少し前まで、ホーチミン観光といえば、コロニアル建築巡りとベトナム戦争関連史跡巡りがお約束でした。しかし、近年は「フォトジェニック」の波の高まりを受けて、ニュースポットが注目を集めるように。古くからの定番観光スポットに加え、今注目のフォトスポット、絵になるカフェ・レストランなどを訪ねてみましょう。

サイゴン大教会

ホーチミンを代表する古くからの観光スポットといえばここ、サイゴン大教会。フランス植民地時代の19世紀末に建てられた赤レンガ造りのカトリック教会で、天を貫くような2本の尖塔が印象的です。

正式には「聖母マリア教会」といい、教会前の広場には聖母マリアの像が。2005年には、このマリア像が涙を流したと、地元でニュースになったこともありました。フランスから運ばれた資材で造られたからか、ここだけを切り取ると、東南アジアにいることを忘れてしまいそうな幻想的な雰囲気を醸し出しています。

今も毎日ミサが行われている現役の教会。現在修復工事が行われており、完成予定は2019年末～2020年の予定です。

中央郵便局

サイゴン大教会の向かいにたたずむコロニアル建築が、中央郵便局。やはり19世紀末のフランス統治下で建てられたものです。

ヨーロッパの駅舎のような外観が印象的ですが、実際にパリの駅舎（現オルセー美術館）をモデルに建てられました。以前はパステルピンクだった外壁は、2015年にクリームイエローに塗り替えられています。

外観はもちろんのこと、クラシックなアーチ状の内部も芸術的。イエローとグリーンのコントラストが美しいアーチの奥の壁面には、ホー・チ・ミンの肖像画が抜群の存在感を放っています。

人気観光スポットだけあって、旅行者の姿が多く、土産物なども売られていますが、もちろん郵便局としても現役。窓口には郵便を出す地元の人の姿があり、日本の郵便局と変わらない日常風景が繰り広げられています。

ホーチミン旅行の記念に、ポストカードや年代物の切手などを購入するのもいいですし、実際にここからハガキを出してみてもいいですね。

タンディン教会

今ホーチミンで最も話題のニュースポットが、タンディン教会。ホーチミン観光の中心地からは外れているにもかかわらず、フォトジェニックなピンクの教会として火が付き、わざわざタクシーで訪れる人が後を絶ちません。

タンディン教会は、フランス統治時代の1876年に建造されたホーチミンで2番目に大きい教会。砂糖菓子のようなピンクと白の外観が「おとぎ話に出てくるお城みたい！」と、SNSで人気を集めるようになりました。

1区のドンコイ通り周辺とは違って、ローカルな雰囲気漂うエリアですが、タンディン教会は周囲とは隔絶されたかのような別世界。てっぺんに十字架を頂く尖塔に、ハートマークがついた時計など、どこをとってもフォトジェニックです。

あまりにも観光客が増えたため、現在はミサ時以外の内部見学は難しくなっていますが、運が良ければ、美しいステンドグラスに彩られた内部も見られるかもしれません。

詳しくは『ベトナムのフォトジェニックスポット！「タンディン教会」【現地ルポ】』をどうぞ。

スリ・タンディ・ユッタ・パニ寺院

ホーチミンの中心、高島屋が入居するサイゴンセンターの向かいにひっそりとたたずむのが、スリ・タンディ・ユッタ・パニ寺院。

1880年に建造されたベトナムでは珍しいヒンドゥー寺院で、「壁一面を覆いつくすレトロ＆カラフルなタイルが絵になる」と、観光スポットとしても注目されるようになりました。

実は、細やかな装飾が施されたキュートなタイルは日本製で、大正時代に流行した「エンボスタイル」というもの。タイルこそポップなデザインですが、寺院内部には落ち着いた静謐な時間が流れています。現役の祈りの場であることを尊重しつつ、ホーチミン中心部の別世界に足を踏み入れてみてください。

メゾン・マルゥ

今ホーチミンで最もホットなカフェのひとつが、メゾン・マルゥ。もはやベトナム土産の新定番となった高級チョコレートブランド「マルゥ」の直営カフェで、こだわりのチョコレートを使った特製のドリンクやケーキが楽しめます。

ポップとヴィンティージをアクセントにしたハイセンスな空間は、フランスへとワープしたかのよう。インテリアだけでなく、趣向を凝らしたケーキの数々も絵になるんです。

マンゴータルト・バナナパッションは、炎のような曲線を描くチョコレートが印象的な、食べてしまうのがもったいないほど芸術的なケーキ。サクサクのチョコレートタルトとなめらかなチョコレートムース、さわやかな南国フルーツの組み合わせは、食べても最高です。

店内には、マルゥのチョコレートやマグカップ、トートバッグなど、お土産にぴったりの品々も。混じりっけなしのマルゥのチョコレートは、品質へのこだわりはもちろん、パッケージも美しいので喜ばれること請け合いです。

詳しくは『ホーチミンのフォトジェニックな高級チョコレートカフェ「メゾン・マルゥ」』をどうぞ。

グエンフエ通り42番地のアパート

近年のホーチミンのトレンドが、「リノベアパート」。使われなくなった古いアパートに、個性的なカフェや雑貨ショップが入居する、新しいタイプの商業施設です。

ホーチミンに複数あるリノベアパートのひとつが、一等地のグエンフエ通り42番地のアパート。ホーチミンのリノベアパートのなかでも、ひときわ大きく目を引く存在で、上階からはホーチミン市街の眺望も楽しめます。

リノベアパートの特徴が、建物を全面的に刷新するのではなく、古い建物ならではの味わいをそのまま残していること。グエンフエ通り42番地のアパートも例外ではなく、塗装がはがれた壁など、退廃的ともいえる古アパートと、ファッショナブルなカフェやショップとのコントラストが独特の雰囲気を醸し出しています。

中のお店は入れ替わりが激しいものの、若者に人気のカフェや、個性的なアイテムを扱うブティックなどが中心。モダンなショッピングセンターとはまったく異なる世界観に出会えるリノベアパートで宝探し気分を味わってください。

詳しくは『お土産もカフェも。ホーチミンのフォトジェニックな隠れ家ビルがすごい！』もあわせてどうぞ。

SHガーデン

おしゃれなベトナム料理店が無数にあるホーチミン。そのなかでも、空間・メニューともに美しくフォトジェニックなのが、ドンコイ通りに店を構える「SHガーデン」。

イエローをアクセントにした半オープンの店内は、まるでリゾートホテルのよう。ベトナムではかなりの高級店だけあって、席の配置もゆったりとしていて、サービスも他のレストランとは一線を画しています。

ベトナムの家庭料理を基調としたメニューは、どれも洗練された見た目と味わい。カボチャのスープは、美しくカービングされたカボチャの器とデコレーションの野菜が芸術的な一品。運ばれてきた瞬間、その美しさに歓声を上げてしまうことでしょう。

ロケーションも最高のSHガーデン。ドンコイ通りを見下ろしながら、特別なひとときを過ごしてみませんか。

古くからの観光スポットから、SNSでブレイクした新たなフォトスポット、さらにはカフェやレストランまで、随所に「フォトジェニック」に出会えるホーチミン。フォトジェニックスポットを巡れば、ホーチミンの今が見えてきます。

[All photos by Haruna]
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ホーチミン観光の際は、『ホーチミンでしたい８つのこと～最旬フォトスポットにおしゃれカフェ～』『【２０１９年版】ホーチミン旅行の前に知っておきたい８つのこと』も忘れずチェック！

春奈

Haruna ライター

和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。