北朝鮮旅行日本総代理店の中外旅行社に、北朝鮮について聞く全5回の連載。2回目の今回は北朝鮮の世界遺産など名所を教えてもらいます。首都の平壌を中心に、地方の主要都市、世界文化遺産、山岳観光スポットなどが外国人に人気なのだとか。それぞれに代表的な観光地をまとめました。
北朝鮮旅行日本総代理店に聞いた!北朝鮮ってどんな国?【1】出入国編
北朝鮮旅行日本総代理店に聞いた!北朝鮮ってどんな国?【3】食事と買い物編
北朝鮮旅行日本総代理店に聞いた!北朝鮮ってどんな国?【4】ホテル編
北朝鮮旅行日本総代理店に聞いた!北朝鮮ってどんな国?【5】素朴な疑問編
平壌周辺の人気観光地は?
凱旋門
最初は首都の平壌、もしくは平壌郊外の人気の観光地から。基本的に入国は首都の平壌になりますから、平壌の人気観光地は必ず訪問すると予想されます。中外旅行社に平壌、ないしは平壌郊外を含む主要な観光地を聞くと、歴史遺産、記念碑、博物館などを挙げてくれました。
歴史遺産:檀君陵(タングンりょう)、東明王陵、大同門、乙密台(ウルミルデ)など
記念碑:チュチェ思想塔、凱旋門、金日成広場、平壌地下鉄など
博物館:朝鮮革命博物館、祖国解放戦争勝利記念館、万寿台創作社など
その他:メアリ射撃館、美林乗馬クラブ、未来科学殿堂、黎明通りなど
歴史遺産の大同門(だいどうもん、現地読みはテドンムン)は平壌のランドマーク。牡丹峰(ぼたんほう、現地読みはモランボン)の乙密台は、平壌八景の1つとして有名なのだとか。博物館の祖国解放戦争勝利記念館は、日本人も深く関係のある場所。射撃館などもあるのですね。
朝鮮民主主義人民共和国外国文出版社のホームページによると、メアリ射撃館は25mの拳銃射撃場と、50mの小銃射撃場を完備した外国人観光客も多く訪れる観光地なのだとか。平壌地下鉄は朝鮮半島最古の地下鉄だといい、3路線が営業しています。
チェチェ思想塔
ちなみにこうした観光地を巡る間、2名以上の北朝鮮人ガイドが常時同行するといいます。「え、なんで?」と不思議に思ってしまうかもしれませんが、北朝鮮と日本は国交を結んでいないため、現地に大使館がありません。万が一のトラブルや不要な問題に巻き込まれないようにする、さらには日本語が通じない現地で通訳の役割を果たすといった目的があるそうです。
郊外の人気都市や山岳観光地は?
南浦
平壌以外にも国際的に人気の観光地はどこになるのでしょうか? 聞いてみると、
・南浦(ナムポ)
・元山(ウォンサン)
・咸興(ハムフン)
・清津(チョンジン)
・羅先(ラソン)
などが挙げられるそうです。南浦は平壌から近い朝鮮半島西岸の港湾都市で、元山は南浦の真逆、東朝鮮湾に面した朝鮮半島東岸にある港湾都市になります。その北には咸興湾を抱える主要都市の咸興、朝鮮半島の東岸をロシアに向かって北上した先にある同じく主要都市の清津、さらにロシアや中国との国境近く、北朝鮮北東部の端に位置する経済特区が羅先(かつては羅津などと呼ばれる)ですね。
白頭山
一方で国土の8割が山地という北朝鮮の観光地と言えば、やはり白頭山(ペクトさん)など山岳観光地のイメージがあります。白頭山はもちろんですが、他にも国際的に人気の山岳観光スポットを聞いてみると、
・金剛山(クムガンさん)
・妙香山(みょうこうさん、現地読みはミョヒャンさん)
が挙げられるのだとか。金剛山は標高1638m、中国との国境にある白頭山と並ぶ名峰で、平壌からは車で片道5時間ほどの距離になります。
金剛山
妙香山は朝鮮6大名山の1つで、手元の世界地図によると標高1909mと書かれています。長野県の戸隠山(1904m)や那須の朝日岳(1896m)と茶臼岳(1915m)、北海道の美瑛富士(1888m)くらいですね。妙香山脈の中心で、平壌からは車を使って1時間40分で行ける距離にあります。
開城の歴史的建造物群と遺跡群
また、北朝鮮には世界文化遺産が2つあります。2004年に登録された高句麗古墳群、さらには2013年に登録された開城(ケソン)の歴史的建造物群と遺跡群。上述した平壌市の東明王陵などは、高句麗古墳群の1つになります。北朝鮮に訪れる機会があれば、人類普遍の財産として訪れておきたいですね。
北朝鮮でも温泉は人気!?
日本には温泉が各地にあり、外国人旅行者にも人気ですが、北朝鮮にも外国人旅行者が楽しめる人気の温泉地が複数存在するそうです。具体的には、
・龍岡(ヨンカン)温泉
・金剛山(クムガンさん)温泉
・鏡城(キョンソン)温泉
・白頭(ペクト)温泉
など。ただ、日本の温泉地とは少しイメージが違って、北朝鮮には露天風呂がないようです。
ちなみに変な質問として、温泉に入浴している最中に現地で同行するというガイドはどうしているのでしょうか。聞いてみると、各ガイドの判断にもよるそうですが、一緒にお風呂に入る場合もあると教えてくれました。
以上、北朝鮮の主要な観光地を紹介しましたが、いかがでしたか? 上述した観光地は希望すれば自由にプログラムに組み込めると言いますが、現地での行動はガイド同伴が前提で、単独での街歩きはできないと言います。
また、ホテルの売店、あるいは指定された場所以外での自由な買い物も不可。ただ、ガイドと一緒であれば希望に応じて町のお土産屋や飲食店などに案内してもらえる場合もあるそうです。ガイドとの人間関係が重要になってきそうですね。
次回は現地での食事と買い物事情について紹介します。
平壌
※2018年2月21日現在、外務省からは対北朝鮮措置として北朝鮮全土への渡航自粛が呼びかけられています。ご了承ください。
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取材協力:中外旅行社
[UNESCO World Heritage Centre]
[朝鮮民主主義人民共和国外国文出版社]
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