3位 大阪 88.87
4位 トロント 87.36
5位 メルボルン 87.30
6位 アムステルダム 87.26
7位 シドニー 86.74
8位 ストックホルム 86.72
9位 香港 86.22
10位 チューリッヒ 85.20
ランキング作成にあたって注目したのは、以下の4つの安全のカテゴリー。それぞれを総合したランキングになります。
• 医療・健康環境の安全性
• インフラの安全性
• 個人の安全性
今回の調査結果、その背景にはどのような事実があるんでしょうか。そしてこのカテゴリーって実際どういうものなんでしょう。Q&A形式で整理してみますね。
Q1:東京は、どの指標でもランキングが高いの?
海外旅行客に聞くと、ほとんどの人が日本は安全でいいと言ってくれます。インターネットのセキュリティはシッカリしているし(サイバーセキュリティでは1位)、医療技術も高く交通事故も多くありません(医療・環境の安全性2位)。それに、女性が夜歩いていても大丈夫だし(個人の安全性4位)、世界の人たちが驚き、うらやましく思うのもわかります。
でも、自然災害による犠牲者の数の多さではワースト13。そのため、建物などの“インフラの安全性”のカテゴリーでは12位と10位圏外。安全な都市インフラの整備が必要とされているということになります。
Q2:2015年と比べて、世界は安全になってきたの?
マドリッドの騎馬警官
それが、そうでもないんです。多くの都市では、安全性が低下傾向にあります。例えば、ニューヨークは11ポイント、ペルーのリマは13ポイント、南アフリカのヨハネスブルが9ポイント、ベトナムホーチミンは10ポイント、ジャカルタは13ポイント減になっています。
改善したのは、マドリッドの12ポイント増とソウルの6ポイント増の2都市だけ。先進国の都市でのテロ攻撃が“個人の安全性”に影響を与えているようです。
Q3:特に安全な地域はありますか?
総合ランキング上位には、アジアの先進国とヨーロッパの都市が占めています。西ヨーロッパの国々の都市と、安定的に経済発展を遂げてきたアジアの国の都市はおおむね安全度が高いということになりそうです。
ちなみに、アメリカの都市は10位までにランクインしておらず、サンフランシスコが17位、ニューヨークとロスアンゼルスが同率21位、シカゴ27位、ワシントンDCが28位、ダラスが34位でした。
Q4 :特に危険な地域はどこ?
ワースト1位カラチにあるクリフトンビーチのラクダライディング
アジアの新興国、中東、アフリカの都市がより危険という結果に。ワースト3位は、バングラデシュの首都ダッカ、ミャンマーのヤンゴン、そしてバングラデシュのカラチです。ワースト10には、マニラ、ホーチミン、ジャカルタなどのアジアの新興区の都市や、エジプトのカイロ、イランのテヘランといった中東の2都市が入っています。
Q5 :高所得な都市なら安全?
そうとも言えないようです。たしかに総合ランキングの上位半分は、先進国の都市がほぼ独占していて、下位半分は新興国の都市が占めています。しかし上位の先進国の14都市のうち、10都市は前回の調査よりもスコアを落として、安全度が下がっているんです。
とはいえ、トップ10に入った都市のほとんどは高所得又は中所得。しかしながら、高所得層の中東の都市、サウジアラビアのジッダやリヤドは40位圏内にも入っていないんです。確かにお金はあったほうが安全度は高くなる傾向にありますが、それだけではないというのも事実のようです。
Q6:自動車交通事故とテロ、どっちが危険?
ここのところ、都市の安全性というとテロの脅威が増加しているという傾向はありますが、実は2015年の交通事故の死亡者数は120万人と、テロ事件による死亡者3万人の40倍なんです。そして、交通事故発生率のワースト3は、クェートシティー、フランクフルト、ワシントンDCでした。
自動車の数の多さと、都市のレイアウト・デザインなどが悪い場合に、交通事故が発生しやすいようです。交通事故とテロ、どっちも危険ですが、特に旅の途中で自らが交通事故の加害者になるのは避けたいものです。
Q7:都市犯罪、どこが危険でどこが安全?
旅に出れば、知らない街を歩くことになるし、夜出かけることもあります。テロも確かに怖いのですが、旅先の暴力事件や犯罪に巻き込まれるのも困りもの。個人の安全性のランキング、上位10都市と下位10都市は以下の通りです。
上位にはアジアの先進国が多くランクインしています。下位の都市に出かける時には、身の安全に気を配りましょうね。
1位 シンガポール 94.94
2位 ウェリントン 92.28
3位 大阪 91.59
4位 東京 91.57
5位 トロント 91.52
6位 台北 90.02
7位 香港 89.75
8位 メルボルン 88.52
9位 ストックホルム 87.93
10位 アムステルダム 87.42
下位10都市
51位 ジャカルタ 59.24
52位 テヘラン 59.18
53位 モスクワ 58.00
54位 ヨハネスブルク 57.65
55位 ボゴタ 55.66
56位 キト 55.41
57位 ヤンゴン 52.43
58位 ホーチミン 50.53
59位 カラカス 47.36
60位 カラチ 31.85
というわけで、東京・大阪は、世界的にみても安全な都市。ヨーロッパ・アジアの先進国も上位にランキングされています。比較的危険な都市に出かける時には事前に情報を調べるなどして、十分に対策を考えておきましょう。
[Safe Cities Index 2017: Security in a rapidly urbanising world]
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