
ホーチミン一人旅で食事場所に悩んだら、おすすめしたいとっておきのレストランが「フーンライ」。邸宅風のおしゃれなレストランですが、家庭的な温かみがあって、一人でも入りやすい雰囲気。少量ずつさまざまなベトナム家庭料理を味わえるセットメニューもあり、おひとりさまにも優しいお店なのです。
可愛い邸宅風レストラン「フーンライ」

ホーチミン中心部、リートゥーチョン通りにたたずむパステルイエローの建物。そこだけゆったりとした優しい時間が流れているような気がして、通りかかった人々はついつい足を止めます。
ここは、日本人がオーナーを務める、可愛らしい邸宅風レストラン「フーンライ」。「ベトナムの家庭の味を旅行者にも気軽に味わってほしい」との思いからオープンした、ベトナム家庭料理のお店です。
今でこそ、ベトナムの家庭料理を提供するおしゃれなレストランも増えていますが、2001年のオープン当時は、高級レストランか屋台しかなく、ベトナムの家庭料理を気軽に食べられるお店はなかなかありませんでした。フーンライはベトナムにおける家庭料理レストランの先駆け的存在といえるのです。
優しい時間が流れる店内

外観からはかなりの高級店のようにも見えますが、建物の中に入って階段をのぼると、そこにはゆったりとした時間が流れる家庭的な空間が広がっています。

ベトナムとヨーロッパが融合したおしゃれなインテリアに、手作りのぬくもりが感じられる可愛らしいテーブルセット・・・上質で洗練されているのに、気が引けてしまうようなゴージャス感はなく、一人でもリラックスしたひとときが過ごせます。
おひとりさまに嬉しいセットメニュー
フーンライが「おひとりさま」に優しいのは、その雰囲気だけではありません。ベトナムでレストランに入ると、「食べたいものは色々あるのに、一人じゃ食べきれないから、少ない品数で我慢する」ということがしばしばあります。
けれども、ここフーンライでは一人ご飯にぴったりなセットメニューがあり、少しずつ、さまざまなベトナムの家庭の味を楽しむことができるのです。
ランチのセットメニューは、品数や料理の種類に応じて、A、B、Cの3通り。品数が最も少ないセットメニューAでも、メインと副菜、スープの3種類の料理を楽しむことができます。しかも、それぞれにメインディッシュなどが選べるのも嬉しいところ。
毎日でも食べたくなる優しい味わい

フーンライの料理は、うま味調味料などを使わずに、素材のおいしさを引き出した優しい味わいが特徴。リピーターが多く、連日訪れるお客さんもいることから、油っこくならないように気を配り、飽きのこない味つけにしているといいます。
豆腐入りの炒飯は、パラパラなのに油の重さがまったくなく、さっぱりとした薄味。ピリ辛のしょうゆをかけると、味が締まって香ばしくなり、さらにおいしく食べられます。

ベトナム家庭料理の定番、ナスのグリルねぎ油風味。かすかに漂うスモーキーな風味と、トロトロのねぎのコラボレーションがたまりません。
見た目が一風変わっているのが、紫やまいものスープ。甘みと塩気が絶妙なバランスで、五臓六腑に染みわたるような、癒しの味です。
食べる人のことを考えてていねいに作られたフーンライの料理は、外国の料理とは思えないほど、日本人の口によく合います。繰り返し食べても飽きがこないので、リピーターが多いというのにもうなずけるというもの。
驚くほど日本人の口に合う料理の数々ですが、特に日本人の好みに合わせたというわけではなく、ベトナムの家庭料理のおいしさを追求したらこのような形になったのだそうです。
恵まれない若者の自立支援の場
実は、フーンライは社会的に恵まれない若者の自立支援の場としての役割も担っています。フーンライで働くシェフ以外のスタッフはすべて孤児や元ストリートチルドレン、貧困家庭出身者などで、ここで彼らにサービスや英語教育を施すことで、将来の自立を助けているのです。
フーンライで食事をすることが、わずかながらも社会貢献にもつながるというわけですね。とはいえ、フーンライを訪れるお客さんのほとんどが、単純にお店の雰囲気や味に惹かれてやってきていて、「社会貢献をしよう」と意気込んでいるわけではありません。
ホールスタッフは、みな穏やかでほんわかとした雰囲気があり、そうと知らなければ社会的に恵まれていなかったことを感じさせる要素もありません。
フーンライは、あくまでも心地よい空間とおいしい料理を楽しめる場所。一度足を運べば、またここに帰ってきたくなることでしょう。

フーンライ
住所:38 Ly Tu Trong St. Dist.1 HCM City
[All photos by Haruna]
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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