バナナといえば子どもの頃から親しんでいるフルーツの代表格。デザートやおやつ、朝食がわりに食べる人もいるかもしれませんね。
そんなバナナに氷河期を体験させると、通常の倍の早さで成長し、しかも糖度が高いものができるのだそう。それって一体、どういうことなんでしょうか? そしてそのバナナのお味は?
趣味で始めたバナナ栽培
今回ご紹介する『ともいきバナナ』を生み出したのは、田中節三さん。もとは実業家だった田中さんは、農業の専門家でもなく、バナナ栽培も素人でした。しかし子どもの頃食べたバナナの味が忘れられず、自分が食べるために40年前に趣味でバナナ栽培を始めたと言います。
田中さんが大好きだった「グロスミシェル」というバナナは、世界中に広がったパナマ病(バナナが枯れる病気)でほぼ絶滅してしまいました。今流通しているバナナは「キャベンディッシュ」といって、子どもの頃とは全く違う味なのだそう。
そしてあの頃食べたバナナの味わいを復活させるべく、知識ゼロからのバナナ栽培が始まったのです。
生きる力を目覚めさせる「凍結解凍覚醒法」
熱帯地域で作られたバナナ
そもそもバナナは熱帯の果実。それを日本で育てるために、田中さんは20年近く試行錯誤を繰り返してきました。そしてたまたま見たドキュメンタリー番組で植物のソテツが5億年前から存在し続けることを知り、「人工的に氷河期を経験させれば、その生命力を最大限に引き出せ、日本でもバナナが育つのでは・・・」と考えます。
そして苗を冷凍する試行錯誤が始まります。しかし中々うまくいかず、すぐ枯れてしまい・・・。
最終ヒントをくれたのは、なんと金魚。植物だと成長に時間がかかるため魚類で実験していたところ、金魚を入れた水槽を一度ずつ下げていくと金魚も一緒に凍るものの、解凍すると金魚が動き出したのです。金魚と同じ、「バナナもじわじわ凍らせればいい、氷河期だって一夜にして凍るわけではない」と発見!
その後も特殊な溶液を使うなど試行錯誤を繰り返し、誕生したのが「凍結解凍覚醒法」。しかもこの方法だとバナナは早く成長し、普通より甘くなるのです。まさに生命力を目覚めさせた成果でした。
本来バナナは皮ごと食べられるもの
(画像はイメージです)
「本来バナナは皮ごと食べられるもの、皮にこそ栄養がある」と田中さんは言います。それができないのは、農薬やワックスが使われているから。それに、日常的に食べているバナナの皮は、苦くて分厚く、とても皮ごといただける感じではありませんよね。
『ともいきバナナ』の皮は薄くて苦味がほとんどなく、化学肥料、農薬は一切使っていません。だから、皮まで安心して食べられます。虫が発生したときは一匹一匹人の手で取り除きます。愛情をもって育てられているのです。
そして気になるお味は?
そんな奇跡のバナナ『ともいきバナナ』を実際にいただいてみましょう。
見た目は普通のバナナとさほど変わりません。
切って断面を見てみると、皮がうすく中身はねっとりとした感じ。おいしそうです。実際、糖度は25度。普通のバナナの1.5倍もあります。
いただいてみると、たしかに甘みが強く、旨味がつまった味わいです。皮も食べられます。皮までいただくというのは何か、野生にかえったようなワイルド感があります。あと、皮が薄いとはいえ通常より満腹感が高まりそうです。
ただし誤解のないようにお伝えしますが、皮だけワシワシ食べたい、という感じではありません(個人の感想です)。栄養やその奇跡の復活ストーリーとともに皮もいただきましょう。
おじいちゃん、おばあちゃんや両親など、昔のバナナを子ども時代に食べたことがある人たちに贈ってみると、「懐かしい味!」と喜んでもらえるかもしれませんね。
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