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レモンの街、リモーネ
イタリア最大の湖、ガルダ湖の湖畔に、レモンで溢れた小さな街があります。街の名前はリモーネ。名前からも連想されるように、まさにレモンづくしの街です。
レモンは、街路表示、おみやげ屋のレモングッズなど、街中、至る所に溢れています。街を歩いていると、街の空気がレモンの香で充満しているような気分になってきます。もちろん、レモン畑では現在もレモンが収穫されています。
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そして、レモンについてもっと知りたい方はレモン博物館がおすすめです。そこでは、実際に生えている様々な種類のレモンの樹を見る事ができ、この地のレモン栽培の歴史について知る事ができます。
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ところが、リモーネの歴史を紐といてみると、予想もしなかったどんでん返しが。街の名前リモーネはレモン由来の名前ではないのです。かつてこの街のすぐ近くに、ローマ帝国の境界がありました。その境界の名前は、リーメス・ロマーノ Limes romano。そして、境界という意味のこの言葉が語源となってリモーネという街の名前になったのです。従って、街の名前はレモンとは関係がないのです。
レモンとリモーネ、蜜月と終焉の歴史
では、レモンはどこから来たのでしょうか。13世紀、フランチェスコ修道院の僧がこの地方でレモンの植樹を始めました。17世紀に入ると、本格的なレモンの栽培と収穫が始められ、レモン小屋が建てられました。
この地は、レモン栽培としては最北に位置しており、北の国々、ドイツ、ポーランドやロシアからの需要を満たすには、最適な立地条件でした。18〜19世紀にはレモン栽培は隆盛を迎えます。この時、リモーネが名実ともにレモンの街になりました。歴史的に見ると、リモーネがレモンの街になったのは比較的最近の話だったんです。
しかし、その後、交通手段の発達などにより立地的優位が失われ、次第にレモン産業は衰退してゆきました。決定的な打撃は、第一次世界大戦でした。武器の材料を調達するためにレモン小屋の屋根が押収されてしまったのです。またこの地帯はローマ時代にもローマ帝国の国境が存在していたように、当時もオーストリア、ドイツとの国境地帯であり、大規模な戦闘が行われ、甚大な被害を被りました。
再び街を満たしたレモンの香
街を覆っていたレモンの香は、どこかに消え失せてしまったかのように思われましたが、どこからともなく漂いだし、再び街を満たし始めました。
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そして、その香に引きつけられるように、多くの観光客がこの小さな街を訪問しはじめました。今では、観光が、街一番の産業です。街中には多くのおみやげ屋が並び、レモングッズやレモンのリキュール、レモンチェッロなど、どれをお土産にすればいいか迷うほど。
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アルプスの一部でもある岩山を背景にした坂の多い街は、それ自体とても可愛らしいです。ただ散歩するだけでも楽しい気分になってきます。また、街から南の方へちょっと歩くと広い岸辺があり、暑い季節には雄大な風景をバックに遊泳することもできます。ガルダ湖のリモーネでは、レモンの香に包まれて、のんびりとした時間が流れていますよ。
Eisuke Kawai
ドイツ、ミュンヘンで設計事務所に勤務。 週末と休暇を利用して旅に出る。海にいくと一緒に来る妻はケーキマイスター(ドイツでマイスター号を取得)。彼女はシティートリップには乗り気ではないので、イヤイヤついて来る二人の息子と男三人でヨーロッパと日本を駆け巡る。
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