孔雀はどこに?
ホランドパークを訪れたのは、6月の頭の14時少し前のこと。この時期のロンドンは晴れの日が多く、雨が降っても一瞬で止みます。日差しはじりじりとしていますが、気温は20℃という快適な日。
門をくぐってみると、南国風の庭が出迎えてくれます。しかしそれも一瞬のこと。
ロンドンは比較的明るい印象の公園が多いのですが、こちらは、深い緑色の葉をつけた木が多く、まるで避暑地に来たような清涼感を感じます。
あてもなく30分ほど歩いてみましたが、孔雀の気配はまったくなく。夏になり、人が来ないような木々が深いところに入り込んでいるのだろうかと焦り始めます。
庭の手入れをしている公園のスタッフを発見しました。
さっそく孔雀について尋ねてみます。孔雀は5~6羽ほどいるとのこと。メスが1羽にオスが4~5羽。公園中を歩き回っているけれど、特にお気に入りは日本庭園とのこと。
今ならすぐそこにいるはず、と確信を持って示されたその方向から、突然鳴き声が聞こえてきました。「アーウ!」という聞いたことがありそうでなさそうな大きな声。先ほどのスタッフを振り返ると、うなずいたのが見えました。
孔雀登場!
行ってみると、大きな孔雀!
羽根も、頭の飾りもなんて美しい!
人慣れしていて、人々がすぐ近くまで寄っても動じる様子が全くありません。
鶏など他の鳥と同じように、首を動かしながら優雅に進みます。
途中、近くにいる孔雀とコール&レスポンスで「アーウ!」を言い合いながら、また歩き出す孔雀。
後をついて行くと、そこは日本庭園。京都ガーデンと呼ばれているこちらは、1992年にロンドンで開催のジャパンフェスティバルを祝うためにつくられました。
草地で何かつついた後、孔雀が向かったのはししおどし。
おもむろに、くちばしを手水鉢に溜まった水に突っ込んで、そこで掬った水を上を向いて飲みこみます。ししおどしから流れてくる水にもくちばしを着けましたが。基本は溜まっている水を何度も口にしていました。近くに池がありますが、ここの水がきれいだと分かっているんでしょうね。
日本庭園がお気に入りという理由が判明してすっきりです。それにしても鮮やかな孔雀の姿と日本庭園の組み合わせに違和感がないこと!
残念ながら羽根を広げた瞬間に出会えませんでしたが、春から夏にかけてがチャンスらしいです。秋になると繁殖時期は過ぎ、羽根が抜け落ちてしまうそうです。
羽根を広げるのはメスへの求愛なので、公園内にたった一羽のメスを見つける必要がありますね。
なんとか羽根を広げてくれないかと孔雀にいたずらする人はいないかと思いますが。参考までに、子供が羽根をちょっとひっぱったくらいでは、まったくびくともしていなかったです。
[All photos by Shio Narumi]