もはや節約旅行者には欠かせない移動手段となったLCC(格安航空会社)。賢く活用すれば最強の旅のパートナーになってくれますが、LCCならではのルールやデメリットを知らないと思わぬ落とし穴が待っていることもあります。
年間10回はLCCを利用するヘビーユーザーの筆者が、LCCと上手に付き合うために知っておきたいことをお伝えしましょう。
空港カウンターでのチェックインは有料の会社が多い
LCCのなかには人件費節減のため、空港カウンターでのチェックインを有料化している会社が少なくありません。そのため、LCCを利用するなら搭乗日当日、空港に行くまでにオンラインチェックインを済ませておくのが得策。
ピーチアビエーション、エアアジアなど、空港に無料で利用できる自動チェックイン機を設置しているLCCもありますが、自動チェックイン機がない場合、空港カウンターで有料にてチェックインするしかないことがあります。もちろん、会社によってルールは異なりますので、予約完了後にチェックインの方法をしっかりと確認しておきましょう。
航空券を印刷していないとペナルティ
LCCによっては、「オンラインチェックインを済ませたら安心!」ではなく、航空券の印刷まで済ませなければならない場合があります。
空港の自動チェックイン機で航空券が発行できたり、モバイル搭乗券を受け付けているLCCも増えていますが、あらかじめ航空券を印刷していないと手数料を徴収される場合もあるので気を付けなければなりません。
金銭的なペナルティはなくても、航空券を受け取るために混雑しているカウンターに並ばなければならなくなり、搭乗がギリギリになって焦ったという体験談も聞かれます。チェックイン方法のみならず、自分で航空券を印刷していく必要があるのかも要確認です。
荷物預け入れ料金が高い
「LCCは預け入れ荷物が有料」というのはよく知られているところではないでしょうか。もともとの運賃が安い場合、下手をすれば運賃そのものより荷物預け入れ料金のほうが高くついてしまう場合もあるほどです。
LCC各社のホームページで航空券を予約しようとすると、デフォルトで荷物の預け入れが選択されていることがあるので、荷物を預ける必要がない場合はチェックを外すのを忘れずに。
反対に、荷物を預ける必要がある場合は、予約時あるいはチェックインまでに荷物の預け入れを選択して預け入れ料金を払っておきましょう。事前に荷物の預け入れを選択せず、空港で預け入れ料金を払う場合、事前予約よりもさらに高額の料金が課されます。
機内持ち込み荷物の制限が厳しい
LCCは荷物の預け入れが有料なので、利用者は荷物を預けなくて済むように工夫します。ところが、会社によっては機内持ち込み荷物の制限がきわめて厳しいことがあるので、注意が必要です。
従来のフラッグ・キャリアの場合は、国内線でも小型のキャリーケースなど10キロ程度の荷物に加えハンドバックなどの身の回り品、計2点の持ち込みが認められていることが多いですが、LCCの場合、機内持ち込み荷物は1つまでと制限されている場合があります。
また、重量制限についてもフラッグ・キャリアより厳しいルールを設けている傾向にあり、空港で重量超過が発覚すると、高額な追加料金を払って荷物を預けなければならないことも。
会社によってルールが異なるうえ、ルールは突然変更されることもあるので、LCCを利用する際には、以前利用したことがある会社であっても、都度機内持ち込み可能な荷物の個数と大きさ、重量を確認しておくのが賢明です。
空港やターミナルが遠い
LCCは経費節減のため発着料の安い空港やターミナルを利用しています。そのため、空港が街の中心部から離れていたり、同じ空港でもメインターミナルとは離れたLCC専用のターミナルから発着することが少なくありません。
たとえば「ロンドン・スタンステッド」、「フランクフルト・ハーン」のように、なじみのある都市の名前を冠している空港でも、実際には市内から大きく離れていることもあるので、特に海外のLCCを利用するときは都市名に惑わされず、予約前に空港の場所を確認するのを忘れずに。
日本国内でも油断は禁物です。たとえば、成田空港では第3ターミナルがLCC専用のターミナルとなっていますが、第3ターミナルへは第2ターミナルから徒歩15分、あるいは連絡バスで5分かかります。
成田空港に限らず、ある程度の規模の空港の場合、LCCのターミナルや搭乗ゲートが遠いというのはよくあること。LCCを利用する場合、空港へはいつも以上に時間に余裕を持って行くことが大切です。
遅延が多い
会社にもよりますが、だいたい8割以上の割合で定時運行しているLCCが多く、世間で思われているほど極端に遅延が多くはないというのが実態かもしれません。
しかし、LCCの困ったところは、一度遅延が発生すると玉突き的に遅延が起こりやすいということ。LCCは一機の機体にピストン輸送をさせ、回転率を上げることで低運賃を実現しています。たいていの場合、目的地の空港に到着したと思ったら、そこで新たな乗客を乗せ、次の目的地に向かいます。
つまり、同じ機体を使うひとつ前のフライトが遅れていると、その次の自分のフライトも遅れてしまうといったことが起こりやすいのです。 このパターンの遅延は筆者自身も何度か経験があり、これはLCCならではのリスクといえるでしょう。
飲み物や機内食は有料
LCCの運賃に含まれているのは、基本的には乗客の移動や保安にかかる費用のみ。当然のことながら、飲み物や機内食、毛布といった、従来のフラッグ・キャリアであれば無料のサービスだって有料です。
LCCの機内食はカップ麺やサンドイッチなどの軽食が中心で、しかも値段と質が釣り合っていないことが多々あるので、機内で食べ物が必要なら事前にどこかで調達しておいたほうがいいかもしれません。
LCCの機内食としては比較的利用価値が高いのがエア・アジア。やや量が少ない気はするものの、LCCの機内食としては良心的な価格で種類も豊富。事前予約限定のメニューもあり、オンラインで予約しておけばさらに選択肢が広がります。
LCC利用時は主体的な情報収集が肝心
LCCを利用するコツは、とにかく主体的に情報を集めること。至れり尽くせりのフラッグ・キャリアと違って、LCC利用時は、情報収集不足が高額な手数料や、最悪の場合はフライトを逃してしまうことにもつながりかねません。
また、余計な出費を避けるためには、自分にとって必要なサービスと不要なサービスを判断し、必要なサービスはあらかじめ予約しておくことも有効です。
ホームページや予約後に送られてくるメール等に書かれていることをきちんと読んでおけば、たいていのトラブルは防げます。安い運賃と引き換えに、少々の手間は惜しまない、これがLCC利用において大切な心構えだといえるでしょう。
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