世界各地でおなじみの、黄色の「M」のマーク。ですが、ハンガリーの首都・ブダペストに「世界一美しいマクドナルド」と呼ばれる店舗があるのをご存じでしょうか。
それが、ブダペスト西駅に併設されている、歴史的ある建物を利用したマクドナルドです。
レトロな雰囲気満点のブダペスト西駅
時をさかのぼること19世紀末。ハンガリーでは資本主義と民族主義が台頭し、ブダペストでは世界的に見ても早い段階で地下鉄が開通するなど、さまざまなインフラや建物が建設され、近代都市としての歩みを急速に進めていました。
そんななかで建造されたのがブダペスト西駅。チェコやウクライナ方面への国際列車も発着するブダペストの主要駅のひとつです。
西駅はその起源を1846年に開通した鉄道駅にさかのぼり、現在の駅舎は、パリのエッフェル塔で有名なギュスターヴ・エッフェルの設計により、1877年に完成しました。
現代の私たちから見ると、非常に歴史ある重厚な建物に見えますが、鉄パイプとガラスを用いた外から内部が見えるデザインは、当時としては非常に斬新だったといいます。
現在の駅内部は近代的とはいえませんが、日本の大都市の駅にはないレトロな雰囲気が、深い味わいを生んでいます。
「世界一美しいマクドナルド」とは
ブダペスト西駅は、駅舎を中心に2つのホールが並ぶ構造となっていて、片方のホールがそのままマクドナルドの店舗として使われています。
レンガ色の重厚感あふれる建物と、見慣れた黄色い「M」のロゴが不思議なミスマッチ。「こんなに大きくて贅沢な建物がマクドナルドでいいの?」と思ってしまうほどです。
駅舎の裏側に回り込むと、緑あふれる中庭に面したテラス席も。こんなに心地良い空間で食事ができるマクドナルドはなかなかありませんね。
豪華列車の食堂を思わせる店内
さて、いよいよ店内に入ってみましょう。「世界一美しいマクドナルド」といわれる店内は、天井を高く設けたクリームイエローを基調とした空間。天井の周辺にはしっくい装飾が施され、実に上品な雰囲気です。
ソファ席を中心に、一つひとつの席がゆったりと配置され、空間の使い方がなんとも贅沢。さすがは、世界一の呼び声高い店舗だけあります。この空間を見て、誰が一体マクドナルドだと思うでしょうか。
暖かい光が店内を照らすランプに彩られた店内は、どこか豪華列車の食堂を思わせるゴージャス&ノスタルジックな空間。現在マクドナルドとして使われているこの部屋は、もともと20世紀初頭に造られた駅の食堂でした。それを聞けば、どことなく豪華列車の食堂のような趣があるのも納得できるような気がしませんか。
本格ケーキも楽しめる「マックカフェ」を併設
普段ファストフードを食べない人は「いくら素敵な空間でも、マクドナルドで食事はちょっと・・・」と思われるかもしれません。
ブダペスト西駅のマクドナルドのいいところは、本格的なケーキやコーヒーが味わえる「マックカフェ」が併設されていること。吹き抜けに造られた中2階では、美しい店内を見下ろしながらカフェタイムが楽しめるのです。
ラズベリーチーズケーキ(560フォリント)とカフェラテ(520フォリント)、合わせて1080フォリント(約430円)というお手頃価格。
マクドナルドのケーキにはあまり期待できないような気もしますが、これが思いのほか当たりで、なめらかな口どけとほどよい甘さで上品な味わいです。
これだけ優雅な店内で、安くゆったりとくつろげる西駅のマクドナルドは、カフェとしても利用価値大。
店内の雰囲気は意外にローカル
「世界一美しいマクドナルド」といわれる店舗だけあって、観光客の利用が多いのかと思いきや意外とそうでもなく、お客さんの大半は地元っ子っと思われる人々。店内を物珍し気に見て、写真を撮っているような人はごく一部です。
豪華な空間も見慣れた当たり前の光景といった様子で、みなそれぞれ思い思いの日常の一コマを過ごしています。
ブダペスト西駅のマクドナルドは、マクドナルドとは思えないほど豪華。それでいで、肩ひじ張らずに立ち寄れるマクドナルドらしさは健在です。
[All photos by Haruna Akamatsu]