今年のお正月は帰省されましたか? まさに今、故郷で懐かしい味を堪能している人もいることでしょう。
職場の同僚や親しい友人と帰省先の美味しいものの話が弾んだ時、「え? それってなに」と食の違いを訊ねられたかもしれませんね。縦長の日本は、東日本と西日本で食文化が大きく異なります。東西の気候、文化、農産業の差が、食卓にも出るからです。
あなたの当たり前は、他人にとっては「ありえない」。同じ日本でも、地域により大きな差がありますよ。
肉じゃがに入る肉といえば(東日本VS西日本)
肉じゃがにいれる肉は、東日本は「豚肉」、西日本は「牛肉」と分かれます。
東日本出身者は西日本出身者に対して「肉じゃがは食べ慣れている豚肉でしょ。家庭のおかずに、牛肉を使うとは贅沢な(内心羨ましい気も)」と思いますし、西日本出身者は東日本出身者に対して「肉じゃがに牛肉以外は、考えられへんでしょ(肉って言ったら、牛肉のことやん)」と思います。
同じ日本でも、大きなカルチャー・ギャップがありますね。「みんなの声」のアンケート(アンケート総投票数:14,105票、アンケート集計期間:2015年04月24日 06:00~2015年05月08日 06:00)によると、静岡以東を東日本、三重以西は西日本で、牛豚が分かれるようです。ちなみに肉じゃがのほか、カレーの肉も同様に東西で「豚」「牛」肉に分かれまね。養豚業が盛んな東日本では「豚肉」、肉牛を育てている西日本では「牛肉」が、馴染みがあり手に入りやすいということが理由と思われます。
サンライズって、東京にないの?(神戸出身)
神戸のコープのサイトを見ると、確かに東京出身には見慣れないアーモンド型のパンが「メロンパン」として販売されています。しかも中にはクリームが入っていて、美味しそうです。関西や中国地方、四国の一部地域でメロンパンと言えば、アーモンド型が主流、円型のタイプは太陽が昇る姿にちなみ「サンライズ」と呼んで区別されているそうです。なるほど、「サンライズ」とは太陽が昇る姿なのですね。納得しました。
広島発ベーカリー「アンデルセン」でも、「サンライズ」として販売しています。筆者も広島出身の友人に聞いてみましたが、やはり「サンライズ」というそうです。
「ザンギ」を知らないの?(北海道出身)
北海道民のソウルフード「ザンギ」とは、鶏の唐揚げのこと。多少味付けは異なるかもしれませんが、下味をつけた鶏を揚げたものを指します。
「かしわ」は柏餅のことじゃない(西日本出身)
かしわめしのおにぎり
上記のほか、福岡や佐賀の九州、四国の愛媛、関西は鶏肉を「かしわ」と呼ぶ地域が多いようです。福岡の「かしわめし」は鶏肉の炊き込み御飯。筆者も福岡出身の方に手作りの「かしわめし」ご馳走になりましたが、美味しさに驚きました。
他には「かしわうどん(鶏のそぼろのうどん)」や「かしわ天(鶏の天ぷら)」も九州ではお馴染みのメニュー。「かしわ天」はうどんのトッピングにすることが多いようです。九州地域は鶏が名産だけあって、自慢の鶏を美味しく食べる方法を知っているようです。
次は冷やし中華のびっくり常識です。
冷やし中華の必須アイテム(愛知県)
愛知県は、「名古屋めし」とも呼ばれるクリエイティブな食文化で知られていますね。あんかけスパゲティ、味噌カツ、天むす、モーニングサービス、味噌カツ、小倉トーストなど数え切れないほどの名物があります。
Jタウンネットのアンケート(2014年7月に全国1558人に実施)では、長野、大分、山形、福島、茨城、山梨、岐阜、愛知、三重、滋賀、奈良の11県で「マヨネーズをいつもかける」が50%以上の得票率だそうです。一方で「ありえない」派が強かったのは、茨城を除く北関東、兵庫、和歌山、岡山、北九州など。特に岡山と福岡は70%以上が否定派。
東京出身の筆者は、冷やし中華とマヨネーズの組み合わせは未体験ですが、考えてみると「あるかもね」とも思います。一度試す価値ありかも?
はんぺんは白いとは限りませんよ(静岡出身)
あなたのはんぺんのイメージは何色でしょうか? 静岡県外では多分「白」。静岡県民はやっぱり「黒」。
静岡県では「黒はんぺん」がメジャーです。「黒はんぺん」は、サバやイワシを骨までまるごとすり混ぜるので、色が黒いのです。新鮮なサバやイワシが豊富に獲れることから、「黒はんぺん」が誕生したのでしょう。東京で言えば「つみれ」でしょうか。静岡の地元グルメ「静岡おでん」は、出汁の色も濃いので、全体的に黒っぽい色合い。頂く時はダシ粉と呼ばれる青海苔・カツオ節をかけるそうで、静岡県民がいかに魚類を好むか伺いしれますね。
お赤飯の必須アイテム(北海道出身)
甘納豆いりお赤飯ですが、南部明子氏が考案者。
札幌の光塩学園の創設者であり料理研究家である南部明子氏の「甘納豆いり赤飯」は、昭和30年代頃から北海道のラジオや新聞を通じて紹介され、北海道中に広まったそうです。なぜ甘納豆入りなのかは、手間がかからず簡単にできるからというシンプルな理由のようですよ。北海道民が甘いもの好きであることも、好まれる理由かもしれませんね。北海道育ちで「甘納豆いり赤飯」を食べた人に伺ったところ、塩をかけて食べるので、アマジョッパさがたまらないそうです。食べてみたいですね。
次はタイムリーなお雑煮の話題。
あん餅入りお雑煮のどこが悪い(香川県出身)
筆者も噂では知っております。が、口にする機会がありませんでした。
なぜ、白みそあんもち雑煮なのでしょうか?
「昭和三十年くらいまでは甘いものは大変なごちそうだった。まして明治のころなら讃岐三白とはいえ、庶民の口にできたのは、ねば砂糖などと呼ばれた白下糖。それも病気をした時や盆、正月などの『なんぞごと』の時くらいだった。白みそも特別な時だけ。ふだんは質素に暮らして、せめて正月くらいは、と考え出したのが始まりでしょう。とても豊かな雑煮です」
四国新聞社より引用
なるほど、お砂糖と白みそは、1年に1度、大事に頂くハレの日のご馳走。香川県民の誇りなのですね。ちょっと羨ましい気がします。
47都道府県違うお雑煮カルチャー(東日本VS西日本)
お雑煮は47都道府県違うかもしれない、地域性の強いものです。餅は東日本は角餅、西日本はまる餅。具材は東京はシンプル、東北は野菜の具沢山、海の地域は海鮮。出汁は、カツオ節、あごだし、煮干ほか。味付けも醤油、すまし、味噌(白、赤)など各地により異なりますね。県というより、家庭によって異なるほどバラエティ豊富です。
筆者は醤油味の野菜具沢山(父方)の雑煮で育ちました。主人は福岡出身なのに京都風の白みそ雑煮を好み、筆者宅では白みそ雑煮でお正月を祝います。同じ材料や味付けでも、微妙に異なるところがまた楽しいものです。
うどんのカルチャー・ギャップは深い(東日本VS西日本)
うどんも地域により、異なりますね。詳しく書くと長くなりますので、今回は手短に。
西日本は「うどん」文化。東日本は「そば」文化と言えるかもしれません。現に西日本の人は、そばに馴染みが薄い人が多いようです。東日本が「そば」文化なのは、そばは寒冷地や痩せた土地でも育つため、米の育ちにくい地域で主食として育てられたようです。
東日本は濃口醤油、西日本は薄口醤油。麺は地域によって様々ですが、東日本では水沢うどん(群馬)、稲庭うどん(秋田)、西日本では讃岐うどん(香川)、五島うどん(長崎)などが有名ですね。また、柔らかさについても、地域により異なり、讃岐うどんのようなコシのあるうどんを好む地域もあれば、福岡のように柔らかくコシのないうどんを好む地域もあります。
ギャップを知り、楽しむ
旅先での楽しみは、食文化の違いに驚き、親しみ、味わうことでもありますね。その地域では古くからあるものでも、他の地域から来たあなたには、新鮮に映るものもあるでしょう。思い込みにとらわれ過ぎず、むしろ食文化のギャップを楽しんでみたいですね。
食文化の違いは細かい点でも多くあり、結婚をきっかけに地域差に驚く方も多いでしょう。筆者は東京出身、主人は福岡出身。東日本と西日本の違いを味わっておりますが、相手の味に馴染んで家庭の味が出来ていくのかなとも思います。
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