
世界中で猛威を振るっているCOVID-19(新型コロナウイルス)。アメリカでは感染者が730人と急増し死者が26人、ますます警戒が強まっています(現地時間3月10日現在)。現地在住ライターが、ニューヨークの人々の様子や最新情報をレポートします。
NY州知事が非常事態宣言

ニューヨーク州では3月1日に初めて感染者が確認されて以来、1週間強で142人にまで急増しました(そのうち、世界中からの観光客が集まり、人口密度の高いニューヨーク市内の感染者は19人になっています。
その中には、タクシーもしくはウーバーの運転手も含まれるということで、気になります。
感染者数の急増に伴い、州のアンドリュー・クオモ知事は7日、緊急記者会見を開き、非常事態宣言を出しました。詳細
非常事態宣言により約31億円以上もの予算を確保できるため、各地方自治体の保健衛生局の支援に繋げたいとしています。またクオモ知事は、「80%の感染者が自ら治癒している。残り20%の重病患者は何らかの持病がある人や高齢者だ。恐怖を煽るだけの過剰報道に惑わされず、『正しい情報』を冷静に受け止め、パンデミックにならないことが重要だ」と力説しています。
アメリカ人は依然マスクをしない
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)はマスクについて、「感染者と医療従事者が着けるもので、健康な人は必要なし」と発表しています。土地柄やもともとの文化もありますが、感染者が出たニューヨークでも街中でマスクをしている人はごく一部です(筆者の感覚では全体の1%ほど)。
ただしテレワークを推奨し、自宅勤務の数は少しずつ増えていると感じます。
店やレストランも観光地らしくたくさんの人で賑わっていて、街を行き交う人々の様子は特に深刻さもなく、普段と変わりはありません。
友人とはちょっとした瞬間に「コロナ感染が増えているよね」と会話に挟むようになりました。
NYにアジア人差別はある?

ヨーロッパなどでは、言われなき差別をアジア人が被ったというような話がよく聞こえてきますが、ニューヨークは移民の街であること、アジア人がもとから多いことなどから、私自身も、周りの友人も特に目立って大きな差別を受けていません。
クオモ知事も、このようにツイッターで発信しています。
ニューヨークの街の強さは多様性だ。ここにはヘイトなんて起こるスペースは1mmもない。
#NoHateInOurState
マスクをしていることで「病気を移さないで」とからかわれたことがある人もたまにいるようなので、病気でなければニューヨークではマスクを着けない方がいいでしょう。
正気でない人が、アジア人に向かって嫌がらせをしている様子がたまにソーシャルネットワークなどに上がってきますが、そのような正気でない人はきっと全人口の一部だと思いますので、それを気にしてニューヨーク行きを諦めるのはもったいないです。
それより私たちが気になるのは「今の時期、ニューヨークに旅行できるのか」ということだと思います。
観光や仕事、留学でNYに行けるのか?
日本に住んでいる人が今一番気になるのは「ニューヨークに旅行できるのか?」ですよね。ニューヨークはこれから温かくなり観光シーズンに入りますので、中にはすでに航空券やホテルを予約している人も多いことでしょう。
この答えは、現時点では残念ながら「不明」とされています。
まず、3月3日にトランプ大統領がホワイトハウスで記者団へこのように語っています。「(患者数の増えている)日本の状況を注視している」。
その翌日、ニューヨークのクオモ州知事が、日本、中国、韓国、イタリア、イランに留学中の対象大学生300人をチャーター機で連れ戻し、帰国後14日間は州で用意した施設に隔離すると発表しました。
さらに5日、ニューヨークのビル・デブラシオ市長も日本、中国、韓国、イタリア、イランを訪問し帰国した市民に対し、14日間の自主隔離を要請しています。
これらをどう取るかにもよると思います。
在ニューヨーク日本国総領事館による7日の発表では、「日本からの観光客などが対象となるかについて、当館からニューヨーク市当局に引き続き照会中です。」「なお本日(6日)も日本からの観光客がJFK空港に到着しましたが、入国時の手続について問題があったとの報告は受けておりません。」(原文ママ)とあります。
ただし、数字や状況が刻一刻と変わっていきます。旅行やビジネス、留学などでニューヨークを行き来する予定がある人は、注意が必要です。
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a.kasumi ライター・編集者
雑誌、ウェブ、ラジオを通して、グルメから社会問題まで、幅広くアメリカ&NY情報を発信中。著書に『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』がある。日本の出版社勤務を経て、NYに移住したのは2002年のこと。アメリカ(出版社時代)でも街ネタ取材でNY中を駆け回った後、14年に独立。物書きとしては、今では信じられないがメジャーミュージシャンのインタビュー含む音楽評論が原点。
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