ロシア発の話題のインスタグラム・アカウント「Granny Chic」をご存知ですか?ちょっぴり懐かしさを感じさせる、可愛いニット製品を受注販売しているアカウントです。アップされているのは、ニットキャップや手袋、あみぐるみまでバラエティ豊か。けれどこの「Granny Chic」が注目されたのは、その可愛らしさのおかげだけではありません。意外な編み手たちの存在が注目されたのです。一体どんな人たちがニット製品を生み出しているのでしょうか。
編み物がおばあちゃんの生活をサポート
「Granny Chic」のインスタが誕生したのは、2018年秋。27歳のユリアさん(Yulia Aliyeva)が、ご自身の85歳のおばあさんのニット製品を販売するために立ち上げました。ちなみに「Granny Chic」(グラニーシック)は「おばあちゃんのシック(なニット)」という意味になります。
けれどユリアさんがそのアカウントを立ち上げるに至った背景には、ただのおばあちゃん孝行に留まらない深刻な問題があったのです。2018年の報道によると、ロシアの高齢者に支給される年金の平均額は1万4千144ルーブル(2019年2月現在、約2万3千369円)。ちなみに年金ではなく、労働者の月収は地方ごとにばらつきはあるものの、平均4万2千413ルーブル(同、約7万30円)なのだとか。
そしてその年金の支給開始年齢も2018年に引き上げが決定し、男性65歳・女性60歳になりました。これは、それぞれ一気に5歳も引き上げられています。これらの数字が示すように、ロシアの年金生活者にとっては厳しい状況なのです。ユリアさんが「Granny Chic」を立ち上げたのは、そういった高齢者の助けになりたいという思いがあるからでした。
驚きの「Granny Chic」おばあちゃんたちの収入
「Granny Chic」では、ロシアの高齢女性たちが昔ながらのテクニックで編むニット製品を紹介しています。現在では、「Granny Chic」に所属する編み手は約40人にもなっています。年齢にばらつきはありますが、55歳から87歳までの年金受給者なのだとか。
編み手の女性たちが「Granny Chic」で働く理由は、「障害のある孫のサポートをしているので、在宅仕事しかできない」「生活費を賄うため」など様々。けれどみなさん、路上の露店で自分で販売するのは恥ずかしいけれど、オンラインで販売してくれるなら頑張れると感じているようです。
そして気になる収入のほうは、月額450ドル(同、約4万9千879円)から1千ドル(同、約11万843円)といった金額になるそうです。前述の年金平均額を考えると、なかなかの収入です!
温かみのあるニットたち
ちなみにこの素敵なペルー製の毛糸で編み上げたセーターは1万2千900ルーブル(同、約2万1千268円)。
とってもキュートな編みぐるみは、それぞれ1千500ルーブル(同、約2千473円)と2千ルーブル(同、約3千297円)。むしろお買い得なのではないでしょうか。
発起人のユリアさんは「あなたの買い物が、誰かのおばあちゃんをサポートしている」と語っていますが、こういったおばあちゃんの手仕事は、見ているこちら側も幸せにしてくれますね。
「Granny Chic」は全世界への配送も対応してくれるそうですので、インスタグラムをご覧になって気になるニット製品があるようなら、お問い合わせをされてみてはいかがでしょうか。
[A photo by Shutterstock.com]
[Instagram/russiangrannies]
[A good yarn: Russia’s Insta-grannies take knitting skills online]
[‘Granny chic’: Russia’s Insta-grannies take knitting skills online]
[Average Monthly Pension in Russia Is $210, State Fund Tells Media]
[July 2018 Statistics: Average Wage in Russia USD 670]