(c)UNICEF
日本国内の旅行ならあまり心配することがないトイレ事情。でも海外旅行だと国によっては要注意です。先進国では日本と同様にちゃんとしたトイレがありますが、実は予想を超えてひどい状況の国や地域もまだまだあるらしいんです。
住宅設備の大手リクシルがユニセフ(国連児童基金)とタッグを組んで、トイレで世界を救う活動を始めました。
世界の悲しいトイレ事情!
リクシルとユニセフが「世界の衛生課題解決に向けた新グローバルパートナーシップ締結」について発表会を行いました。その冒頭で、まだまだ酷い世界のトイレ事情について教えてもらいました。
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世界では23億人が安全で衛生的なトイレを使っていない。
なんと、世界の全人口の1/3が、安全で衛生的なトイレへのアクセスがないそうなんです。どうしているかというと、川・池・湖や、森の中に入って用を足すということになってしまうそうで、野生動物に襲われたりすることもあるそう。特に女性は暴行を受けてしまうこともあるので集団で時間を決めて排泄に出かけたりするそうです。
毎日800人の5歳以下の子供がトイレがないために亡くなっている
トイレがなくて不衛生な状態で病気にかかり、亡くなってしまう子供は2分に1人いるということです。体の弱い子供が一番の犠牲者になっています。
トイレがなくて学校に行かなくなってしまう
学校にトイレがないために、特に女子生徒は学校に行くことさえあきらめてしまう場合も多いそうです。
安い、安全、衛生的なトイレ「SATO」
そこでリクシルが開発したのが「SATO」。Safe Toiletから名づけられた製品で、プラスチック製、数ドルほどで製造可能です。
(c)Atsushi Ishiguro
写真はSATOを説明するリクシルのマーケティング担当 石山大吾さん。そこにある蓋が優れモノなんです。この蓋によって、臭いが出てくることを防ぐことができ、病気を媒介する蚊やハエと言った虫の発生も予防することができます。
自宅や集落にトイレを設置するのを嫌がっていた人たちも多いそうで、その匂いや虫が生活のそばにあることが問題だったそうです。SATOによってそれが解決されれば、わざわざ遠くまで出かける必要もなくなります。トイレ自体が衛生的になるので、もちろん病気を防ぐこともできます。安全と衛生を手にすることができるんですね。
これまでになんと15カ国で180万個を販売し、900万人が救われているそうです。
トイレを見たこともない人に使ってもらうには?
さて、いままで1回もちゃんとしたトイレを見たことがない人に使ってもらうにはどうしたらいいんでしょう。そこはユニセフです。ユニセフにはこれまでの長い歴史の中で、世界中の国や地域で活動してきたという経験とネットワークがあります。それに、単独でも、例えば昨年は5000のコミュニティの1100万人に対してトイレの提供をしました。
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安い・安全・衛生的なトイレをリクシルが製造して販売し、ユニセフはトイレの必要性から使い方までを広めていくというパートナーシップです。
オープンな場所で用を足すという体験
日本に住む日本人なら、生まれた時からトイレがあって、もちろん安全で、落ち着けて、掃除も行き届いて衛生的な環境が整っていますが、トイレという囲いがないオープンな場所で排泄するとは、いったいどういう状況なんでしょう。
そこで登場したのがマジックミラーで囲われたトイレです。中からは見えますが、外からは見えません。実際に使用できるトイレではありませんが、そこに座って疑似体験をすることができるんです。
(c)Atsushi Ishiguro
今回の発表会の後半では、石山さんが子供たちに「世界の衛生環境は今」という特別講義を行って上記の事実を学んだあとに、このトイレを体験しました。どの児童も「これじゃ絶対無理~!」という反応。トイレの大切さを体感していましたよ。
トイレ先進国の日本
(c)Atsushi Ishiguro
日本では高級ホテルなどには数十万円もするトイレが設置されていたり、一般家庭でもおしり洗浄や、暖房便座など、他の国に類を見ない高機能なトイレを利用しています。そんなトイレのありがたみは、マジックミラーのトイレの体験がなくても、海外旅行の際に身に染みたこともあるのではないでしょうか。
世界中のみんなが、安全で衛生的なトイレを使えるようになって、なるべく早く安心できる状況になるといいですね。
[LIXIL みんなにトイレをプロジェクト]
Atsushi Ishiguro ライター&フォトグラファー
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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