カナダのシンボル的な超高級ホテル「The Fairmont Royal York(フェアモント・ロイヤル・ヨーク)」で受けたカルチャーショック3つ【カナダ・トロント】

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Jan 26th, 2020

カナダに「The Fairmont Royal York(フェアモント・ロイヤル・ヨーク)」という高級ホテルがあります。現在はフランスの巨大なホテルグループの傘下にありますが、もともとはカナダの鉄道会社が作ったホテル。1907年にアメリカのホテルを買収したときに、買収先のフェアモントを名乗るようになりました。その名前にはカナダ人にとって特別の響きがある高級ブランドで、モントリオール、ケベック・シティ、トロントにあるフェアモントに宿泊(見学)した際には、カルチャーショックを受けてしまったほどの別世界を目にしました。そこで今回はフェアモントの魅力を、驚きのポイントと共に紹介します。

「社交界」の舞台になっている「The Fairmont Royal York(フェアモント・ロイヤル・ヨーク)」

トロントにあるフェアモント・ロイヤル・ヨーク

先日、カナダ最大の都市、トロントに取材に出かける機会があり、トロント中心部にある「The Fairmont Royal York(フェアモント・ロイヤル・ヨーク)」に連泊しました。

トロントにあるフェアモントのロビー

ホテル内の人間模様をじっくりと観察するチャンスもあったために、抜かりなく視線を走らせていると、次第にホテルで夜な夜な催されている集いの数に驚かされてきます。

通常、欧米のホテルは宿泊部門が売り上げのメインで、日本の帝国ホテルのように巨大な宴会場を幾つも抱え、宴会部門の売り上げが宿泊を越えるようなケースは、一般的でないと言われています。

トロントにあるフェアモントの催事場の1つ

しかし、フェアモントの場合は違います。エレベーター内では美しいドレス姿の女性を頻繁に見かけますし、タキシード姿の男性とも何度も出くわします。

背筋を伸ばし、余裕たっぷりに落ち着いて話すその姿は、いかにも場慣れた富裕層といった感じ。そのうちの一人に声をかけると、フェアモントは地元の富裕層の社交場としても使われているとの話でした。

トロントにあるフェアモントのロビー

広報の方によれば、トロントのフェアモント・ロイヤル・ヨークには、かつてジャズシンガーのトニー・ベネットや、ソウル・ミュージック界の巨人レイ・チャールズも歌ったインペリアル・ルーム、1,670人収容とホテル業界では最大の収容規模を誇るカナディアン・ルーム、400人を収容できるオンタリオ・ルームなど、さまざまな集いの空間が用意されているそう。

その空間を利用した催事の定期開催によって、催事(宴会)部門が宿泊部門以上の収益を上げていると言います。

トロントにあるフェアモントのロビーに展示されたシンボルの時計と点灯前のクリスマスツリー

筆者が滞在したタイミングでは、シーズン到来を告げるシンボル的なクリスマスツリーの点灯式が、ロビーで行われていました。子どもたちも立派なドレスを着て、点灯式を見守っている姿が印象的でした。

富裕層の人たちを中心に、ホテルが地元の人にも広く開かれ、出入りそのものがステータスになるような交流の場、集いの場となっているのですね。

トロントにあるフェアモントのロビーに飾られたクリスマスツリー。多くの人が見学しに訪れる

宿泊者もVIPぞろい

ケベック・シティにあるフェアモント・シャトー・フロントナック

一方で、きめ細やかなホスピタリティを求められる宿泊部門でも、フェアモントは数々のVIPをおもてなししています。

例えば世界遺産にも指定されるケベック・シティのシンボルであるフェアモント・シャトー・フロントナックの場合、映画『英国王のスピーチ』で有名な英国王ジョージ6世などの王族も、宿泊者として過去に名を連ねているとか。

ケベック・シティにあるフェアモント

TABIZINEの過去記事「世界遺産の旧市街地で日本史が変わった!?日本人がケベックシティを訪れるべき理由【カナダ】」でも紹介した通り、第二次世界大戦中には、当時の米大統領のフランクリン・ルーズベルト、英首相のウィンストン・チャーチルなどが戦争終結のための会談を、フェアモント・シャトー・フロントナックで行っています。

古くから、チャールズ・チャップリンなどのスターにも愛され、今でも歌手のセリーヌ・ディオン、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のレオナルド・ディカプリオなど、そうそうたるセレブリティたちも、ケベックシティに訪れた日は泊まるようなホテルです。

ケベック・シティにあるフェアモント

ちなみに1893年にオープンしたフェアモント・シャトー・フロントナックは、1925年にアルフレッド・ヒッチコックの『私は告白する』という映画の舞台にもなっています。

ゴールド・ラウンジがぜいたくの極み

トロントにあるフェアモントのゴールド・ラウンジ

最後はフェアモントの高層階にあるゴールド・ラウンジについて。モントリオールのフェアモント・ザ・クイーン・エリザベスでは、ゴールド・ラウンジを利用させてもらいました。

トロントのフェアモント・ロイヤル・ヨークでは見学しただけですが、フェアモントにも他の高級ホテルと同じく、特別な上層階の宿泊者しか立ち入りが許されないゴールド・ラウンジがあるのですね。

モントリオールにあるフェアモントのゴールド・ラウンジが使用できるフロアの客室

まず、ゴールド・ラウンジの魅力は、景観の良さが挙げられます。開口部がたっぷりと空間に確保されているため、トロントのフェアモントの場合は、地元のスポーツチームが拠点を構えるScotiabank Arenaや五大湖が一望できました。

トロントにあるフェアモントのゴールド・ラウンジから見える眺め

モントリオールの場合は、教会の尖塔やセント・ローレンス川の眺望が楽しめます。フェアモントはホテル自体がどこも街のアイコン的な存在であり、一等地に位置しているため、逆にそのアイコンの内部から眺める上層階のパノラマは、壮観なのですね。

トロントにあるフェアモントのゴールド・ラウンジに設けられた専用のコンシェルジュ

たっぷりとした空間に配置されたソファとテーブルに加えて、ラウンジにはアイランド式のキッチンがあり、見れば利用者たちは親子でチェスを楽しむなど、のんびりとした時間を過ごしていました。ラウンジの入り口にはプライベートのコンシェルジュが待機していて、チェックイン・チェックアウトも独占的に行えます。

お酒、コーヒー、各種の清涼飲料水などは飲み放題。フルーツやケーキなどの軽食も用意されています。

朝食はもちろん、ランチもアフタヌーン・ティーも夜の軽食も用意されているため、例えば外を歩き周って、ホテルのラウンジでお茶とスイーツを楽しみ、再び街に繰り出すだとか、外でディナーを楽しんだ後、ラウンジに戻って二次会で楽しむだとか、さまざまな使い方がされているみたいですね。

写真はイメージ。トロントにあるフェアモントの部屋に用意されたウェルカム・スイーツ

誰もが楽しめるサービスではありませんが、新婚旅行などちょっと奮発した旅行でカナダを訪れる場合は、ゴールドラウンジが利用できる階を思い切って予約してみてはどうでしょうか。

ぜいたくの極みとも言える至れり尽くせりのサービスを、滞在期間は大いに満喫できますよ。

The Fairmont Royal York(フェアモント・ロイヤル・ヨーク)
住所:100 Front St W, Toronto, ON M5J 1E3, Canada
電話:+1 416-368-2511
HP:https://www.fairmont.jp/royal-york-toronto/

[All photos by Masayoshi Sakamoto]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

SHARE

  • Facebook