2年に一度、フランスのリヨンで開催される「シラ国際外国産業見本市」。世界の国々から外食産業の業界関係者が集まるBtoB商談会で、集客動員数は20万人以上にもなる一大イベントです。この見本市では、料理人やパティシエなどが競う有名な国際コンクールも同時に開催されており、日本チームも参戦して賞を獲得した実績もあることから、飲食業界だけでなく各メディアからも注目されています。
2019年1月27日、この見本市で開催されたチーズ販売店で働くプロたちが競うコンクールにて、リヨン在住の日本人女性、本田楓子(ほんだふうこ)さんが優勝を果たしました。
Coupe de France des Fromagers ~チーズ屋さんのフランス大会~
Coupe de France des Fromagers(クープ・ドゥ・フランス・デ・フロマジェ)とは、チーズ販売店に勤める店員さんたちが、そのプロの技術や知識を競うコンクールです。参加者は全員で16人、フランス各地からこの全国大会に参加するためにリヨンに集まります。
大会は下記5つの種目で構成され、各種目の合計点で優勝が決まります。
– マークシート形式の筆記テスト
– ブラインドテイスティング
– チーズプレート作り
– 計量コンテスト
– プレゼンテーション
筆記テストとブラインドテイスティングは関係者のみで行われ、残りの3種目は観客が見守る中、公開で実施されました。
チーズプレート作り
チーズプレート作りは、チーズ販売員たちにとってセンスや知識が求められる重要な仕事のひとつです。大きさの違うチーズや、色や味、チーズのタイプ(ハードタイプやセミハード、クリームタイプなどなど)の特徴を捉え、数種類のチーズを全体的に美しく盛りつける技術が必要となります。大会の中で最も長い所要時間(50分)が設けられる目玉種目で、芸術的なチーズプレートができ上がっていく様子に観客は惹きつけられていきます。
今回のお題は「30名のパーティー用チーズプレート」。参加者たちは、全員に同じように用意されたチーズの中から12種類以上、30名分に適した分量(1人分約150g)を選びます。全員が同じコンディションでチーズプレートを飾りつけできるよう、同じ形をした土台にチーズを盛りつけて、それぞれチーズプレートを完成させました。
チーズ計量コンテスト
この種目は、全員が同じチーズを一斉に切りはじめ、計量器なしで5つの違う大きさ(250g、300g、400g、500g、700g)にチーズをカットします。カッティングが終わると、一人ずつ中央にある計量器で切ったチーズをそれぞれ量り、正しい重さに切れているかを競います。
プレゼンテーション
審査員と観客に向けたプレゼンテーションでは、参加者がそれぞれ地元の特産チーズをひとつ選んで紹介します。所要時間1分のプレゼンでポイントとなるのは、そのチーズを買いたいなと思わせること。そのチーズの特徴を説明し、味なども言葉で表現して紹介します。歴史を語ったり、ワインとの組み合わせについて語る参加者もいました。
優勝に輝いたのは本田楓子さん
2019年で11回目の開催となる今大会で総合優勝を獲得したのは、リヨンのMonS Fromager Affineur(モンス・フロマジェ・アフィナー)というチーズ屋さんで働く、本田楓子(ほんだふうこ)さん。
2015年9月に同店で働き始めた彼女は、本場フランスでチーズ販売員としての知識や技術を磨いてきました。チーズの知識はもちろん、カッティング技術の追及、盛りつけのテクニックやチーズと他の食材の相性などをアドバイスするセンスなど、彼女のプロとしての仕事が今回最高の形で証明されたことになります。大会が終わってからも反省点を口にする本田さん。優勝してもなお、向上心を持ち続ける彼女の今後に、さらなる活躍を期待せずにいられません。
MonS Fromager Affineur(モンス・フロマジェ・アフィナー)
今回優勝した本田楓子さんが勤めているのは、MonS Fromager Affineur(モンス・フロマジェ・アフィナー)のリヨン中央市場ポール・ボキューズ店です。地元の人はもちろん、観光客でいつも賑わう屋内型マルシェの中にあります。チーズ販売以外にも、カウンターなどイートインできるスペースもあり、ワインなどと一緒にチーズが楽しめます。彼女がいる時は、もちろん日本語で対応してくれます。
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minacono ライター
日本とカナダで観光業界に勤務。旅行会社、現地ツアーオペレーター、航空会社、観光局、いろんな分野で旅と関わってきました。現在はフランス在住。美味しい食べ物とお酒がうまく出会った時すぐ感動する。犬好き。でも猫みたいな性格に憧れる。
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