イタリア人観光客の取扱説明書〜朝食には甘いものを〜

Posted by: 鳴海汐

掲載日: Jul 20th, 2018

訪日外国人観光客が増える昨今、どうおもてなしをするべきかも気になりますよね。そこで、国別「外国人の取り扱い説明書」を特集。日本政府観光局(JNTO) がまとめた外国人観光客の「接遇に関する注意点」から、今回はイタリア人へのおもてなしポイントをご紹介。

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント

イタリア人には甘い朝食を

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント

「イタリア人は、朝、塩味ではなく、甘いものを食べることが定番であるため、日本食メニューのみではなく、コンチネンタルブレックファスト(コーヒーと甘いパンやビスケット)のような軽いメニューも選べることが望ましい」

日本政府観光局(JNTO) 世界の市場別基礎情報 外国旅行の動向 イタリア」より

イタリア人に朝食に何を食べているか訊いた時、コーヒーのみという人が割といました。食べても、中にカスタードクリームやジャムなどが入っている甘めのクロワッサンやビスケットにカプチーノといった軽めの朝食が定番なので、日本のずらりと並んだ旅館の朝ご飯が毎日では厳しそうな気がします。

また、「特にコーヒーへのこだわりは強く、アメリカンコーヒーではなく、エスプレッソや朝であればカプチーノが望まれる」ともあります。

カプチーノは、午後は飲まないなど、いろいろルールがあるイタリアです。ヨーロッパのグリーンティーは日本の緑茶とは香りが根本的に違ってまったく別物なのですが、多分イタリア人にとってのアメリカンコーヒーはそれくらいの違いがあるのではないかと思われます。

宿泊料金が1名あたりの場合は明記すること

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント

これはイタリアだけでなく、他のヨーロッパでも言えることですが、「商習慣上、基本的にイタリアのホテルが「1名あたり」の料金を表記することはなく、宿泊料金の表示は「1室あたり」が大前提である」ので、そこを分かりやすくする必要があります。

さらに「日本の標準的なダブルルームはイタリア人にとってはとても狭く、かつ高い」と感じられるようです。イタリアは比較的宿泊料金が安い国。特に日本のビジネスホテルの狭さには驚くかもしれませんね。

靴を脱ぐ理由を説明すること

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント

「和室などで履物を脱ぐ習慣についてはある程度周知されているが、『汚れを室内に持ち込まない』という、履物を脱ぐ根本的な理由について知らない人が多く、土間を素足で踏みながら履物を脱ぐ旅行者がいる」

日本政府観光局(JNTO) 世界の市場別基礎情報 外国旅行の動向 イタリア」より

これについては少々疑問です。家の中で靴を脱ぐのは世界的にみたら一般的ではなく、それゆえ日本人は清潔だと思われているというのが、長い間日本の共通認識だからです。

ただ、ヨーロッパには、はだしの方が快適だからという理由で、他の人は土足のところを室内で靴を履かずに過ごし、足を拭かずにベッドに入ってしまう人がいます。また玄関で靴を脱ぐシステムをとっているけれど、段差などがないので境界線がはっきりない家も多いです。そのため、土間を素足で歩く人がいるのかもしれません。

「日本の伝統的な宿泊施設(旅館など)を体験したいイタリア人は多いが、『靴を脱ぐ』、『畳での休息』など、習慣が全く異なるため、初来日のイタリア人には、1泊程度が好ましい」ともあり、心配しすぎのようにも思いますが、畳は意外とハードルが高いようです。

イタリア人に人気の旅行地

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント

東京、京都のほか、奈良も人気。ユネスコ世界遺産の「東大寺の大仏」や「奈良公園の鹿」などが目的のようです。また、「原爆ドームは平和の象徴としてイタリア人が訪れたい場所」となっているとのこと。

その他の地方では、「富士山」の登山、沖縄の「ダイビングや釣り」「ゴルフやスパ」といったアクティビティにも関心が集まってきています。山にも海にも恵まれたイタリアですが、日本にしかない美を楽しんでほしいですね。

観光局が考えるイタリア人観光客のおもてなしポイント
(C)Eyesonmilan / Shutterstock.com

参考
[日本政府観光局(JNTO) 世界の市場別基礎情報 外国旅行の動向 イタリア]

[All Photos by shutterstock.com]

PROFILE

鳴海汐

Shio Narumi ライター

イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。

イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。

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