
Photos by Hideyuki Tatebayashi
フランスパリ発の老舗ブランドのルイ・ヴィトン。ロゴが付いたバッグは、世界中の人が愛する不動のロングセラー。ブランド嗜好の日本人が、一番初めに思い浮かべるブランドかもしれませんね。数あるファッションブランドの中で、なぜ私たちは、ルイ・ヴィトンを真っ先に思いつくのでしょう。私たちが、近しく感じる理由とは何なのでしょうか。
ルイ・ヴィトンのダミエ

(C)anythings / Shutterstock.com
1888年に誕生したダミエ。ベーシックで飽きのこない、ロングヒット。バッグ各種、財布、ポーチや携帯ケースなどライン商品が出ています。
日本人に近しく感じるデザイン

Photos by Hideyuki Tatebayashi
キャンバス地は軽く丈夫、デイパックでも、エレガントに見えるのが特徴。このダミエ柄、何かに似ていると思いませんか。黒のダミエだと、分かりやすいかもしれません。
日本の古典模様に似ている

市松模様
ルイ・ヴィトンのダミエ柄は、日本の「市松模様」がルーツと言われています。市松模様とは、黒と白などの正方形を互い違いに並べた格子柄模様のこと。江戸時代の人気歌舞伎役者の佐野川市松が舞台衣装に格子模様を使ったのがはじまり。佐野川市松ファンの女性たちから流行になり、市松模様と呼ばれるようになりました。ルイ・ヴィトンのダミエ柄が馴染み深い理由は、日本人が見慣れた柄だからですね。
ただし、西洋文明でも市松模様と同じチェッカー柄(チェス盤の柄)があり、チェスは約4000年もの歴史があります。
当時のルイ・ヴィトンでは職人が手書きしていたそうです。シンプルな模様とはいえ、大変だったでしょうね。
ルイ・ヴィトンのモノグラム

Photos by Hideyuki Tatebayashi
ルイ・ヴィトンを代表する柄といえば、やはり「モノグラム」が思い浮かびますね。ルイ・ヴィトンを持つ日本人に、一番人気はモノグラムでしょう。キャラクターとコラボ、多色使いのマルチカラー、型押し、カラーを使った革とコンビなどはアレンジしているものの、基本デザインはモノグラムです。やはり絶大な人気なのでしょう。このモノグラムからも、和風のテイストを感じませんか。
日本の家紋から来ているって本当?

家紋
そしてネット上の情報では「薩摩藩島津家の家紋から来ている」とまことしやかに流れています。家紋と聞くと腑に落ちる気がしますが、丸に十の字の島津家の家紋とルイ・ヴィトンのモノグラムの柄を結びつけるのは、やや無理があるような気がします。
フランスにも、王家や貴族の紋章があります。紋章があるのは日本だけではないですね。
ジャポニスムってなに?
ジャポニスムとは、あまり耳慣れない言葉ですが一体どういう意味を持つのでしょうか。
ジャポニスム
19世紀後半に日本美術の影響を受けてヨーロッパ,アメリカ合衆国で盛んになった美術の傾向。絵画,版画,彫刻,工芸,建築,写真など,美術のあらゆる分野にわたり,1856年頃から1910年代にかけて,フランスを中心に広く各国に見ることができる。
コトバンク 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用
19世紀のフランスで、浮世絵に代表される日本文化が紹介されたことから「ジャポニスム」が一気に広まりました。未知の国であった日本の浮世絵を模写し、ゴッホやモネなどのアーティストは多大な影響を受けています。モノグラムが誕生した1896年は、ジャポニスム全盛期と時期が重なっています。
実際の真偽を確かめてみました
インターネット上に情報は溢れているものの、公式文書から出典しておらず、「言われています」という確証のない記事が多いものです。日本の市松模様に由来すると言われる「ダミエ」、日本の家紋に由来すると言われる「モノグラム」は、実際の真偽はどうなのでしょうか。直接、ルイ・ヴィトン ジャパンに問い合わせてみました。
ルイ・ヴィトン ジャパンのPR担当の方から頂いた回答(2018年9月27日現在)は下記のとおりです。
●
ダミエについて
ダミエという言葉の意味が市松模様でして、日本の市松模様に由来するものではございません。
●モノグラムについて
日本の家紋がインスピレーション源であるという説もございますが、諸説ございますうちの一つであり、断定しておりません。なお、島津家の家紋からきているというのは、今まで一度も聞いたことがございません。
モチーフの誕生時期とジャポニズム全盛期が重なる時期があるかもしれませんが、直接リンクしているという具体的な事実は確認できておりません。
筆者が数日間もやもやと思い悩んでいた不確かなことを、ルイ・ヴィトン ジャパンのPR担当の方の回答がスッキリさせてくれました。
ルイ・ヴィトンのモチーフは、日本人にはお馴染みの「市松模様」や「家紋」のテイストが、日本由来を連想させたのかもしれません。そして、モチーフの由来が日本だったらという期待と日本人がルイ・ヴィトンを愛する気持ちから発祥した説なのかもしれませんね。

モノグラムのデコレーション ニューヨークのルイ・ヴィトン店
Photos by Hideyuki Tatebayashi
取材協力
ルイ・ヴィトン ジャパン
[Photos by shutterstock]
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sara-aoyama ライター
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
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