朝、昼、夜。時間で違う輝きをみせる小樽運河
北海道開拓の玄関口として発展した小樽港に、大正12年に完成した「小樽運河」。全長1140m、緩やかな湾曲に沿って光るガス灯はロマンチック。10年に及ぶ埋め立て論争の末、昭和61年に河幅の半分が道路になり散策路にと整備され今の姿に。当時はもっと幅があったという、驚きです!堂々とガス灯の上に停まる海鳥は、きっと毎日観光客を観察しているんでしょうね。
朝の止まった水面
早朝5時の太陽の昇る前、すでにカメラを持った人たちがそのシャッターチャンスを逃すまいと少しずつ集まってきました。それでも昼間の人の多さはなく、誰もがまだ静かにその瞬間をまっていました。運河ターミナルから出発して、北運河の方へ朝散歩に出てみました。
2016年秋に、寿司屋通りから小樽市総合博物館を結ぶ1600mが散策路として開通していて、小樽市総合博物館の先には、早朝4時から営業している「鱗友朝市」があります。小樽の朝は海鮮丼やパンなど朝ご飯も充実しているので、旅の朝ご飯に注目しながらもいいですね。
ウミネコの声、船の出航するエンジン音を聞きながら・・・肌で運河の空気を感じながら歩く朝散歩は、最高の時間です。
昼の揺れる水面
昼は観光客もどんどん増えてにぎやかになります。運河周辺では人力車が軽快に走り、小樽運河クルーズも大人気で盛り上がりをみせていきます。小樽運河クルーズの通った後に水面は揺れ、青空を映し、西洋の絵画のように美しく見惚れてしまいます。
運河の柵のデザインも絵になりますね。
散策路には石板に小樽の歴史が描かれています。
花壇にベンチや銅像も。全てが絵になりますね。
先へ進むと、当初の面影を残す北運河も。
時間が夕方になるにつれ、太陽は夕日となり、日差しはやわらかさをまとい、運河を包み込んでいきました。光によって、運河の表情がだんだんと変化して心に染みていきますね。
夜の水面に光の粒
待っていました、夜運河!蝋燭を灯したかのようなガス灯や、倉庫をリノベーションしたレストランから漏れるおしゃれな店内の光りは湾曲に沿って光りを落として、オレンジ、赤、白、黄色と煌びやかな光の粒がりが水面に降りそそぐ特別の夜。店内では優雅なディナータイム。どこから見ても心をわしづかみにされる景色です。
道行く人は観光の疲れも忘れて、足を止めて写真を撮る姿が夜もよく見られました。運河ナイトクルーズのご一行はゆったりと光りを揺らして船を進めていきました。1日の終わりに、最高のアンコールをプレゼントしてくれます。
冬には「小樽ゆき物語」「小樽雪あかりの路」などイベントも開催され、どの季節・時間帯でも幻想的な感動ある小樽運河。今回の旅は、10月始まりの少し肌寒さを感じる程度の良い時期に訪れました。夜明けの瞬間は、穴場の時間ではないでしょうか。時間がたつのも早く、時間と人の動き、静から動への瞬間はなんともいえない感動があります。
朝、昼、夜で特別を魅せてくれる小樽運河のノスタルジックな空間にとけ込んでタイムスリップしてみてはいかがでしょうか。
[All photos by kurisencho]