ドイツの各都市にある市庁舎は、その町を代表する建造物のひとつ。
ドイツに数ある市庁舎の中でも、思わず一目惚れしてしまうほどの可愛らしさを誇るのが、ヴェルニゲローデとアルスフェルト、ミッヒェルシュタットにあるとんがり屋根の市庁舎。一度見たら忘れられない市庁舎に会いに、知る人ぞ知る3都市に出かけましょう。
ヴェルニゲローデの市庁舎
ヴェルニゲローデは、ドイツ中部に広がるハルツ地方に位置する町。ハルツ地方には、古い町並みが保存された個性豊かな町々が点在していますが、ヴェルニゲローデはその中でもトップクラスの人気を誇ります。
ヴェルニゲローデ旧市街の中心、マルクト広場に面して建つのが、オレンジとグレーの色鮮やかな外観の市庁舎。子どもの頃に憧れたおとぎ話に出てきそうで、「こんな建物が現実にあったなんて!」と驚いてしまうほど。
木組みの部分に聖人や大道芸人の像が取り付けられていたり、軒下の壁画がすべて異なっていたりと、単に可愛らしいだけでなく、非常に凝った造りになっています。
横から見ると、実はかなり奥行きがあることがわかるはず。ぜひ、さまざまな角度からその造形美を楽しんでください。
ヴェルニゲローデの楽しみ方
今回ご紹介する3都市のうち、ヴェルニゲローデは最も観光地らしい町。というのも、ヴェルニゲローデには、ドイツ鉄道とハルツ狭軌鉄道の両方の駅があるのみならず、メルヘンチックな古城までもがあるからです。
町はずれの高台にそびえるヴェルニゲローデ城は、「ラプンツェルが過ごした城」などとささやかれる趣深い古城で、博物館として公開されている城内では、「祝宴の間」をはじめとする、豪華な内装や調度品で飾られた部屋を見学することができます。
マルクト広場周辺に広がる、カラフルな木組みの町並みも必見。ヴェルニゲローデで最も小さな家「クラインステ・ハウス」は、まるでおもちゃのような可愛らしさです。
アルスフェルトの市庁舎
ドイツ中部・メルヘン街道沿いで、「赤ずきんちゃんの里」として知られる町が、アルスフェルト。旧市街の中核をなすマルクト広場には、角のような2本のとんがり屋根をもつモノトーンの市庁舎があります。
市庁舎の左側に建つワインハウスと、背後のヴァルプルギス教会が織り成す風景は、まるで絵のよう。メルヘン街道らしく、童話の世界そのものの町並みが広がっています。
アルスフェルトの楽しみ方
(C)Haruna
アルスフェルトには、ヴェルニゲローデ城のような派手な観光スポットはありません。その代わり、楕円形をした旧市街全体が、さながら天井のない博物館。
(C)Haruna
一部ミュージアムやレストランなどとして利用されている木組みの建物もありますが、アルスフェルトに残る木組み建築の多くが今も住居として使われているのです。ひと気のないひっそりとした路地を散策したり、古民家を改装したカフェで休憩したり・・・古き良き時代の空気が流れる町をのんびりと体験しましょう。
ミッヒェルシュタットの市庁舎
ドイツ南部、フランクフルトからの日帰り圏に位置する小さな町、ミッヒェルシュタット。マルクト広場に建つ市庁舎は、可愛らしさと重厚感を兼ね備えた町のシンボルです。
昔話に出てきそうな外観だけあって、建てられたのはなんと500年以上も前の1484年のこと。オレンジがかった屋根と、茶色い木骨組みとの絶妙なコンビネーションが印象的ですね。運が良ければ、市の担当者の厚意により、内部のホールを見せてもらえることもあります。
ミッヒェルシュタットの楽しみ方
アルスフェルト同様、ミッヒェルシュタットもこぢんまりとした町で、ここを訪れる観光客はあまり多くはありません。だからこそ、中世都市本来の趣が感じられるのが魅力。町の周囲には城壁が残っており、タイムスリップしたかのような光景が楽しめます。
小さな町でありながら、おしゃれなショップが多いのもミッヒェルシュタットの特徴。インテリア小物やティーグッズなど、お土産にしたい品物が見つかるはずです。
オーデンの森に囲まれているだけに、町のレストランではジビエ料理も楽しむことができますよ。
町並みの可愛らしさから、今回ご紹介した3都市では、クリスマスマーケットも人気。とんがり屋根の市庁舎に恋したら、知られざるドイツの小さな町に足を運んでみませんか。