「マカオの◯級グルメシリーズ」、これまでA級・B級グルメをご紹介して参りました。最終回は、”C級グルメ” に挑戦!安い(Cheap)・くつろぎ(Comfort)・中華系(Chinese)といった意味がある他、 ”ゲテモノ系”を指す事もあるこのジャンル。ちょっぴり刺激的な出で立ちですが、一口食べればたちまち虜に・・・。日本人にはあまり馴染みのない、”マカオ珍味” をお届けします。
【刺激度レベル1】マカオっ子に人気のレストランで、はじめてのC級グルメ
まず最初に訪れたのは、ピリ辛料理が旨いと評判の「麻辣客棧」。地元の若者を中心に人気を集めている旬なレストランです。
ゲテモノ料理の定番と言えばカエル! 「干鍋田雞」
「ちょいちょい、刺激度レベル1からカエルですか!?」と不安になったあなた、ご安心を。食材こそパンチが効いていますが、言われなければそれとは気付かぬ状態で登場します。ビジュアルをイメージせず頂けるので、C級グルメデビューにうってつけのお店なんです。
あっ、とこれは足・・・ですね。カエルさんの面影が若干残ってました。早速、控えめにかじってみるとします。広東語で”田雞”(田んぼの鶏)と書くだけあり、「カエルは鶏肉にそっくり」と聞いたことがあります。確かにざっくり言うと、”やや脂がのった鶏のささみ” と言ったところでしょうか。”つるぷにゅっ” とした弾力のある食感。ニンニク・唐辛子・甘辛ソースでしっかり味付けされており、生臭さなどは全く感じられません。
強烈な臭いでお馴染みピータン 「涼拌皮蛋」
アルカリ性の灰・土・植物などを混ぜたものの中で、数ヶ月間熟成させたアヒルの卵のこと。その独特なニオイから、苦手な方も多いかも知れません。しかしこちらの料理は、そんなピータン特有の”アンモニア臭”がマイルド。なぜならニンニク・生姜・唐辛子などの薬味、ごま油とラー油が香る特製ピリ辛ソースで味付けられているから。口に入れるとスモーキーで芳醇な香りが広がります。濃厚でクリーミーな味わいが非常に美味、ビールがすすむ珍味です。
住所:筷子基寶翠花園地下Q(對綠楊花園內園)
Tel:+853 6612 6552
【刺激度レベル2】マカオ屋台の定番 子豚の丸焼き
マカオ半島を歩いていると、細い道に所狭しと屋台が並ぶ光景をよく目にします。その中でひときわ目を引くのが、豚・鶏・アヒルの丸焼き。「さぁ、見よ!」と言わんばかりの堂々たる姿。一瞬その迫力にたじろぎますが、見ているとだんだんと美しさすら感じてきます。こんがり焼けたツヤツヤの皮・・・次の瞬間、隣にいた地元民のお腹から(グーー)という音が。ちなみにマカオでは旧正月やお祝いごとがある際、豚の丸焼きが供えられるんだそう。
チャーシュー「叉燒」
そんな豚さんを食べやすいサイズにカット、はちみつ入りの甘辛ダレで味付けしたチャーシュー。緑の香草は彩りを添えるだけでなく、味に深みを与えくれます。これでご飯2,3杯は軽く食べれるのではないでしょうか? 料理をする時間のない忙しい家庭では、よく屋台のチャーシューをサッと買ってランチやディナーにするそう。日本で言うところの、スーパーのお惣菜感覚なんでしょうか。
【刺激度レベル3】地元民御用達!いざ、街市の「熟食中心」へ
レベル2まで順調にクリアし、程よくキワモノ料理も見慣れてきた筆者。いよいよ、ローカルしかいないエリアに足を踏み入れてみます。「街市」とは、生鮮食品が売られるマーケットのこと。魚・野菜・肉など、新鮮な食材がずらりと並びます。さすがに”血も滴る生肉” は、ややグロテスク。足早に「熟食中心」のある階へと移動しましょう。
ホルモンたっぷり!「牛雜麵」
「熟食中心」はいわゆるフードコートのような場所。リーズナブルな価格はもちろんですが、真の魅力は ”味” にあり!舌の肥えた地元民も足繁く通う名店が隠れていたりするものです。では数ある店の中からどうやって見極めるのか?簡単です、行列は嘘をつきません。どんなに小汚かろうが心配無用、じっくり人の流れを読むに尽きます。大抵、芸能人が訪れた時の写真なんかも多く飾られてます。
ごぼうの出汁がしっかりとした透明なスープには、牛の胃・腸・肺・などのホルモンがたっぷりと入っています。コリコリ・もちもち・・・食感や歯ごたえが部位ごとに違って面白い!コシのある平打ち麺はやや細め、つるつるっとした喉越しの良さを楽しみます。
鶏の足がインパクト大!「雲呑雞腳麵」
フードコートって、ついついはしごしたくなるから危険ですね。こちらは見るからに獣感が強い”鶏の足ヌードル with ワンタン”。先程「街市」で吊るされていた鶏さん達の姿が鮮明に蘇ります。ざらついた舌触り、肉があまり付いていないので食べると言うより骨をしゃぶるのに近い・・・。カレースープの旨味が、皮からじんわり溢れてきます。
食べ過ぎた! 〆は「涼茶」 でデトックス!
日頃なれない珍味をたらふく食せば、さぞかし胃もびっくりしていることでしょう。最後は漢方茶を飲み胃を労ってあげることに。「涼茶」は漢方をブレンドしたお茶で、体内に溜まった熱や毒を取り除き、体のバランスを整える働きがあると言われています。
ちょっとした体調不良の際は、薬の代わりに飲む人も多いんだとか。今回オーダーしたのは「黃連」、食べ過ぎや風邪の時におすすめ。ただし「黃連」は効能が強いので、「毎日飲んではいけない」「生理中は飲めない」など注意点もあります。
うーん、見るからに美味しそう!とはなりませんね。ニオイも強烈で、飲まずとて苦いであろうことが想像つく。しかしおかげで、ひ弱な筆者もマカオ滞在中はすこぶる健康でした。これぞ文字通り「良薬口に苦し」(笑)。
美食の街「マカオ」で、 ”食冒険” してみない?
「一度は食べたい憧れの ”A級”」「安くて旨い庶民の味方 ”B級”」「好奇心そそる珍味 ”C級”」・・・と三弾にわたりお届けしてきた「マカオの◯級グルメシリーズ」。この街は、あなたの食欲を刺激する料理で溢れています!ぜひ一度訪れて、まだ見ぬ美食ワールドの扉を開いてみてはいかがでしょう?
[All photos by Ai Kaneko]
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