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【世界の謎】名門大学の学寮長がタイムスリップ!?謎のベルサイユ宮殿事件

ライター: 坂本正敬
掲載日: Dec 5th, 2017. 更新日: Nov 22nd, 2018

科学の発達や情報の拡散が目覚ましい現代においても、未だ明かされない世界の謎。国内外のミステリースポット、心霊スポット、諸説あるもののはっきりとは謎が明かされない遺跡や文化、不思議な現象などなど。

年の瀬がせまり、なんだか落ち着かない気分になっているあなたに、つかの間非日常にトリップする記事を1週間毎日お送りいたします!

TABIZINE「世界の謎」特集、どうぞお楽しみください。


今まで不思議な出来事に遭遇した経験はありますか? 筆者は高校生のころに所属していたサッカー部の練習後、グランドで複数のチームメイトと極めて不可解な未確認飛行物体を目撃しました。

いわゆるUFOですが、世の中にはもっと不思議な経験をした人がいっぱい存在するようで、例えばフランスの世界遺産ベルサイユ宮殿で2人の教育者に起きたタイムスリップは、オカルト史上でも極めて異例の議論を呼んでいます。


そこで今回はTABIZINEの「世界の謎」特集にちなんで、ベルサイユ宮殿で行ったタイムスリップの話を紹介したいと思います。

 

1901年8月10日に起きたミステリアスな出来事


タイムスリップと言えば、どういった世界を想像しますか? さまざまな映画や文学作品ではタイムスリップについての描写が見られます。あの偉大な国民的マンガ&アニメでも、主人公が部屋にある勉強机の引き出しを開けて、気軽にタイプスリップを行う様子が描かれていますよね。

「あんなの変わり者の妄想だ」

「フィクションの世界を盛り上げるための架空の装置だよ」

と思う人がほとんどだと思いますが、実は今から100年ほど前の1901年8月10日、社会的にも優れた立場にある教養の豊かな女性2人が、フランスにある世界遺産のベルサイユ宮殿でタイムスリップを体験しているのです。

 

名門校の学寮長が体験した不思議な出来事


ベルサイユ宮殿で不思議な体験をした主人公は、シャルロット・アン・モーバリーとエレノア・ジョルダンという2人の英国人教師になります。優れた家柄に生まれ、質の高い教育を受けて、名門校のカレッジにおける学長になった、社会的に信頼される人物たちですね。

シャルロット・アン・モーバリーは当時オックスフォード大学のセント・ヒューツ・カレッジ(学寮)の学長(学寮長)だったほど。エレノア・ジュールダンは教科書の執筆にも参画するような人物で、ベルサイユの「事件」後には同カレッジで副学長、後に学長になっています。

日本ではイギリスの超一流大学におけるカレッジ制度が理解しづらいですが、なんであれ名のある優れた教育者たちですね。


そんな社会的地位の高い2人は当時、旅行でフランスに滞在していて、8月10日には初めてベルサイユ宮殿を観光で訪れたそう。その時点で彼女たちは特にベルサイユ宮殿について深い知識を持っていなかったと言います。もちろん教養の深い2人ですから、一般的な観光客以上には知識を持っていたはずですが、それでも特に詳しいというわけではなかったと本人たちは主張しています。

 

ガイドブックを頼りに庭を散策しているときにタイムスリップ!?


 

彼女たちはまず宮殿の中を見て回り、ガイドブックを頼りに宮殿正面の庭に出て、トリアノンパレスにある小トリアノン宮殿を見にようと散策を開始しました。

ベルサイユ宮殿はフランス革命以後に大幅に面積を減らしていますが、それでも830ヘクタールという巨大な敷地を誇ります。東京ドームがだいたい5ヘクタールですから、東京ドーム166個ほどの広さですね。

主なブロックは宮殿エリア、その目の前の庭園エリア、さらには広大な公園があり、離宮の小トリアノン宮殿があるトリアノンパレスがあります。彼女たちは庭園を抜け、公園を通過し、小トリアノン宮殿を目指しました。


しかし、ガイドブックを片手に目的地に向かったのにもかかわらず、2人は道に迷ってしまいます。さらに不意に憂うつな気分が襲って来たかと思うと、世界が不可思議な様相を帯び始め、全てが現実感を失い始めたと彼女たちは証言しています。

その様子は彼女たちがペンネームで当時の出来事を記した『An Adventure』という書籍に記されています。彼女たちは自分たちが生きている間、決して名前を明かしませんでしたから、単なる売名行為や功名心ではないと分かります。自分たちの立場を考え、社会的な影響が大きすぎると考えたのかもしれません。


庭園の木々が影を失ったまま死んだように直立して見えるなど、世界が現実感を失うような感覚に襲われてから、彼女たちは不思議な光景をベルサイユ宮殿の庭園で次々と目の当たりにし始めます。

大昔の衣類と帽子で装った男性に遭遇したり、古い農機具を発見したり、100年前のスタイルのドレスに身を包んだ高貴な女性に声を掛けられたり・・・。

他の観光客は姿を消してしまい、出会う人は全て不可思議で、彼女たちの目的地である小トリアノン宮殿への道を教えてくれた人も居ると言います。その導きに従って庭を歩き、橋を越え、目的地に到着すると、世界の不可解な様相が元通りになったと言います。

 

1789年8月10日のベルサイユ宮殿にタイムスリップしていた!?

(写真はイメージです)

この不思議な体験を受けて、彼女たちは自分たちが経験した出来事を検証し始めます。例えば別々に自らの体験を文字に起こして、お互いの記憶の中にある共通点や相違点を見比べたり、宮殿の歴史について調べてみたり。

そのうち彼女たちがベルサイユ宮殿に訪れた8月10日は、フランス革命でルイ16世とマリー・アントワネットが幽閉された日だったと2人は知ります。いわゆる8月10日事件ですね。

庭園で出会ったドレスに身を包んだ高貴な女性は、まさにマリー・アントワネットだったのではないかと、彼女たちは考えるようになったと言います。翌年の1902年に彼女たち2人はベルサイユ宮殿を再訪したと言いますが、同じような場所は見当たらなかったのだとか・・・。


彼女たちは英国心霊現象研究協会(SPR)に対して、彼女たちの「発見」について知らせました。しかし、同研究協会からは検証に値しないと判断されたと言います。

仕方なく彼女たちは独力で、本格的な調査をスタートします。すると彼女たちが不可思議な体験中に渡った橋は、1901年時点のベルサイユ宮殿に存在しないものの、1789年当時は実際にあったなど、驚くべき事実が発見されます。そうした調査結果が1911年に、上述した『An Adventure』にペンネームで記されたのですね。

本はたちまち大ヒットを記録し、1913年までに11,000部が売れたと言います。しかし一方で、一部の評論家たちからは「単なるでっちあげのフィクションだ」と大いに不評を買った様子・・・。やはり簡単には受け入れられない話だからですね。

 

彼女たちの死後、再び世間の関心を呼ぶ


エレノア・ジョルダンが1924年に亡くなり、シャルロット・アン・モーバリーが1937年に亡くなると、『An Adventure』の作者が公表されます。それまでは無名の信頼できない人間だと思われていた著者が、なんと名門大学の学寮長だと分かり、世間では再び関心が持たれたといいます。

その再ブレイクを受けて、あらためていくつもの検証や研究が行われました。すると1950年に発表された検証結果が、『An Adventure』の信ぴょう性に大きな疑念を投げかける形になります。


シャルロット・アン・モーバリーとエレノア・ジョルダンが1911年に発表したタイムスリップの体験内容には、1901年から書籍発表までの間に行われた彼女たち自身の歴史調査の内容が大いに加筆されていると判明してしまったのです。

「過去のベルサイユ宮殿に関する知識を持ち合わせていない自分たちが、1789年当時のベルサイユ宮殿の様子を体験し、伝えられるわけがない」といった彼女たちの主張が、根底から揺らいでしまったのですね。タイムスリップして見てきたという1789年のベルサイユ宮殿の描写は、調査を受けて加筆された部分が多いと指摘されたのです。


しかし、『An Adventure』の信ぴょう性が揺らいだ後も、ベルサイユ宮殿で同じような体験をしたという人の話は後を絶ちませんでした。今でもミステリアスなスポットとして多くの人の興味を引き続けています。

日本在住のフランス人の知人にメールで聞いてみると、恐らくフランス人のほとんどがどこかで「ベルサイユ宮殿にはお化けが出る」と聞いた覚えがあるはずだと教えてくれました。

次のフランス旅行で世界遺産のベルサイユ宮殿に訪れる機会があったら、こうしたミステリアスな逸話がある場所なのだと思って散策を楽しんでみてください。また違った魅力を満喫できるかもしれませんね。

 

[THE ESTATE – Chateau De Versailles]
[The Ghosts of Versailles – The Museum of Hoaxes]
[並木伸一郎監修『知ってびっくり! 世界のなぞ・ふしぎ物語』学研教育出版(2012年)]
[Collection Level Description: Papers of C. Anne E. Moberly and Eleanor F. Jourdain]
[All Photos by shutterstock.com]
 

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。大手出版社のコラムや雑誌記事、日本政府観光局の米国向けサイトなどの執筆を手掛ける。All Aboutの黒部・立山、富山の観光ガイド。通訳案内士の勉強中。


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