
古くは古代ローマ人やドイツ騎士団が、その美しさをたたえたライン渓谷中流上部。リューデスハイム / ビンゲン~コブレンツ間の約65kmは、世界遺産にも登録されています。リューデスハイムから北上してきた旅人にとって、コブレンツは、ライン川の旅のゴール地点。そこにも、ドイツならではの自然と人工物が調和した雄大な風景が待っていました。
ラインとモーゼルが出会うコブレンツ

ドイツ中西部に位置するコブレンツは、ラインラント=プファルツ州の主要都市。「ドイツの父なる川」と呼ばれるライン川と、その支流であるモーゼル川の合流地点で、古くからヨーロッパの水上交通の要衝として発展してきました。
「コブレンツ」という街の名の語源は、古代ローマ人が呼んだ「コンフルエンテス(合流地点)」に由来。2000年の歴史をもつコブレンツは、ドイツで最も古い都市のひとつです。
コブレンツの代名詞「ドイチェス・エック」

コブレンツを訪れた旅行者が必ず目指すのが、ライン川とモーゼル川の合流点「ドイチェス・エック」。「ドイツの角」という意味で、ドイツ騎士団の騎士たちによって名付けられたものです。

ここには、23メートルの高さの台座の上に、高さ14メートルのドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の騎馬像が立っています。もともとヴィルヘルム1世の孫であるヴィルヘルム2世が1891年に建てたものですが、第二次世界大戦の爆撃で破壊。1993年に再建され、現在はドイツの再統一と平和を象徴するモニュメントになっています。

川に突き出た三角州の上には、ドイツ国旗と各州の州旗が誇らしげにはためいていて、ここがドイツにとって特別な場所であることを実感できます。「『父なる川』と呼ばれるライン川と、『母なる川』と呼ばれるモーゼル川。その両者が交わる場所に立っている」と思うと、感慨もひとしお。
Deutsches Eck
住所:Konrad-Adenauer-Ufer, 56077 Koblenz
エーレンブライトシュタイン城塞からの絶景

ライン川を挟んだ対岸にあるエーレンブライトシュタイン城塞は、ドイチェス・エックを見渡す絶好のビュースポット。ドイチェス・エックの近くにある乗り場からロープウェイに乗れば、簡単に城塞まで行くことができます。

ドイチェス・エックが見渡せる場所は、エーレンブライトシュタイン城塞の有料エリア内。チケットが必要なので、ロープウェイ乗車時に、ロープウェイと城塞のコンビネーションチケットを購入するとお得です。

城塞の展望台からは、ライン川とモーゼル川が出会うドラマティックな光景が真正面に。写真ではわかりにくいですが、実際に見るとライン川とモーゼル川の色が違うのがわかります。条件によっては、もっとはっきりとしたコントラストを見せてくれることもありますよ。
Festung Ehrenbreitstein
住所:Greiffenklaustraße, 56077 Koblenz
美しい旧市街散策も楽しんで

近代都市といった趣のコブレンツにも、古い街並みが残されている一画があります。パステルカラーの建物や、優美な教会など、コブレンツの旧市街は、明るくエレガントな印象。かわいらしいショップやカフェもあり、ただ歩いているだけで心が弾みます。

なかでも特徴的なのが、豪華な装飾が施された出窓の数々。「4つの塔(Vier Türme)」と呼ばれる、4つの美しい出窓が並ぶスポットは、絶対に見逃せないフォトジェニックな風景です。

ライン川の旅の終点であると同時に、モーゼル川の旅の起点でもあるコブレンツ。各所からの交通の便も良いので、ライン・モーゼルの旅の合間に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
[All photos by Haruna]
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Haruna ライター
和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・コラムニスト・広報として活動中。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。半年間のアジア横断旅行と2年半のドイツ在住経験あり。現在はドイツ人夫とともに瀬戸内の島在住。
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