ギリシアとブルガリアの国境に接するトルコ西端の街、エディルネ。1453年にオスマン帝国の首都がイスタンブールに遷るまで帝都として栄えたこの街は、かつての面影を残しながら今ではゆっくりと時間が流れる古都。そんなエディルネの最大の見どころ、セリミエ・モスクをご紹介。
ミマール・スィナンの最高傑作「セリミエ・モスク」
トルコ史上最高の建築家と評されるミマール・スィナン。歴史に残る数々の建造物の設計を手掛けた彼自身が、最高傑作だと評したのが「セリミエ・モスク」。丘の上に建つこのモスクは、街のどこからでもよく見えるエディルネのシンボルです。
1569年から1575年にかけて建設されたモスクで、スィナンは当時なんと80歳という高齢でした。イスタンブールのアヤソフィア寺院のドームよりも大きなドームを持つモスクを建設せよ、というセリム2世の無理難題に応え、直径31.5メートルというアヤソフィアのドームをわずかに超えるドームを完成させたのです。
写真では伝えきることができない迫力と、心地よい空間に、天を仰いで何時間でも滞在していたくなるモスクです。
逆さのチューリップにも注目
有名なのは宇宙空間をも思わせる大ドームだけではありません。モスク内部の石柱に描かれた逆さまのチューリップにも注目です。
このチューリップには逸話があります。もともとチューリップ畑があったこの土地にモスクの建設を計画していたスィナンですが、地主がなかなか土地の買収に応じなかったといいます。モスク内にチューリップを描くという条件で、地主が土地買収に応じたことから、この逆さまのチューリップは、地主のひねくれた性格を表している、というもの。あまりにも有名でたくさんの人の手に触れられてきたため、いまはかなり擦り減っており、カバーがつけられています。
ついでに立ち寄りたい!「セリミエ・アラスタ市場」
セリミエ・モスクを運営するためのワクフ(財団のようなもの)として運営されているのが、セリミエ・アラスタ市場。
モスクに行くためにはこの市場にまず入り、市場内にある階段をのぼる、という変わった仕組みになっています。モスクの下に位置するこの市場には、セリミエ・モスクに由来するお土産がたくさん揃っています。モスクに行くために通過するだけなんてもったいない!市場内も散策してみてくださいね。
おわりに
エディルネは小さな街ですが、帝都として栄えた歴史があるというだけあり、多くの観光名所がぎゅっと詰まった魅力あふれる街です。今回ご紹介した「セリミエ・モスク」はエディルネ観光の定番中の定番。スィナンの最高傑作をぜひご自身の目で確かめてみてくださいね!
Meydan Mahallesi, Mimar Sinan Cd., 22020 Edirne Merkez/Edirne
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