
松本駅から送迎バスで直行
登山でたいへんなことは山登りではなく、登山口までどうやってたどり着くかという問題です。電車やバスの時刻を調べ、時にはいくつも乗り換えて、ようやく登山口までたどり着きます。
中の湯温泉旅館が便利なのは、松本駅から送迎バスで宿まで直行で送ってもらえること。しかも中の湯温泉が登山口なのです。

バスに乗車するためには3日前までに事前予約が必要です。松本駅西口(アルプス口)発は14:45。所要時間は1時間15分前後でしょうか。ちなみに駅まで送るバスは12時に宿を発つそうです。

野麦街道と呼ばれる山道を走ること1時間あまりで、上高地への分岐の釜トンネルがあります。釜トンネルは一般車の通行はできません。上高地はバスとタクシー以外は乗り入れが禁止になっているからです。中の湯温泉はこの道を左に曲がり登っていきます。

急な傾斜のうねる旧道を上ってゆくとやがて中の湯温泉旅館の建物が見えてきました。創業は大正4年。100年以上も歴史のある山の宿ですが、安房トンネルの工事などに伴い、21年前にこの地に建物を移しました。

歴史ある山の宿 中の湯温泉旅館
周囲は原生林に囲まれ、目の前には穂高連峰など雄大な北アルプスが広がり、焼岳への登山にはうってつけの宿なのです。落ち着いたロビーからも山々を望むことができます。

とはいえ、ただの山の宿ではありません。温泉が絶品なのです。日本秘湯を守る会の宿で、泉質は上品な単純硫黄泉。大浴場と露天風呂があります。

©中の湯温泉旅館
露天風呂からは湯舟に浸かってのんびり穂高など北アルプスの山並みを遠望することもできます。

©中の湯温泉旅館
山菜やイワナなど地元でとれる食材を使った料理の数々。旬の季節には「山菜の天ぷら」をあつあつの状態で出してくれます。また信州ならではの蕎麦もいただけます。

©中の湯温泉旅館
紅葉まばゆい北アルプス 焼岳へ
翌朝、いよいよ焼岳に向かいます。出発点は宿の下から。登山時間は3時間30分と書かれていました。

焼岳の標高は2455m。中の湯温泉旅館の標高が1540mですから900mほどを登ることになります。人の手の入らない樹林帯を上っていきます。

しばらく歩くと周囲の景色が変わってきました。山の中腹では紅葉が始まっていたのです。ナナカマドでしょうか。

歩くたびに高度が上がり、青空と陽光に映える紅葉がさらにまぶしくなってゆきます。ダケカンバの黄色とナナカマドの赤が映えます。9月下旬から10月下旬が紅葉のピークだそうです。

山頂部分は見えているのですが、なかなかたどり着きません。疲れていても、快晴に恵まれて美しく輝やく紅葉に癒されます。

ナナカマドでしょうか。真っ赤に燃えるような紅葉です。

荒々しい活火山 焼岳
樹林帯を過ぎると今度は岩場が多くなり、山の印象が大きく変わってきます。上の方では水蒸気でしょうか、噴気が上るのが見えます。焼岳は活火山であることをお忘れなく。現在は噴火警戒レベル1で、山のあちこちから水蒸気が上がっています。

ちなみに上高地の名所のひとつ大正池は、この焼岳の噴火によって生まれました。1915年(大正4年)の大爆発で梓川が堰き止められ大正池が誕生したそうです。

最近では1962年(昭和37年)の噴火で、今度は泥流で大正池を埋めて、幅の広い川のようになったといいます。

以来焼岳は登山禁止でしたが、1992年(平成3年)に北峰への立ち入りが解除され多くの登山者の姿が見られるようになったのです。

北峰と南峰のあいだある火山湖・正賀池です。

山頂に近づくにつれて荒々しい光景が続きます。まるでどこかほかの惑星を探索しているような気分になります。

さあ、この岩場を乗り越えれば山頂です。

ついに北峰の頂に到着しました。

焼岳山頂からの絶景です。右下には上高地。そして目の前には穂高の峰々。そして左手には槍ヶ岳がハッキリと見えます。こんな美しい北アルプスを見る機会はそうはありません。

このあとは中の湯温泉に戻って温泉でくつろぎましょう。
またルートは上高地に続いていますので、さらに北の稜線を下っていくと焼岳小屋があり、そこから上高地に降りることができます。上高地のバスターミナルから各地に高速バスも出ています。

Masato Abe 還暦特派員
大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。
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